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★阿修羅♪
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８０年代以前の新聞を調べると、「加害者」「容疑者」などという言葉はまず出てきません。
当時、刑事被疑者は原則呼び捨て（無罪判決あるいは無罪判決が予想される場合のみ「被告」、再審事件は「再審被告」）でした。「容疑者」は、例えば「捜査線上に浮かんだ容疑者は６０名以上」と一般名詞として使われることが稀にあるだけでした。
しかし最近のマスコミは！ 逮捕されたら「容疑者、容疑者！」と執拗に連呼し、あたかも「容疑者」とつければその人物を貶められると思って狂奔しているかのようだ！
誘拐事件の記事で「容疑者からの電話を受けた家族は」だの、強盗事件の記事で「容疑者は銃を突きつけて」だの、８０年代以前なら間違いなく単に「犯人」と書かれたはずのポジションが執拗に「容疑者」に置き換えられているのを見ると、そのように思えてなりません。
「容疑者」は「罪を犯した疑いのある人（国語辞典より）」です。「罪を犯した人」すなわち「犯人」の同義語では断じてない。名探偵は「お前が犯人だ」とは言っても「お前が容疑者だ」とは言わないし、「あなたも容疑者ですよ」と言ったとき、それは「実は無実かもしれないけどね」という意味が当然含まれているように。
「加害者」という用語も近年異常に増殖した言葉です。「加害者の人権」など、憲法にも刑事訴訟法にも全くない言葉が執拗に連呼されている（刑事訴訟法の目的は法治国家としての適正手続きの保証であり、悪人の保護なんぞでは断じてないのに）。痴漢冤罪救済を訴えていた人が逮捕された記事で発見したときは、執筆者と編集幹部の悪意を感じずにはいられなかった！ 冤罪を訴える人が「加害者」なんて言葉使うわけないだろ！
何かあれば「被害者の人権」を絶叫して被疑者迫害に狂奔（でも被害者のプライバシーを執拗に晒し者にする行為を絶対にやめない）するくせに、警官や教師が権力を悪用したという事件ではひたすら被疑者を擁護し、被害者を誹謗中傷する「週刊新潮」が、抗議に対して「加害者が冤罪を主張している」と平然と回答した（冤罪者を加害者と呼ぶのか？）例もあるように、「加害者」の横行も、単に人権を貶め、無力化しようというゴロツキどもの悪意を感じないではいられないのです。
もともと悪い意味などなかったのに、悪意をこめてさんざん使われたせいで差別語になってしまった言葉はたくさんあります。「部落」は単に「集落」という意味だったし、「支那」も「中国」と言いたくないあまり執拗に使われたせいでああなってしまった。
私がここで言いたいのは、「容疑者」という言葉はできるだけ使わないように、使うときは本来の意味に沿って、控えめに使ってほしいと言うことなのです。序盤で書いたような事例なら、「犯人からの電話」でいい。逮捕された人を呼び捨てにしろというわけではありません。国会議員や会社重役のような大物なら「○○議員」「××社長」で、辞職しているなら「元」を挿入すれば、それでいいじゃありませんか。どうして執拗に「容疑者」と呼ばねばならないのでしょう。肩書きのない人なら？ 何の肩書きもない市井の人なら新聞記事は「３０歳の男」という風に匿名で充分。被害者でもない限り、すぐに詳細を知る必要はどこにもない。大体、そんなせこい事件なら、新聞に頼らずとも口コミで伝わるでしょ。口コミが伝わってこないということは、あんたは知る必要などないってことだ。
「加害者」もそう。これは「被害者」と敵対する者としての概念です。「被疑者」には「強大な国家権力」が敵対します。「加害者の人権」という言葉は、「被害者の人権」という存在と敵対させ、とにかく人権を貶めよう、引き降ろそう、適正手続きを無力化してやろうという悪意のある言葉です。だから某国務大臣のような、保護された少女を「加害者か被害者かわからん」などと放言する者まで出てきます（誰に加害したの？）。
この「阿修羅」に投稿する場合でも、「嫌疑を受けている、本当は無実かも知れない人」という意味以外での「容疑者」は使わないようにお願いしたいのです。「加害者」も、「被害者」の対置として以外は同様に。あなた自身がマスコミ関係か、知り合いにいるなら、このような申し入れをしてみて頂けませんか。
以上、ささやかな提案でした。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。