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(回答先: <爆発事故>新日鉄名古屋製鉄所でガスタンク 15人けが 東海【毎日新聞】 投稿者 荷電粒子 日時 2003 年 9 月 05 日 00:13:14)
◆数分前に小爆発
愛知県東海市の新日本製鉄名古屋製鉄所でガスタンクが爆発、十五人が負傷した事故で、大爆発の数分前に規模の小さい爆発が起きていたことが四日、わかった。専門家は、小爆発とそれに伴う火災でタンクが破損し、貯蔵されていたコークス炉ガス(COG)が外気と混ざって爆発しやすい混合気体になったことやガスが熱せられたことで、大爆発が誘発された可能性を指摘している。二回の爆発はタンク内部で起きたとみられるが、内部には発火源になるような機械類はないため、愛知県警などはタンク内の設備の摩擦が原因となった疑いがあるとみて、調べている。
関係者によると、小さな爆発音は、構内の事務棟などにいた複数の従業員が耳にしていた。タンクをモニター監視していたエネルギーセンターにも問い合わせがあり、爆発したコークス炉ガスタンクと隣接のタンクの間の下部で、炎のような赤い光が見えたという。
二度目の爆発は、その数分後に発生。「ドーン」という大きな音とともに、数十メートルの火柱が上がり、爆風で事務所の窓ガラスが割れるなどの被害が出た。
COGの成分は、水素50%、メタン30%、一酸化炭素7%、エチレン4%などでいずれも可燃性だが、新岡嵩・東北大教授(燃焼工学)によると「酸素が混じった混合気体でないと燃焼せず、タンクに入れて密閉した状態では、大爆発事故は起きない」という
このため、小爆発でタンクに亀裂が入るなどしてガスが漏れ、混合気体ができた可能性があるほか、消防研究所(東京都三鷹市)の上原一雄・火災原因調査室長は「漏れたガスが燃え続け、タンク内部の気体が熱せられたことも、大爆発の原因になったのではないか」と分析している。
一方、県警や製鉄所などによると、爆発したタンクは外壁部分に損傷が少なく、内部から外へ向けて力が加わった形で変形している部分があった。タンクの鉄製の屋根は吹き飛んで、タンクのすぐ脇に落下しており、こうした状況から、同社では四日の記者会見で「タンク内部のガスに何らかの原因で引火し、爆発が起きた可能性が高い」との見方を示した。
タンク内には火種になるような機械類はないが、ガスを空気から遮断する浮きぶたの周囲には密閉性を高めるためのゴム(シールゴム)が張ってあった。浮きぶたはガスの量に応じて上下するが、スムーズに動くようポンプで常時、グリス(潤滑油)が散布される仕組みになっていた。シールゴムの損傷やグリスがうまくまかれなかったことが原因で、浮きぶたと内壁との間で摩擦が生じ、グリスに引火した可能性も考えられ、県警や東海市消防本部で慎重に調べを進めている。
◆新日鉄「あす操業再開」
爆発事故で操業を停止している新日鉄名古屋製鉄所は四日夜の会見で、「応急対策をして六日朝から操業を再開し、七日から新しい製品を徐々に供給できる」との見通しを示した。ただ、自動車メーカーは慎重な構えを見せており、トヨタ自動車では「週内は予定通り操業を続けるが、来週以降の生産については、五日朝に判断する」としている。
新日鉄側は最大の顧客であるトヨタへの鋼板の供給について、「トヨタが必要とする商品のリストと新日鉄が持っている在庫をすりあわせた結果、来週いっぱいトヨタが生産を続けられることが分かった」といい、ラインへの影響を回避するメドがつきつつあるとしている。しかし、トヨタ以外に、ホンダ、三菱自動車工業、スズキなどとも取引があり、応急対策をしても一度に大量の供給をまかなえるかどうかは、なお流動的だ。
写真=鎮火後も放水が続く新日鉄名古屋製鉄所のガスタンク(4日午前9時45分、本社ヘリから)
◆外部検査 39年間なし 高圧ガスに該当せず 法の規制対象外
十五人が重軽傷を負った新日本製鉄名古屋製鉄所の爆発事故で、爆発したコークス炉ガスタンクは、国や都道府県など第三者機関による検査対象外の施設だったことが、四日わかった。タンク内には八気圧のガスが蓄えられていたが、法律上、高圧ガスには該当しないことなどが理由だ。学識者は、今回の事故を機に、国などの指導監督を強化する必要性を指摘している。
総務省消防庁、経済産業省、厚生労働省などによると、ガスによる災害防止を目的として、貯蔵や製造などを規制する法律には、「高圧ガス保安法」があり、ガスを扱う企業などには、都道府県などによる年一回の保安検査が義務づけられている。
しかし、規制対象となる高圧ガスは「十気圧以上」。経産省原子力安全・保安院保安課によると、爆発を起こしたタンクの内圧は八気圧程度のため、同法の「高圧ガス貯蔵施設」には当たらず、検査の対象とはなっていなかった。
一方、新日鉄名古屋製鉄所は、他の事業者にもガスを提供しており、ガス事業法による規制対象にはなっている。しかし、同法は、施設を建設する時などに届け出を義務づけているだけで、第三者による検査などは規定されていない。
タンク内部に蓄えられたコークス炉ガスについても、消防法上の危険物には指定されておらず、国への届け出などは義務づけられていない。
労働安全衛生法上の「有害物質」には該当するが、同法も二年以内の自主点検を定めているだけだ。
タンクは一九六四年築造で、容量四万立方メートル。三十九年間、会社による自主点検だけで運用されてきたことになる。新日鉄側は、「十日に一度は自主検査を行っている」とし、今年五月から六月にかけては、「五年ぶりに大規模な修理をしたばかりで、異常はなかった」と説明していた。
河村祐治・広島大名誉教授(化学工学)は「製鉄事業にとって、ガスは副産物であり、あまり注目されていない。しかし、その量は膨大で、実際に爆発事故も起きた。今後、監督したり安全策について考えたりする公的な機関が必要ではないか」と指摘している。
◆爆風被害、3キロ先まで タンク3基とも修復不可能
名古屋製鉄所の林岳志総務部長らは四日、午前と午後の二度にわたり会見した。二村文友所長は、朝の会見の冒頭、「多大な迷惑をかけ、おわび申し上げます。原因究明と復旧に全力を尽くします」と謝罪した。
しかし、爆発原因については「わからない」とするだけ。夜になっても、「現状では推測できない」と繰り返した。
一方、製鉄所内の被害については、ガラスの破損が約千枚、屋根や壁などの破損も二十数か所に上ることを明らかにした。爆発したタンクと、隣接する二基のタンクはいずれも修復不可能な状態で、新設の必要があるという。生産施設そのものには被害はないため、この日夜から一部のコークス炉の運転を再開した。当面、タンクを使用しない暫定的な運用をするという。
また、東海市内の民家二十八戸から、爆風でガラスが割れたり、ふすまが外れたりしたとの届け出が寄せられた。被害は製鉄所の東から東南方向に集中し、その範囲は約二・五―三キロ先まで及んでいた。
こうした被害について、林総務部長は「電話で謝罪した。修理に要した費用は補償したい」と説明した。
写真=ガスタンク爆発の爆風で被害を受けた、タンク近くの建物内部(4日、愛知県東海市の新日鉄名古屋製鉄所で)
http://chubu.yomiuri.co.jp/phw/today001.html
★ 設備の老朽化か、意図的な操作によるものか不明ながら、影響の大きさからも、原因究明が注目される。