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(回答先: 「良きライバル」を求めるアメリカの多極主義 田中 宇 投稿者 TORA 日時 2003 年 7 月 18 日 16:57:57)
↑疲れの見えるアメリカ兵
昨日はル・モンドの記事を紹介しましたが、日本のマスコミに流れる記事はアメリカ発のものが多く、国際情勢の分析にはあまり役に立たない。アメリカ自体の分析には役に立つが、ワールドワイドな分析はイギリスのFTやフランスのル・モンドなどの高級紙が役に立つ。日本には定評のある高級紙はないし、優れた記事を書ける人もいない。
最初に引用させていただいた田中宇氏の記事は国際情勢の分析に役に立つのでいつも読んでいる。一流大学を出て一流新聞社に入ったエリート記者たちはいったい何をしているのだろうか。編集長達から御用記事ばかり書かされていくうちに才能まで腐らせてしまうのだろう。
ブッシュ政権のタカ派やネオコンの政策に陰りが出始めている。軍事力でもってアフガニスタンを民主化し、イラクも直接軍事介入によってフセインを倒し民主主義政権を作ろうとしているが、様子を見ていると米軍自身が自分を守ることに精一杯で、とても民主主義政権が出来るような状況ではない。
もともとアメリカのイラク攻撃の戦略的目的は石油の確保にあるが、石油が狙いなら金を出せばフセインはいくらでもアメリカに売ると言っていた。フセインはアメリカに対し石油のエンバーゴをしたわけではない。石油代金の決済をドルからユーロに切り替えただけである。同じようなことはイランもしているし、ベネズエラのチャベスもしている。
だから問題の本質はアメリカのドルの基軸通貨の地位を守るための経済戦争であったと分析できる。しかしその目的は達成されたであろうか。むしろイラク攻撃はアメリカ軍を砂嵐に巻き込み、アメリカ経済に影を投げかけている。ドルの基軸を守るためならクリントン流の経済政策を続けていればよかった。
ブッシュ大統領はもともと産軍複合体とネオコンに支持されて大統領になった。だからどこかで戦争をすることを求められていた。私も近いうちにアメリカは中東で戦争を始めるだろうと予測記事を911の前に書いた。それはアフガニスタンで達成されたはずだ。アフガニスタンは何もない国であり、タリバンだろうが北部同盟だろうがどうでもいい国である。
ところがイラクはそうではない。中東の中心であり水も石油も豊富で、それを異教徒のアメリカに蹂躙されることは全アラブ諸国の怒りをかうことははっきりしていた。ヨーロッパにとってもイラクとのつながりは深く、アメリカとEUの対立を決定的にした。それはドルとユーロの対立をもはっきりとさせた。
さらにはサウジアラビアのアメリカ離れを招き、トルコとも決定的な離反を招いた。イラクも制圧は難しそうだ。南ベトナムですら制圧に50万の軍隊を送ったが失敗している。アメリカがもしイラクの制圧に失敗したらどうなるのだろうか。中東の油田地帯からの全面撤退を余儀なくされるのは確実だ。
アメリカは石油に浮かぶ帝国である。アメリカの盛衰は国内石油の産出量に比例している。アメリカは買い物一つでも自動車がなければ生活できない。ソビエト帝国が滅んだのは石油の増産に失敗したからである。トラックの燃料の欠乏はソビエトの国家機能を麻痺させた。農地には作物の山が出来ているのに、モスクワには空の商品棚があるだけだった。
アメリカ石油帝国の国内の巨大油田は枯渇しようとしている。残る油田もアラスカとかメキシコ湾岸上であり採掘コストが高い。これはチェイニー副大統領自ら作成したレポートで言っていることである。今もって石油に代わるエネルギーは開発されていない。だからアメリカ帝国の衰退は時間の問題である。ドルは限りなく安くなっていくであろう。
このような分析をしているのは私ぐらいで、親米派のエコノミストなどは1000年もアメリカ帝国の繁栄が続くと思い込んでいる。兄弟国家ソビエトの崩壊があっという間であったように、アメリカの崩壊も考えられる。その場合、日本は国防も外交もアメリカにおんぶに抱っこの状態では危機にさらされる。だからこそ日本の自立を訴えているのだが、誰も理解できないようだ。
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu50.htm