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バブルマネーは何処へ行った? 預金増と負債増の等価構造
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投稿者 TORA 日時 2003 年 11 月 27 日 14:37:40:CP1Vgnax47n1s

バブルマネーは何処へ行った?
預金増と負債増の等価構造

2003年11月27日 木曜日

■4.バブル期にはどんなことが起こるか?

要素を絞りモデル化します。日本村があって、日本村銀行があるとします。100万円の土地を持つ橘さん、何も持たない川さん、500万円の預金を持つ丘さんの3人が住んでいる。

▼【1.橘さんの最初の貸借対照表:財産目録】

橘さんのバランスシート(B/S:貸借対照表)は以下になるでしょ う。(注)複式簿記であらわす貸借対照表は、財産と、財産に対応する負債と資本の、目録と言ってもいいものです。今後の参考にしてい ただくため、詳細にたどります。

(資産)        (資本)
土地 100万円   相続資本 100万円

これは、橘さんが相続を原因として、100万円の土地を資産として もっていることを、もっとも簡単な複式簿記で示しています。相続資本の100万円は、現金ではない。 土地の評価額です。資本は物化している。念のために言っておきます。

日本村の土地が、ある時「世界1の村になる」との成長期待から、5 倍の評価にあがったとします。これが日本の80年代後半でした。土地売買や、土地担保金融が起こらなければ、土地評価があがっても なにも変わらない。しかし、とりわけ日本村は、過剰に土地担保金融の国だった。

▼(重要な注:今後の土地価格)

今は、土地を使った事業収益から、土地の経済価値を逆計算する<収 益還元法>に変わりつつあります。このことは、土地の価格上昇では、もうバブル期のようなことは、記憶が薄れる30年(1世代)は、 ないことを意味しています。過剰な評価の土地担保も少なくなっています。 土地をめぐる金融構造は、すでに変わった。事業で収益を生む価値のある土地が、収益還元法の現在価値で、部分 的に上がることはあります。

▼【2.土地を時価評価した橘さんの貸借対照表】

橘さんの貸借対照表(財産目録)は、上がった土地を時価で評価すれ ば、以下に変わります。

(資産)        (資本)
土地  500万円   相続資本  100万円
              土地評価益 400万円

相続したときは100万円だった土地が500万円の評価になった。 橘さんの土地に400万円の評価益(=未実現の利益)が生じたことをあらわしています。 評価益は現金ではなく、未実現ですから「含み利益」と言います。ここで同じ村に住む何も持たない川さんは、5倍になった土地がもっ と上がると期待した。これが過去の傾向を直線的に延長する投機の心理です。 投機は値上がり期待の購入です。投資は、土地を使い事業を行って収益をあげる目的です。投資は収益還元法の価格で買う。 多くは共同幻想の値上がり期待、ケインズが言った美人投票で買った。自分が美人と思う人ではなく、他の多くの人が美人と思う人に投票 すればゲームに勝つということです・

共同幻想の心理に憑(つ)かれた川さんは、上がった土地を購入しよ うと考えたとします。川さんには資金はない。日本村銀行からの借金です。橘さんは売却に同意し売ったとします。 同じく土地価格の共同幻想に憑かれていた銀行も、土地の値上がりを期待し、買った土地に売買金額以上の担保をつけた。 日本村銀行は、丘さんから500万円の預金を預かっていて、その預金を川さんに貸し付けたとします。 売った橘さんのバランスシートに、次に示す取引が加わります。

▼【3.橘さんは、土地の売却】  

この取引を、売る橘さんの側からあらわせば、      

銀行預金 500万円    土地500万円

橘さんが500万円で土地を売って、橘さんの銀行口座に500万円 が、川さんから振り込まれたことを示すものです。 橘さんの貸借対照表(財産目録)は、土地がなくなって以下になりま す。

(資産)          (資本)
銀行預金 500万円  相続資本  100万円
              土地売却益 400万円

橘さんの土地は、銀行預金500万円に振り替わった。400万円の 土地評価益が土地売却益となって実現したことを示すものです。土地の代わりに500万円の預金が橘さんの資産になりました。橘さ んの負債はゼロです。預金の500万円分は「純」金融資産になります。500万円の信用(マネー)が、ここで発生したのです。 橘さんは、土地を売って現金リッチになった。これがバブル景気です。この現金で株や別の土地を買えば、また株や土地が上がるスパラル なバブルになる。

▼【4.川さんの、土地購入】

借金で土地を買った川さんは、どうなっているか?

