現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産31 > 136.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: 苦悩する米銀(上)「金を貸さず」――BIS規制足かせ、借り手と信用力逆転も。1991/02/26【日本経済新聞】 投稿者 hou 日時 2003 年 10 月 14 日 20:42:52)
「米シティコープの真意は何か」――。世界中で巨額の資本調達を始めた米銀持ち株会社最大手のシティコープが、いまだに邦銀に協力を求めてこないため、都市銀行など主要邦銀がとまどっている。日本の金融自由化の進み具合への不満から「日本を素通り」したとすれば、新たな金融摩擦になりかねない。半面、「邦銀が頼みの綱と、最後になって無理な要請を持ち込まれても困る」と、各行首脳は気が気でないようだ。
シティは不良資産に対する貸倒引当金積み増しなどで、九〇年十―十二月決算が赤字となった。さらに、九〇年末の自己資本比率も九二年末を期限(邦銀は九三年三月末)とする国際決済銀行(BIS)の基準を満たしていない。このため、ジョン・リード会長は先ごろ、九三年までに四十億―五十億ドルの資本調達計画を表明した。
この計画に沿って当面、十億―十五億ドルをメドにした資本調達に乗り出し、すでにサウジアラビアの実業家から普通株に転換できる優先株発行で五億九千万ドルを導入した。そのほか欧州などでも資本調達を進めている。
ところがこうした場合、普通なら真っ先に声のかかる主要邦銀にはいまだに「非公式な打診もない」(第一勧業銀行首脳)。昨年、シティの日本国内の店舗増設に協力して関係を深めた三菱銀行首脳も「資本調達の話は来ていない」ともらす。上位都銀や有力な長期信用銀行の首脳もそろって同じ答え。
協力要請がないのは、「邦銀も資金的余裕がなくなったことをシティが知っているから」(上位都銀首脳)との見方が一般的である。株式相場の回復で昨年九月末よりましになったとはいえ、収益悪化やBIS規制の締めつけもあり、上位都銀でも「はいそうですかと資本を出せないのは事実」だからだ。
しかし、邦銀首脳が気にしているのは「日本素通り」説。シティは経営環境が悪化しているとはいえ、かつて邦銀に巨額の支援を求めたバンカメリカほど事態が切迫してはいない。しかも「誇り高いリード会長」だけに、できれば邦銀に借りをつくりたくないと考えているのでは、というわけだ。
しかも米国では、日本の金利自由化のペースなど金融市場開放策に対する不満が根強い。日本ねらい撃ちともいわれる金融報復法案が米上院で可決されたばかりでもある。これに湾岸戦争に対する日本の貢献ぶりへの不満が加わって、「四月以降金融摩擦が激化しかねない」との見方もある。
そうした時期に政治力もあるリード会長が「日本には頼らないとの姿勢を打ち出したとすれば、対日攻勢を強めるサインとも受け取れる」と上位都銀首脳は心配する。
それだけに、「恩もあるので、要請があれば一億ドル程度の協力は検討したいのに」(関西系上位都銀首脳)と打診を心待ちにする都銀も少なくない。「シティに協力すれば、金利自由化や制度改革での対日要求が多少は緩むことも考えられる」という思惑もあるようだ。
しかし、「甘い期待を抱いていると、後でとんでもない重荷を背負わされる恐れがある」(有力長信銀首脳)との見方もある。シティは資本調達の一環として地方債保証子会社など子会社株式の売却も検討している。仮にこうした子会社株式の売却を邦銀が要求された場合、単なる資本協力より「要請額が巨額になるのは目に見えており、応じ切れない可能性もある」(同)。
シティの真の狙いがどこにあるかはなお不明だ。しかし、シティから声のかからないことがこれほど話題になるあたり、湾岸戦争への貢献について日本自体が強く感じている「負い目」が金融界にも広がっているあらわれといえなくもない。