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(回答先: Re:第一段階は終りね 投稿者 馬場英治 日時 2003 年 8 月 09 日 08:02:55)
馬場さん、こんにちわ。
馬場さん:「普通預金(要求払い預金)を逆向きから債権として見ると,期限無指定の定利率債権ということになります.定期預金は有限期限の定利率債権です.A,B,C,D,Eの5人の人がいて,A→B→C→D→Eの順に100円が移動したとします.BはAに100円の証券を発行し,CはBに同じく100円の証券を発行します.場にはキャッシュ100円と400円分の証券があります.つまり,400円分の信用創造が成されたと言えます.経済が順調なら400円分の証券はキャッシュとして働くので,経済を活性化する効果があります.Xという人が400円分の証券を手に入れて,同時に払い戻しを要求したとすれば,そんなお金がどこにも無いことは明らかです.これが銀行システムの破綻です.銀行システムは要求払い預金が全額引き出されることを予定していないからです.」
例は、そのままでは「信用創造」に関する説明としては不的確で、“付け回し”に相当するものだと思います。
まず、「400円分の信用創造が成されたと言えます.経済が順調なら400円分の証券はキャッシュとして働く」というのは勘違いだと思われます。
例示された流れで実質性をもって動いているキャッシュは100円です。
「信用創造」をした人はXだと言えます。
100円が回ったことでA・B・C・Dが保有している証券を手に入れたのですから、Xが400円を支払ったと推測できます。
Xが払い戻しを要求した場合、Eは100円を支払えず、B・C・Dは、Xからそれぞれが受け取った100円でA・B・C宛に発行した証券の債務を完了することができます。
この場合、Xは400円を支払って300円を回収し、結果的に、XからEに100円が移転した(信用を創造した)ことになります。
(Aは債権だけを保有しているので、Xに証券を売却したままで済む)
例示された“付け回し”が大掛かりな「信用創造」と結びつく代表例は、米国のフレディマックやファニーメイといった政府系住宅金融会社が付回しの引き受け手になるときです。
A:住宅購入者
B:住宅販売者
C:銀行
D:ファニーメイ
E:投資家
C→A:貸し出し C→D:貸出債権売却 D→E:抵当証券売却
(A→B:住宅代金支払い)
銀行は、50万ドルの貸し出しを行い、その債権を52万ドルでファニーメイに売却する。ファニーメイは、その債権を証券化して53万ドルで投資家に売却する。
「信用創造」は、このような“付け回し”が可能であれば大掛かりに発生します。
このシステム内にいる銀行家であれば、手持ち資金50万ドルで1億ドルの貸し出しを実行し40万ドルの利益を上げることさえできます。
Aに50万ドルを貸し出しファニーメイにその債権を52万ドルで売却し、それによって回収した50万ドルを別のA’に貸し出すというサイクルを繰り返せば、200件の住宅融資を達成することはそれほど難しくありません。
しかも、売却した貸し出し債権との縁が切れるのでリスクはありません。
(リスクを背負うのは、ファニーメイであり、抵当証券を買った投資家です。住宅ブームが終われば抵当価値は下落します)
銀行家は、わずか50万ドルの元手で1億ドルの貸し出しを行い400万ドルの利益を手に入れることさえできるのです。
さらに、銀行家は、貸し出したAが住宅販売業者に支払ったお金の一部が自分のところに預金されたら、そのお金を新たな住宅購入融資に利用するでしょう。
貸し出し債権を買ってくれるシステムがあるのですから、払い戻しに数ヶ月の猶予がある預金であれば、利用しても問題が生じることはないでしょう。
(めちゃくちゃな「信用創造」を行っていても、決算時期には貸し出し債権を売却して保有していない状態にしておけば自己資本比率規制もクリアできます)
銀行家は、自分が貸し出した50万ドルの債権を52万ドルで売却して回収するだけではなく、自分が貸し出した50万ドルのうちたとえば10万ドルが自分に預金されることで、それを新たな貸し出し原資に利用することができます。
米国の政府系住宅融資会社は、一般国民の住宅取得を手助けするという美名のもとで運営されているのでしょうが、実態は、銀行家が超低リスクで「信用創造」を行いぼろ儲けができるための装置です。
失業者が増大しているなか、このような制度で支えられている米国の住宅ブームが終焉を迎えないと考えるほうが異常です。