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9月22日【東京新聞】朝刊 ニュースの追跡
米で着々「完全監視社会」計画 読書歴から歩き方まで【東京新聞】
日本でも「監視カメラ」が急増する中、米国で9・11事件後、SF小
説ばりの「完全監視社会」計画をめぐり、安全とプライバシー保護の対立
が激化している。空港で先取りされつつある一部システムは、すでに日本
にも侵食を始めている。人ごとでは済まされない危ない計画を探ると―。
(田原拓治)
図書館の貸し出し記録を連邦捜査局(FBI)が読み、司法省が全大学
に学生名簿の提出を求める。一昔前なら物議を醸したことが、米社会では
9・11以後、日常茶飯事になった。 そんな中、昨年来、ひときわ注目
を集めたのが、国防総省に新設された情報認知局(IAO)の「テロ情報
認知(TIA)」構想だ。責任者のジョン・ポインデクスター氏は、イラ
ク戦争を推し進めた新保守主義(ネオコン)派に近い。
TIAは従来のテロ対策とは根本的に異なる。追跡ではなく、国民の可
能な限りの個人情報を蓄積し、テロリストの特徴点と重なる要注意人物を
あぶり出す。
蓄積情報は、犯罪歴や診療歴に始まり、出入国や移転記録、クレジット
カードの履歴、インターネットの利用履歴、社会保険、運転免許証、銀行
口座の動き、旅行代理店の利用歴など。ギガバイトの百万倍の容量を持つ
「ぺタバイト」級のデータベースに、情報が蓄積される。
名目『テロ対策』矛先かわす狙い
五年計画で、2003会計年度では1億3700万ドルの予算が付いた。
だが、昨秋から計画内容が漏れ始め、政府は今年五月、旧名の「全情報認
知」を「テロ情報認知」に変えた。不合理な捜索などを禁じた憲法を盾に、
プライバシー保護を訴える市民団体の矛先をかわすのが目的だ。
しかし、市民団体はポインデクスター氏の個人情報などをネット上に流
して対抗した。結局、今年七月の議会で04年度の国防予算では「TIA
計画にはいかなる資金も与えない」という条項が付けられ、事実上、凍結
を強いられた。
しかし、IAOの上部機関にあたる国防高等研究計画局(DARPA)
は、TIAを高度化したライフ・ログ」計画を策定した。
全米白由人権協会(ACLU)などによると、これはTIAが覆う情報
のほかに視聴した番組、歩き方などの身体特徴、読書歴なども加え、個人
の行動の「癖」を把握。犯罪者と行動パターンが類似した人物を特定する
のが狙いという。
すでにDARPAはこの夏、産業界や大学の研究者らに研究計画の企画
案提出を求めているという。
空港で始まった個人情報照会
一方、空港でも手荷物検査が一段と厳重になっている。01年11月に
新設された運輸保安局は、「乗客事前認識コンピューターシステム
(CAPPS2)」の試験運用をデルタ航空などの協力で導入した。
航空券購入時のデータを基に、犯罪歴や社会保険、自動車登録、クレジ
ットカードの利用歴などを白動検索する。乗客を「赤(危険)」「黄(要警
戒)」「緑(安全)」に識別し、搭乗を拒否するケースも出ている。一度、
チェツクされると履歴は50年問消えず、同姓同名で引っかかる場合も。
デルタ航空の利用ボイコツト運動も起きている。
日本、組み込まれる恐れ
日本政府は米国の要請により、顔の特徴(バイオメトリクス)など生体
識別情報を記録した新たなパスポートを05年度までに導入する方針を固
めた。
米国人でテレビプロデユーサーのデーブ・スペクター氏は「不幸なこと
だが、事件が発生してからでは遅く、監視強化の流れは止められない。監
視なしの社会という理想は捨てたくないが、現実は重い」と話す。
これに対し市民団体「プライバシーアクション」の白石孝代表は懸念を
示す。「米国民も9・11から2年たち、政府の動きを冷静に見つつある。
しかし、TIAも細かく別事業名に分けて進められており、実態はつかみ
にくい。パスポートの例といい、日本が監視社会の流れに連動していくの
が怖い」