(資産)       (負債)
土地500万円     銀行借入 500万円

土地が500万円で買われ、川さんの資産になった。代わりに川さん は、500万円の銀行借入を抱えたことを示すものです。 川さんは500万円の負債があるので、土地をもっていても、借金を 引いた純資産はゼロです。 川さんと川さんの土地に、日本村銀行は500万円の<信用供与>を したことになります。これが、バブルマネーの根元です。 銀行による、上がった土地への信用供与によって、日本村に500万 円の現金が、橘さんの預金として増加したのです。

▼【5.バブル崩壊で、土地評価が100万円に下落した】

ところが、ここで土地評価が100万円に下落したとします。 川さんの貸借対照表は、土地の下落分400万円を、時価で評価すれ ば以下になります。

(資産)            (負債)
土地      100万円  銀行借入  500万円
土地評価損  400万円

川さんは、400万円の「含み損」を抱えた。川さんの銀行負債は、 そのままの額で残ります。川さんに返済能力がないとすれば400万円は銀行の損失になる。 しかし、日本村銀行が400万円の損失を数字として皆に示せば、銀行の信用不安が起こります。 500万円の土地売却代金の預金を持つ橘さんと、もともと500万円を日本村銀行に預けていた丘さんは預金を引き出すはずです。 従って、銀行は、正確な数字を隠す。ここで川さんは、策略をめぐらせる。(笑) 資産取引の損益は、買った人と売った人で同じ額です。損をした人と同じ金額の得をした人がいる。株も債券も同じです。等価取引です。 合算すれば利益+損失はゼロです。

▼【6.結婚で資産の合併があったとする】

橘さん(女性)と川さん(男性)は恋愛関係にあった。 二人は、結婚に同意したとします。橘さんと川さんが作った新世帯の貸借対照表では、二人の分が合算さ れます。

[橘さんの、元の貸借対照表]

(資産)          (資本)
銀行預金 500万円  相続資本  100万円
              土地売却益 400万円

橘さんは個人口座に土地売却代金の500万円の預金をもっています。 川さんは、100万円に下落した土地と、500万円の銀行借り入れを抱えています。

[川さんの、元の貸借対照表]

(資産)          (負債)
土地     100万円  銀行借入  500万円
土地評価損  400万円

両方を合わせた新世帯の貸借対照表を作ってみます。橘さんと川さん の資産が合計されたものが左側、橘さんがもつ資本と、川さんがもつ負債が合計されたものが右側です。 ↓

[新世帯の貸借対照表]

(資産)               (資本+負債)
橘さん:銀行預金  500万円 橘さん:相続資本  100万円
川さん:土地     100万円 橘さん:土地売却益 400万円
川さん:土地評価損400万円  川さん:銀行借入  500万円

川さんの土地評価損400万円(マイナスの資産)と、橘さんの土地 売却益400万円(プラスの資産)は、同額の損失と利益として相殺することができます。

▼バブルが増やして残す、負債と同額の預金

新世帯の貸借対照表は、整理すれば以下になります。

(資産)               (資本+負債)
橘さん:銀行預金 500万円  橘さん:相続資本  100万円
川さん:土地    100万円  川さん:銀行借入  500万円

新世帯がもつ土地は、橘さんが相続したときの100万円の価値に戻 っています。増えたのは、500万円の銀行預金(資産)と、同じ5 00万円の銀行借入500万円(負債)です。 このバランスシートが意味するのは、

(1)橘さんの相続した土地100万円は、銀行預金500万円に変わった。
(2)川さんの借り入れが500万円増加したが、それに対応する土地は100万円の評価に戻った。

バブル前にくらべ増えたものは、<銀行預金500万円>、<銀行借 入500万円>です。土地の評価額はバブル前に戻った。バブル期の土地売買で、500万円の負債と、それと同じ額の預金が 増えた。増えた銀行預金と同額の銀行借り入れは、バブル崩壊後も残ります。    

