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「フランケ=グリクシュの報告(アウシュヴィッツについての親衛隊報告)」について
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/1036.html
投稿者 たけ(tk) 日時 2003 年 12 月 25 日 00:27:52:SjhUwzSd1dsNg
 

(回答先: 「ガス室があった」ことを示す客観的証拠について 投稿者 たけ(tk) 日時 2003 年 12 月 23 日 17:31:57)

「フランケ=グリクシュの報告」について。

Re: 「ガス室」関連の雑感
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/1000.html
投稿者 サルでもわかる 日時 2003 年 12 月 24 日 01:15:33:tvHqAk7nzItT2

で、ご紹介のあった山崎氏のサイト

http://clinamen.ff.tku.ac.jp/Holocaust/index.html

から証拠らしきものを拾ってきました。

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http://clinamen.ff.tku.ac.jp/Holocaust/SS_Report.html
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アウシュヴィッツについての親衛隊報告

 否定派はどにかく、自分たちにつごうが悪い情報をすべて、洗脳や保身の結果だとか偽造だといって退けてきました。
 しかし、彼らにとって決定的に不利な文書は、つぎつぎと出てきています。以下に紹介するものも、そのひとつです。
 1943年5月はじめに、親衛隊人事本部のアルフレート・フランケ=グリクシュ少佐はアウシュヴィッツを訪れ、その状況に関する報告を、上司のマクシミリアン・フォン・シェルフ大佐(人事本部長)およびヒムラーに提出しています。題して「ユダヤ人の再定住」。
 とりあえず、フレミングの英訳[1]から重訳しますが、のちにドイツ語からきちんと訳す予定です。以下がその全文です。

 アウシュヴィッツ収容所は、ユダヤ人問題の解決において、特別な役割を演じている。もっとも進んだ方法が、可能なかぎり短時間で、大きな注目をあびずに、総統命令の執行を可能にしている。いわゆる「再定住行動」は、以下のようなコースでなされる。ユダヤ人たちは夕方に特別列車(貨車)で到着し、この目的のために収容所で特別に設けられた地域に、特別な待避線で送り込まれる。そこにおいて、ユダヤ人は降ろされ、収容所長や数人の親衛隊将校の面前で、医師の一団によって労働に適しているかどうかを検査される。この段階で、労働計画に多少とも投入可能な人々は、特別な収容所に送られる。治療可能な病人は医療キャンプに直接に入れられ、特別な食事によって、健康を回復することになる。これらすべての背後にある基本原則は、労働のためにあらゆる労働力を確保すること、である。これまでのような「再定住行動」は、全面的に否定される。というのは、貴重な労働エネルギーを継続的に破壊するのは、あまりにも無駄だからである。
 労働に適さない人々は、外部から入れる大きな建物のなかの部屋に入れられる。彼らは五、六歩下ってかなり長い、きちんと建設され、きちんと換気された部屋に入る。部屋には左右に並んだベンチがある。部屋の照明は明るく、ベンチには番号がつけられている。囚人たちは、新しい仕事のために洗浄され消毒されるのだと言い聞かされる。それゆえに、彼らは水浴のため、完全に脱衣しなければならないといわれる。パニックを回避し、いかなる不都合をも防ぐために、彼らはおのおのの番号のもとに衣服をきちんと積んで、入浴のあとにふたたび自分の持ち物を見いだせるようにせよ、と告げられる。一切が完全に秩序だって進行する。ついで、彼らは小さい回廊を通り、シャワー室に似た広い部屋に入る。この部屋には、三つの大きな柱があり、そのなかに部屋のそとからある種の物質が投入されうる。300から400人の人々がこの部屋に入ると、ドアが閉じられ、物質を入れた容器が柱のなかに投げ込まれる。容器が柱の下部にぶつかると、特定の物質が発散され、人々は一分以内に眠り込む。数分後、エレベーターとつながった、別の側にあるドアが開かれる。死体の髪は切り取られ、専門家(ユダヤ人)の手で、歯(金歯)が抜き取られる。ユダヤ人たちが、歯のなかに宝石、金、プラチナ等を隠していたことが発見されている。そのあと、死体はエレベーターに積み込まれ、10の大型焼却炉が設置されている一階に上げられる(新しい死体は特別よく燃えるので、焼却全体にわたって、50ー100ボンドのコークスしか必要としない)。この仕事はユダヤ人囚人によってなされるが、彼らは二度とこの収容所のそとには出られない。
 こうした「再定住行動」の成果は、これまででユダヤ人50万人にのぼる。目下の「再定住行動」焼却能力は、一日1万人である。

