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(回答先: 採点をお願いします。 投稿者 エンセン 日時 2003 年 9 月 08 日 21:46:34)
エンセンさん、レスありがとうございます。
採点はともかく(笑)、エンセンさんが出した結論は合理的なものです。
政府及びほとんどの国民は、政府の借り入れは将来の税金で返済されるべきものと考えています。
国債は将来の税金で返済せず別の手法で返済するという説明はなされておらず、政府の借り入れ負担が緩和されるのはインフレや名目GDPの拡大が継続したときというのが公式の見解であるはずです。
(日銀の直接引き受けや政府紙幣といった非税収での返済方法や歳出増加策は、政治のテーマにさえなっていません)
これを前提とすれば、政府の借り入れ上乗せは、増税を通じてより過酷な将来を招くことになります。
これについては、『「匿名希望」氏へのレス:ケインズ的延命策の陥穽 《ケインズ主義は「近代経済システム」の“死期”を早めた》』( http://www.asyura.com/2002/hasan12/msg/1118.html )を参照してください。
エンセンさんが出した結論は、財政をどうするかという問題を考えるとき考慮から外すことができないものです。
エンセンさんの説明と結論を覆すためには、政府の借り入れは将来の税収で返済する必要はないという論を立てる必要があります。
以下は、エンセンさんの考えに沿って思うところを書きます。
>もし、どこからも借金が出来なければ、これが本当の意味での日本の実力(現実)な
>わけですよね。
>これではいけないのでしょうか?
現状の政府債務残高と将来の返済計画は国民生活の困窮及びGDPの縮小を招くという意味で、現在の制度での政府債務の上積みは出来ないという判断と受け止めると合理的です。
単年度の国債費が20兆円で歳入が43兆円ほどですから、歳入の半分は過去の債務の利払いや返済のために費やされているとか、わずか2年分の国債利払い&償還のために単年度の歳入が費やされていると言えます。
これは、現実(生)の活動成果の5%ほどを表象する貨幣が過去の貨幣債務の履行のために消え去ることを意味し、GDPが拡大傾向にない限り経済活動に投じられることがないので、GDPを縮小させていく要因になります。
政府債務の上積みは、このような状況をさらに悪化させることです。
このような論理を踏まえて財政をどうするか考え、「これでもいい(歳出大幅減)」を採るのか、「経済的合理性に基づく増税策」を採るのか、「公式的制度以外の方策」を採るのかを決めなければなりません。
借金は論理的に出来ないとしても、経済的合理性に基づく増税は可能です。
(経済的合理性に基づくというのは、その増税によって中長期的には損失を被る人(経済主体)がいないということです)
公式的制度以外の方策(日銀直接引き受けや政府紙幣)を採れば、将来の増税を回避することができます。
論理的に考えれば借金できないのは確かですが、経済活動に使われていない余剰貨幣は存在しているので、「本当の意味での日本の実力(現実)」はそれを活性化した時点で見えてくるものだと思っています。
>もう日本はすべての借金(国債)をきちんとした形で清算していくつもりは無いとい
>うことなのでしょう。
>いつかは踏み倒すという考えなわけですよね。方法は色々とあるのでしょうが。
>だから行けるとこまで借りまくってしまおうと、一生懸命に自転車をこいでいる状況
>ですよね。
>闇金に苦しんで、死のうか逃げようか、というところまで行ってしまった人みたいに、
>日本もそこまでいつかは行ってしまうような気がします。というか必ずそこまで行き
>ますよね。
>それが分かっていて借金を増やしているわけでしょうから、確信犯ですよね。
その場限りでことを進めツケの始末は将来の人に考えてもらうという刹那主義は、原発と同じ構図ですね。
政府=財務省は、自分の目が黒いうちにそれが可能だとは思っていなくても、借金(国債)をきちんとした形で清算するつもりだと思っています。
踏み倒すという荒業を使わなくても、踏み倒したのと同じ成果が得られる手法も知っているはずです。
しかし、貿易収支や経常収支が赤字に転落し、外国から借り入れしなければならなくなったら、そのような手法を採ることは許されなくなります。
中南米や韓国のように金融&財政政策の自立性を失い、増税や緊縮財政で実のある返済を追求されるようになります。(円安の進行は国債借り入れを利息以上に膨らませるので、政策的介入がなくとも困窮化を招きます)
このような場合は、踏み倒すという荒業が行使される可能性があります。
>それともこの自転車操業は何とか持ちこたえて、うまい具合に立ち直ることが可能な
>のでしょうか。
支配者への手紙さんへのレスで書いたように、産業競争力が維持され貿易収支及び経常収支の黒字が確保されている限り、「国債サイクル」が危機に陥ることはないと考えています。
しかし、現在の政策や価値観で「うまい具合に立ち直ること」は期待できません。
[現実的政治問題]
新規国債の発行をやめ財政支出を大幅に削減するという政策は、「構造改革」原理主義者でも採用できないはずです。
新規国債の発行をやめその分歳出を削減すると、新たにざっと500万人の失業者が発生するというとんでもない状況になります。(公務員の給与を削減しなければ、新たな失業者が700万人くらい発生します)
既存の失業者と合わせると1000万人の大台を大きく超え、失業率は15%を上回る可能性もあります。
日本は議会制民主制を採っていますので、そのような状況をもたらした政権与党は選挙で大敗を喫することになります。
また、憲法で「健康的で文化的な生活を営む権利」が明記されているので、大幅に削減された歳出のほとんどを生活困窮者への扶助に支出しなければならなくなります。
(何もしない“公務員”が大量に生まれ出ます)
国民経済とは何なのか、国家とは何なのか、を真正面から議論しなければならないことだけは確かです。