・資産バブルでは資産の評価益が増え、    
・バブル崩壊ではその評価益が消えます。    
・金融の全体は、膨らんだままで残る。      

ここを知っておくことです。 バブル崩壊で消えるのは、地価の評価益だけです。土地取引の代金はだれかの預金として残る。負債も、だれかの負債として後々まで残る。 つまり、実物(土地)はなんら変わらず、   

・金融、つまり預金(=マネーサプライ)、    
・および預金と同額のだれかの負債が増える、     

という結果を残します。 これが資産バブルと、その後のバブルの瓦解の、金融面での本質です。

■5.以上までの結果のまとめ

(1)土地を売った橘さんは、それ以前は持っていなかった500万円の預金を手にした。
  (バブルで儲けた人)

(2)土地を買った川さんは、400万円の損失を抱え、銀行からの借金500万円を残した。
  (バブル崩壊で損をした人:ただし、自力返済はできない)

(3)日本村銀行は、実質的には400万円の貸し倒れを抱えているはずであるが、本当の数字は発表していない。   
(実質では、最後に損をかぶる金融機関)    
(ただし、金融機関は国家が救済。従って国民の損)

(4)元々預金を持っていた丘さんは、500万円の預金をもったままである。  
(何も変化はないように見える:ただし、預金の中身は、実質では空洞化している)

以上が、日本村の3人と日本村銀行で、小さくモデル化した資産バブ ルと、資産バブル崩壊の結果です。日本村銀行の預金総額(銀行の負債)は、バブル以前の丘さんの50 0万円だけから、土地を売った橘さんの500万円を加え、1000万円に膨らんでいます。 その1000万円のうち、400万円分は、土地価格下落で空洞化しています。

「清算取引」が起こるまでは、バブルで膨らんだ金融(預金:負債) の数字は、バブル期に膨らんだままの額で続く。ここが肝心な点です。それゆえにバブルは日本から米国に移転し、東南アジアにも還流し、 中国へ行って、バブルを繰り返す。前述したように、保険契約額に相当するデリバティブは、03年も24%($24兆)も増加していま す。 デリバティブは、現在の損失の「とばし」であり、将来の期待利益の「繰り入れ」でもある。これが続いています これが現在の世界の、預金(または債券)と負債の金融状況です。バブルが残す金融での、<預金増と負債増の等価構造>、お分かりに なったでしょうか?


<バブルマネーはどこへ行った?(1)> 吉田 繁治 国際戦略コラム

http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/151127.htm

◆11月25日(火)「モラル・ハザード買い」認めるかどうか。HiT株式教室

http://www.amy.hi-ho.ne.jp/family-mn/hit1.htm

あしぎん株について思惑による売買が盛んです。出来高が急増して上げている事から判断して、多数派の見方は「りそな方式」で株主責任を問わない方法が取られると考えているのでしょう。

 どのような方法が取られるか分かりませんが、りそなでは「繰り延べ税金資産を計上しなければ債務超過である」と国会でも答弁があったにもかかわらず株主責任を問わないという選択がなされました。マツヤデンキでは株主責任を取らせた後に再生措置が取られました。その差は何でしょう?マツヤデンキは「小物」に過ぎず全体の株価に影響しないからでしょうか?政府のメッセージは明確に伝わってきません。

 何れにしても財務内容の悪い企業に対する思惑売買は感心できません。政府はりそなのようにモラル・ハザードを認めると世論や議員数を伸ばした野党から非難されるリスクがあり、そうでなければ、期待して買った投資家に責められることになるでしょう。しかし、前提条件がモラル・ハザードという投資スタイルはどこかおかしいのではないでしょうか。

 また、税金で救済すれば不良債権問題が前進したり金融問題の解決につながるような報道がありがちですが、「史上最低の貸し出し金利」に現れているようなオーバー・バンキングという構造問題の解決には、むしろ逆行している可能性もあり、問題先送りの懸念は残ります。

 日経平均は米国のリバウンドに助けられる形で戻り高値を試しつつ、地銀問題など、新たな材料が出なければ動き辛い局面です。指数が上昇する場面においても人気銘柄のしこりは大きく、実質的な調整が続きそうです。米国株の急反発がありながら、東証の出来高がそれほど増えず、これといった人気セクターも出てきません。少なくとも米国高につられての買いに妙味は無さそうです。