 以上がフランケ=グリクシュの報告です。
 地下に番号つきのベンチのある縦長の脱衣室があり、そこからガス室までの通路があること、柱状の装置を通じて毒ガスが投げ込まれること、死体がエレベーターで一階に運ばれて焼却されることなどからして、これはおそらくビルケナウのクレマ2の記述だと思います。クレマ2は43年5月前半には操業していました。
 否定派は例によって、細部における違い等をあれこれいいたてると思います。しかし、重要なのは、このような報告が書かれ、親衛隊本部に送られていたという事実のほうです。アウシュヴィッツにガス室がなく、そこでガス殺が行なわれていなかったなら、なんでこのような文書が親衛隊高官に送られたのか、西岡さんのせりふを借りていえば「納得のいく説明」を求めたいものです。

 [1] Gerald Fleming, Hitler and the Final Solution, Univ. of California Press, Berkeley/Los Angeles, 1994, pp.142-3.

 First Uploaded: 05/06/1999
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すごいですね。鮮明に描かれていますね。昔見た映画のデジャブかと錯覚してしまいました。

もしこれが本物であれば明白な証拠になります。とりあえず証拠の成立・発見に関係する以下の情報が欲しいです。

(1)発見日、発見場所、発見者
(2)用紙とインクの鑑定結果
(3)現物の写真と「全文」
(4)できれば、フランケ=グリクシュさんが書いたものであることが明白である他の文書。と、それとの比較による筆跡鑑定、文体の比較の鑑定。(これは無理かも)

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ただし、山崎さんは「以下がその全文です」と書いてあるけれど、これが報告書の「全文」ということはあり得ないですね。この部分だけでは報告書の形になっていないです。報告書の全文であれば

(5)報告日、宛て名、報告者
(6)報告文言:「何時何処に行って誰の案内でxxを見たので、xxを報告する」という段落

があるはずですね。その部分は誰かが省略してしまったのでしょう。(3)の現物の写真とか「全文」が是非欲しいです。

と誉めてみましたが、疑問点をいろいろ考えた結果、ほぼ99%、偽造であろうという結論になってしまったのです。「否定派は…偽造だといって退けてきました」という予言通りになってしまったのは、ちと悔しいけど、しょうがない。

以下に偽造だと判断した理由を述べます。

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報告書としての不自然さ:

(7)数字の扱いの不自然さ

>こうした「再定住行動」の成果は、これまででユダヤ人50万人にのぼる。目下の「再定住行動」焼却能力は、一日1万人である。

50万人は累計、1万人は一日あたりの人数ですね。

累計を書くなら何時から何時までの期間の累計であるかを明示しなければ報告書としては不適切です。

1日の処理能力を報告する場合には、キャパシティー(最大可能能力)なのか実績(通常の稼働日における平均処理実績)なのかを明示しなければ報告書としては失格。

さらに、1日の処理能力にあわせて、週のなかでの稼働日数も報告しなければ意味がない。

50万人÷1万人=50日とすると2ヶ月弱となる。もう少し長い期間だとしても、開始直後の報告であることには変わりがないだろう。もし、開始直後の報告であるとするなら、初期に生じるはずの問題点の有無や順調に稼働するまでの状況についても書いてなければおかしい。

(8)理由の扱いの不自然さ

報告書というのは事実の報告が主であり、見聞した事実は5W1Hを明確にして記述すべきものです。

報告書に「報告した事実に対する報告者の評価」を付けることは可能だろう。しかし評価というのは、与えられた目的にたいして、その事実がそのように役立っているか/有害であるかの評価である。報告者が評価した場合にはその理由も必要になる。

ところが、この文章には「事実を説明するための理由」という変わった「理由」がちょこちょこ出てくる。

>これらすべての背後にある基本原則は、労働のためにあらゆる労働力を確保すること、である。
>貴重な労働エネルギーを継続的に破壊するのは、あまりにも無駄だからである。
>パニックを回避し、いかなる不都合をも防ぐため

