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ダイオキシン問題小史 1・特需の不発(GEN) − 原田和明氏連載
http://www.asyura2.com/0311/health7/msg/1015.html
投稿者 シジミ 日時 2004 年 2 月 22 日 21:26:05:eWn45SEFYZ1R.
 

http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200402090500000000083496000

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■■■ 特需の不発(ダイオキシン問題小史 1)
■■                                 ■
■               世界の環境ホットニュース(GEN) 316号 ■■
   転載歓迎 2004年2月9日 ■■■
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原田和明さんは、以前にもこのメールマガジン誌上で何度か執筆していただいた
方です。現在は退職して別の仕事につかれていますが、以前はダイオキシン測定
に関連する業務にもかかわって来られました。裏事情にとても詳しい原田さんに、
日本のダイオキシン問題を巡る裏面史を、今回から数回にわけて書いていただき
ます。ご期待ください。――編集者

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 第一回 ダイオキシン騒動前史(特需の不発)         原田和明

 いわゆる「ダイオキシン問題」は97年頃から「突然」、「騒動」になり最近
では話題に上ることも減ってきました。この間にダイオキシン対策と称して各地
に大型ゴミ焼却炉が建設されました。建設費用は次世代へ、焼却コストは上昇、
ゴミ削減は進まずという状況に、ダイオキシン対策はこれでよかったのかと内省
されている方も多いのではないかと思います。

なぜこうなってしまったのか、このような対策しかなかったのか、ダイオキシン
騒動の歴史を振り返って考えてみたいと思います。

皆さんご承知の「騒動」の始まりは97年ですが、対策としての焼却炉の開発は
それより10年以上遡ります。80年代半ばからダイオキシン対策を謳った焼却
炉に関する特許が出願されていることからわかります。では80年代半ばに何が
あったのでしょうか?

立川涼・愛媛大教授(当時)がゴミ焼却灰からダイオキシンを検出してプラスチ
ック時代に警鐘をならしたのは83年秋で、厚生省(当時)は早速「廃棄物処理
に係るダイオキシン専門家会議」を設置、翌年に摂取量として評価指針値 100pg
-TEQ/kg日 を答申、解散後「ごみ処理に係るダイオキシン削減対策委員会」(委
員長:平岡正勝=当時京大教授)が排出基準作りに着手します。

平岡委員会では翌85年に排ガス基準として 1250 ng-TEQ/Nm3(現在は新設炉で
0.1)を答申して厚生省は安全宣言するとともに 測定装置を当時ほとんどの研究
機関で保有していなかった高額機器に限定したり、自治体の調査も厚生省の許可
を必要とするなど特定機関以外は事実上ダイオキシンの測定ができなくなりまし
た。

そのうらでプラントメーカーなどが焼却炉改造研究に着手していたのですから、
安全宣言はダイオキシン対策確立までの時間稼ぎで、厚生省はいずれダイオキシ
ン規制を考えており、産業界にはダイオキシン特需への期待があったことは容易
に想像できます。

90年には産業界の努力によりダイオキシン抑制のための焼却炉の技術開発及び
ダイオキシンの測定技術の開発にほぼ目処が立ちます。この間「平岡委員会」で
も焼却炉改造について議論されています。加藤龍夫・横国大教授(当時)が高額
な焼却炉新設ではなく、バグフィルター設置による既存設備の手直しでの対応を
提案しますが、拒否されています。排出されるダイオキシンの多くが電気集塵機
で再合成されていることがわかってきたことによる提案でした。許容レベルがど
こにあるかは別の議論があるにしても、実現していれば新設に比べ遥かに軽い負
担で対応できたことでしょう。この時点で新炉建設推進の意思を感じます。

そして厚生省は90年12月18日に「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン
検討会(会長:平岡正勝=前述)」により、後に「旧ガイドライン」(衛環第2
60)と呼ばれる焼却炉由来のダイオキシン規制を都道府県に通知しました。こ
れで多くの自治体は焼却炉を新設しなければゴミ処理が困難になったのです。
 
同年には廃棄物研究財団(89年夏設立)が「廃棄物処理に係わるダイオキシン
類測定分析技術登録制度」を設けて測定法を統一化するとともに、多額の加盟料
を支払った参加企業しか自治体から測定受注できないという利権化が早くも始ま
っています。登録の分析会社はプラントメーカーなどの関連企業が多く、焼却炉
の開発と分析法の確立は一体のものでした。

こうして、ダイオキシン特需の準備は整っていったのですが、このときは「特需」
も「騒動」も起きませんでした。「特需」は新ガイドライン(ダイオキシン類削
減プログラム)が公表される97年を待たなければなりませんでした。90年か
らの「空白の7年」には理由も事情もあったのです。(つづく)

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