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2004年2月5日
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
原子力安全・保安院は、本日(2月5日)、「関西電力の海外MOX燃料調達に関する品質保証の改善状況について−平成15年10月23日付け関西電力改善報告書に対する当院の評価−」(以下、「保安院評価書」という)を発表した。その中で保安院は、「関西電力が海外MOX燃料の輸入燃料体調達業務を適切に行うために必要な品質保証体制を構築しているものと認められる」と結論づけた。しかし、以下に述べるように、この保安院の結論は、3月中のMOX燃料契約という関電のスケジュールを最優先させた、極めて政治的で無責任なものである。
■「関電報告書」は不十分だが書き直さなくてよい
「保安院評価書」は、10月23日付「関電報告書」に対し、至る所で、報告書提出段階では、適切な品質保証活動を実施するには不十分であると指摘している。しかし、保安院の指導により、関電が1月9日に「原子力燃料部門品質保証活動通達」を作成し、「原子力発電の安全に係わる品質保証規定」を改正したこと、そしてそのことを立入検査で保安院が確認したので、関電の品質保証活動は適切になったという。
「保安院評価書」はその副題が示すとおり、「10月23日付け関西電力改善報告書に対する当院の評価」である。「関電報告書」が不十分だというのであれば、まずは不承認にすべきである。少なくとも「関電報告書」の書き直しを命じるべきであった。
保安院が本日の安全委員会で、自らの評価を報告したとき、「関電の報告書の改訂版はあるのか」と委員から意見が出た。これに対し、保安院は「改定版はない。しかし中身は変わらないが深さが変わった」と答えている。極めて無責任な発言である。
■立入検査後でもなお不十分な点がある
さらに、保安院は、立入検査の結果でも「依然として改善すべき点も見受けられた」と評価している。例えば、「チーフマネージャを含む管理職の力量が重要であり、早急に品質保証体制に関する理解度のばらつきをなくすとともに、全員の理解度を高めることが必要である」とまで記している。
それにもかかわらず関電に「合格証」を渡している。
■保安規定との整合性を確認すべきだが、しなくてもよい
国は10月1日に、品質保証活動に関する法令を改定した。現在すべての電力会社が「保安規定の変更申請」を提出し、保安院は審査中である。この保安規定について、保安院は、本日発表した「保安院評価書」の中で、「関西電力が改善、構築したとしている品質保証体制と、新しい安全規制で求められる品質保証との整合性を確認する必要がある」ことを自ら認めている。
ところが、MOX燃料の調達については、保安規定と切り離して「合格証」を与えた。両者の整合性を確認すると言うのであれば、保安規定の変更申請に許可を与えることが先決であるのに、その許可を出す前に、MOXの品質保証についての許可を優先させてしまった。本末転倒である。これは、3月中にMOX燃料製造契約を行うという関電のスケジュールを最優先させたことに他ならない。
■「データねつ造はあっても安全性に問題はない」のか?
私たちは、グリーンアクションと共同で、1月26日、保安院に質問書を提出した。回答期限は2月2日であったが、未だ回答がない。その質問書の中では、「データねつ造はあったが安全性に問題ない」という関電の公式見解に対する、保安院の見解を問うている。品質保証活動は、原発の安全性と深く結びついているはずだ。そうでなければ、品質保証活動を行う意味もない。保安院は、本日の文書の中で、新たな「『品質保証』は、国民、社会からの原子力安全への要求に応えるため」と述べている。しかし、上記関電の見解を放置したままで、「品質保証」と何度繰り返しても、全く意味をなさない。
■不十分な報告書で、福井県等の理解を得るとは?
他方関電は、この保安院の発表を受けて、「保安院の評価に関するコメント」を発表し、「プルサーマル計画を着実に進めていく」と表明した。これまで関電は、自らの「報告書」(10/23)が完全なものだとして、プルサーマル推進の大宣伝を行ってきた。
例えば、11月26日付福井新聞に出した2面の全面広告では「プルサーマル計画を支えていくのは『人のチカラ』です」との大見出しのもと、「・・・『人のチカラ』。そのレベルアップのために、品質保証に関する専門教育の充実、監査員・検査員の資格制度の導入など、社内体制の強化を行いました。」と宣伝している。
ところが、「保安院評価書」では、「報告書が出された時点において・・・マネージャー以上の者が有すべき力量の設定がなされておらず、・・・的確な社内意志決定を行うには不十分であると判断した。例えば、ISO9001審査員研修が十分になされていなかった。・・・力量設定と教育訓練が体系化されていない」等々述べられている。
このように、今回の保安院の評価によって、「関電報告書」には不十分な点が多々あることが明らかになった。ところが関電は「報告書」を書き直すこともしない。その「報告書」で、福井県・高浜町・京都府、及び住民・市民に対してどう説明するのだろうか。
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581
http://www.jca.apc.org/mihama/
http://www.jca.apc.org/mihama/stop_pu/hoanin_hyoka040205.htm