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敗戦責任を問うということ
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投稿者 如往 日時 2003 年 10 月 27 日 21:05:35:yYpAQC0AqSUqI

(回答先: Re: ‘nobility obliges’から‘ability obliges’への転換 −如往さんへの返答 投稿者 戦争屋は嫌いだ 日時 2003 年 10 月 25 日 07:58:16)

 
 戦争屋は嫌いださん、こんにちは。過日は横レスにレスポンスをいただき有り難うございます。上の方のスレで敗戦責任論が展開されていますが、こちらでは補完の意味合いで簡単なレスに止めたいと考えます。


 天皇の戦争に関する責任問題の析出は、以前のあっしら氏の精緻な概括をベースにしたたこ氏等の論考によって、一応の決着をみたと考えています。すなわち、先ず戦前・戦中派自身が行なうのでなければ道義的責任を問うのは困難であること、純法律的には法的責任を問うことができないが、政治的責任に絡めて捉えるならば問うことが可能な余地があること、そして何よりも政治的責任を問うことは可能であるというものです。(概ねどの辺に落着したかは、過去ログを参照していただければ幸いです。)

 戦争屋は嫌いださんが恰も道義的責任を問おうしているように傍目には映じるかも知れませんが、戦争屋は嫌いださんが問おうとしている本意は真に政治的責任にあると思量しています。私は「義」といった道徳的価値を引き合いに出しましたが、単に道義的責任を問おうとしているのではなく昭和天皇に関してはそれをも政治的責任に帰着すると見据えて、為政者[ability obliges]には相応の高潔さが求められると考えるからに外なりません。ですから、戦後の今も尚、昭和天皇にはご退位の意思があったとかなかったとか云々されますが、事実は政治的責任をとられなかったこと(ご退位されなかったこと)が残念でならないのです。つまり、その事実の所在によって我々と為政者との現実的な命脈が保持された筈なのですが、切断されたまま既に半世紀以上が経過しているのです。これはあっしらさんがご指摘の通り、天皇はじめ時の為政者群に対し敗戦に纏わる政治責任を一徹に問おうとして来なかった我々国民の側にも大いに責任があると思っています。

 さて、「敗戦責任論」に関して言えば、戦前・戦中・戦後に列なる日本人が何故「敗戦の責任」を問おうとしないのか。それが人間の一般的性向に関わるものであるのならば、何故人間はそのような性向を形成するのか、さらに特に日本人に特徴的な国民性となったのか。敗戦責任を問おうとしてその依拠すべきところを模索していくと、決まってこうした自問が反復されます。
私は丸山真男に強く影響を受けた人達(50年代後半)よりも少し後の世代に属しますが、一般向の著作『日本の思想』において提示された諸々の視角は、今現在でも歴史(社会)認識のための基本的で通用性豊かな視点を提供していると思います。もうかなり昔のことですが、敗戦の政治責任を問わないことに代表されるような日本人の無責任の伝統(?)について気づかされる端緒にもなりました。おそらく、あっしら氏も丸山真男が掲げた歴史解析の視座に幾分か基軸を求めながら、なかなか問題解決の方策を創出できずに苦闘しているのではと推察しています。確かに、問わなければならないことは認識できても、さらに問うべき方法を見出していくのには非常な困難さを伴います。
 今は、何よりも先ず、我々自身が勿論‘ability obliges’を見定めつつ鼓舞していくことやより政治的な感度を高めることを含めて、政治的に成長していくことが肝要ではないかと考えています。

 また、お会いしましょう。

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