これらは、報告書で指摘した「事実を説明するための理由」になっている。

しかし、このような「事実を説明するための理由」は、通常は、報告者が疑問に思った点や、報告を受け取る人間が疑問に思いである点について、現場責任者に見解を問い合わせて、こういう答えを得たという形で行われる。誰から聞いたかを明確にして伝聞の形で記載するべきものである。

ビジターとして短期間観察した報告者が推測で理由を書いても意味がない。ましてや、自分の推測であるのか、現場責任者からの伝聞であるかも明記せずに、あたかも客観的事実であるかの如く「理由」を記載するのでは報告書としては失格と言わざるをえない。

* 現場の責任者が報告する場合には別。自分が判断した理由を述べていることが明らかなので、客観的事実であるかの如く理由を記載したとしても問題はない。

(9)固有名詞が出てこない不自然さ

「特別な食事」とか「ある種の物質」とか、内容が不明確な言い回しが多い。報告書はできる限り具体的に書くべきものである。

報告書で名前を隠す必要があるのろうか?

どのように特別なのか、どのような物質なのかを説明しない報告書に価値があるのだろうか?

特定の場所でしか通用しないような事実を記述しておいて、その場所を明示しないのは、報告書として適切だろうか?

>彼らは五、六歩下ってかなり長い、きちんと建設され、きちんと換気された部屋に入る。部屋には左右に並んだベンチがある。>小さい回廊を通り、シャワー室に似た広い部屋に入る。この部屋には、三つの大きな柱があり、

(10)「これまでのような再定住行動は全面的に否定される。……無駄だからである」とある。

この部分は、もし、本当に報告書に書かれていたとしたなら、「再定住行動の命令者」との関係でかなりシビアな問題が生じる。

古い命令が有効である場合、現場が「無駄だから」と判断して古い命令を全面的に否定したら大問題になるだろう。

命令者が命令を変更して新たな再定住行動が始まったのであれば、「無駄だから」という理由付けはあり得ない。

(11)ユダヤ人を主語とした受動文で書かれている部分がある。

文法的に誤りではないが、能動的主体を明確にした能動文で書かないと、報告書としては不適格。

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ユダヤ人の視点で書かれている:

(12)非ユダヤ人の収容者の存在について、全く触れられていない。

この文書で奇妙なのは、非ユダヤ人の収容者の存在について、全く触れられていないこと。

この文書の趣旨が『総統命令である「《ユダヤ人の》再定住行動」においてアウシュヴィッツ収容所が特別な役割を演じている』というものだとしても、同一収容所内に非ユダヤ人収容者も居る以上、その一団との関係の調整が管理運営上の重要問題になるはず。同じ収容所内で、ユダヤ人だけを特別扱いにすると、さまざまな問題が生じるはず。従って、非ユダヤ人の存在について一言も触れられていないのは不自然。

(13)ユダヤ人を主語として書かれている部分を数えてみた。

ユダヤ人を主語として書かれている部分を数えてみた。

「ユダヤ人は……送りこまれる」「ユダヤ人は降ろされ……検査される」「病人は……入れられ……健康を回復する」「人々は……入れられる」「彼らは……入る」「囚人たちは……言い聞かされる」「彼らは……言われる」「彼らは……告げられる」「行進する」「彼らは……入る」「人々は……眠り込む」「死体の髪は……切り取られ、ユダヤ人の手で……抜き取られる」「仕事は……ユダヤ囚人によってなされる」「彼らは……出られない」。

ナチス側の人間が主語になっている文を数えてみた。

……なんと、ナチス側の人間が主語になっている文は一つもない。

人間が主語になった文は100%ユダヤ人が主語になっており、非ユダヤ人の収容者どころか、ナチス側の管理者の存在さえ主体的な存在としては扱われていない。

これは文体のうえからの分析だが、この文章の作者の視線が文体にあらわれたと見てよいだろう。

(14)ホロコーストの視点

この文書ではユダヤ人にユダヤ人を殺させる、という図式が強調されている。すなわち、この文書は、強制されたホロコースト(ユダヤ人が行う生贄の儀式)という視点で書かれている。

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結論

親衛隊人事本部の少佐が、このような報告書を、上司とヒムラーに提出した、とは考えられない。

上記(1)(2)(3)によって本物であることが証明される可能性もないわけではないので、1%の可能性として残しておきます。

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