(私のコメント)
バブルの発生と崩壊に伴う問題点を吉田繁治氏は、一番単純化した形で分かりやすく解説しています。つまり不良債権と各企業や個人が抱えている評価損の合計と等しい金額の預金が、1400兆円のなかに含まれているということです。不良債権の残高はメガバンク合計で90兆円といわれていますが、その他金融機関を含めれば百数十兆円が不良債権の合計で、1400兆円から不良債権金額と評価損金額を差し引けば、おそらく純預金は数百兆円に過ぎないだろう。

日本の銀行は不良債権という貸出債権と、バブルに伴って生じた預金を両方抱え持っている。この時点で銀行が一番困ることは預金を引き出されてしまうことだ。この問題の解決方法としてはリチャード・クー氏が言うように時間をかけて、その間は公共投資で経済を支えていくという方法だ。

もう一つは銀行を潰してアメリカのハゲタカファンドに売却してしまうという方法だ。小泉・竹中内閣はこの方法をとろうとした。韓国などではこの方法がとられた。ところがりそな銀行の場合は2兆円の公的資金の投入で株主責任はとらない方法がとられた。小泉・竹中内閣の方針の大転換が行われたのかはまだよくわからない。足利銀行にたいして、りそな方式が取られるかがわから無いからだ。

一番適切でアメリカでもスウェーデンでも東南アジアでもとられた方法は、公的資金で銀行の不良債権を買い取ってしまえば一番早くバブル崩壊の処理が出来る。買い取る公的資金は日銀に出してもらえばいいのだ。国の借金も増えないし銀行も企業も個人も救われる。ところがそのような方法がとられないのは何故か。アメリカのハゲタカファンドと日本のマスコミがグルになって、モラルハザードだと騒ぎ立てたためだ。

しかし日本でも住専がたった6000億円の公的資金を投入して問題が解決したのに、マスコミと学者が騒ぎ立てたために、政治が動けなくなってしまったのだ。私は3年前の2001
年3月10日の株式日記で次のように指摘しました。

http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu21.htm

2001年3月10日
先日はタイのタクシン首相の経済政策を紹介しましたが、今回はマレーシアのマハティール首相の金融改革を紹介します。マレーシアも97年のアジア通貨危機に見舞われ景気悪化と資産価格の下落に伴って不良債権が急増しました。金融システムの再建を進めるために98年に以下のような政策が取られました。

@公的資金による不良債権買い取り
A銀行への資本注入
B公的機関による債務処理交渉の仲介

以上のような政策が打ち出され、中央銀行のもとで迅速な不良債権処理が進められました。約一年間で金融機関の不良債権比率を目標以下の水準まで改善させ、自己資本比率を国際基準を上回る水準まで回復させました。

タイにしろマレーシアにしろほぼ同じような金融経済対策を打っています。日本でも92年に宮沢総理が公的資金で不良債権の買い取りを行おうとしましたが、責任追及を恐れる銀行の反対により出来ませんでした。宮沢総理の決断力の無さが失われた10年を作り出しました。

日本でこのような方法がとられなかったのは、タイのタクシン首相や、マレーシアのマハティール首相のような決断力と指導力のある首相がいなかったからだ。どちらにしろバブルの清算は何時かしなければならない。しかし相変わらずモラルハザードとか騒ぎ立てるマスコミや学者がいる。彼らはハゲタカの手先なのだ。

日銀などはオーバーバンキングだといっているが、景気が冷え込んでいるから投資先がないだけで、銀行の数が多すぎるということではない。銀行の機能が麻痺しているために、消費者金融が大繁盛だ。テレビを見ても消費者金融のCMで溢れかえっている。本来は銀行が融資すべき案件を消費者金融が代わってやっているのだ。

着々と日本の韓国化が進んでいる。新生銀行もあおぞら銀行も東京スター銀行もハゲタカの手に落ちた。企業や不動産も次々と買収されている。しかしこれらの多くは倒産させずに解決できたはずだ。日本の政治家や学者がが誤った政策を支持したために日本経済は迷走しているのだ。

http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu59.htm


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