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(回答先: 理論的には還付制度は正当 投稿者 ファイナンシャル・ディテクタ 日時 2003 年 6 月 21 日 22:35:53)
ファイナンシャル・ディテクタさん、こんばんわ。
非課税という消費税の例外措置を切り出し、個々の業者の損得勘定に焦点を当てているから判断がおかしくなっていると思います。
通常は、消費税の負担が一般消費者に付け回されているから、それと比較して個々の業者の損得を論じても、消費税全体の整合性は見えてきません。
(97年の消費税率アップがデフレ・スパイラルに陥る契機になったことも、消費税全体の仕組みを理解しないとわかりにくいはずです。個々の業者の静態的損得勘定は消費税率とは無関係ですが、GDP的な動態変動は避けることができません)
付加価値税の付け回し方式がこのような分かりにくさをもたらしている要因でもあります。
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ファイナンシャル・ディテクタさん:
【消費税導入前】
材料納入業者は20万円で売り、手元に20万円残る。
部品納入業者は20万円で買い、50万円で売り、手元には30万円残る。
最終販売業者は50万円で買い、120万円で売り、手元に70万円残る。
【消費税導入後】
材料納入業者は部品納入業者から、20万円と消費税1万円の合計21万円を受け取る。
材料納入業者は消費税1万円を国に納める。結局、手元には、消費税施行前と同じ、20万円が残る。
部品納入業者は材料を20万円+消費税1万円で買い、50万円+消費税2万5千円で売る。
部品納入業者は1万5千円を国に納める。結局、手元には、消費税施行前と同じ、30万円が残る。
最終販売業者は部品を50万円+2万5千円で買い、120万円で売る。
最終販売業者の手元には67万5千円が残る。消費税施行前と比べ、2万5千円減る。
【結論】
消費税導入により、材料納入業者、部品納入業者の収支は変わらず。貿易業者である最終販売業者のみ、収支はマイナス2万5千円となる。
国は2万5千円のプラス。
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【消費税導入後】
>最終販売業者は部品を50万円+2万5千円で買い、120万円で売る。
>最終販売業者の手元には67万5千円が残る。消費税施行前と比べ、2万5千円減る。
これは例外であり、通常であれば、
最終販売業者は部品を50万円+2万5千円で買い、126万円で売る。
消費税3万5千円を納付し、最終販売業者の手元には70万円が残る。消費税施行前と変わらないお金が手元に残ります。
この場合は、それを126万円で買った人が、最終販売者のみならず、すべての業者の消費税を負担したということです。(最終販売者の分だけではありません)
50万円で仕入れたものに70万円の付加価値を付けて120万円で販売したら、70万円×5%の3万5千円の消費税を負担するのが基本のかたちです。
それを負担しなくてもいいという例外措置が輸出です。
還付税制度のためにおかしくなっていますが、120万円×5%−2万5千円=3万5千円を負担しなくてもいいとするか、前の業者にも非課税を適用して還付するというのが論理的な対応であり、前の業者の消費税を負担した分の還付を最終販売業者が受けるという論理は成り立たないのです。(3万5千円の消費税を納付した後なら成り立ちますが)
さらに言えば、120万円で売っても十分利益が得られるものを130万円で売るのも別にかまわないことです。
いくら高く売ろうと、利益から見て消費税が転嫁できない価格であろうと、あなたが稼ぎ出した付加価値に5%の消費税をかけるというのが消費税の趣旨です。
>【結論】
>消費税導入により、材料納入業者、部品納入業者の収支は変わらず。貿易業者である最>終販売業者のみ、収支はマイナス2万5千円となる。
>国は2万5千円のプラス。
消費税というこれまでにない税が導入され、その負担のほとんどが個人消費者(及び政府部門)に付け回されているのです。
だからこそ、個人所得の低迷と先行き不安という経済状況のなかで利益を見込んだかたちで消費税負担を転嫁できなくなっていることが、デフレ・スパイラルの一つの要因でもあります。
あなたが結論とした内容が不都合だというのならば、付加価値税の付け回し方式ではなく、現在の消費税制度と異なる最終段階での一発消費税方式などに変更しない限り、デタラメは解消できません。
「国は2万5千円のプラス」というのは、何が問題でしょうか?
消費税という新たな追加課税をしたのですから、国がプラスになるのは当然です。
普通は個人消費者(=国民)が国のプラスを負担しているのに、この例では輸出業者が負担したかのように見えるだけなのです。
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ファイナンシャル・ディテクタさん:
もし還付が認められなかった場合を考察する。ケース2
貸し倉庫業のAさんと、アパート賃貸業Bさんの場合
ともに、修繕費50万円で、賃貸料120万円を受け取っていたとする。
【消費税導入前】
Aさん、 70万円が手元に残る。
Bさん、 70万円が手元に残る。
【消費税導入後】
Aさん 修繕費に52万5千円支払い、126万円の賃貸料を受け取る。 国に3万5千円の消費税を納付する。
Aさんの手元には消費税導入前と同じ、70万円残る。
Bさん 修繕費に52万5千円支払い、120万円の賃貸料を受け取る。(家賃には消費税をかけられない。)
Bさんが還付を受け取れないとすると、Bさんの手元には、67万5千円しか残らない。
Bさんは消費税導入により、損をすることになる。
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どうして、消費税前と消費税導入後を比較されるのでしょうか?
薄く広くという建前で新たな追加徴税制度として消費税が導入された後の比較をしなければならないのです。
アパート賃貸業Bさんが、消費税の納入義務者であれば、
賃貸料は120万円×1.05=126万円にしなければなりません。(しなくてもかまいませんが)
そうすれば、修繕費50万円を支払っても、消費税導入前と変わりません。
しかし、借りる人は消費税込みだろうかネットだろうが住宅賃貸料に支払うお金であることに変わりはないので、不況の折、126万円では借り手がいなくなれば、賃貸料を下げざるを得なくなります。
不動産賃貸がかってのように課税対象であれば、デフレのため、アパート賃貸業Bさんは、消費税込みで120万円で貸すようになる可能性が高いと思われます。(115万円+消費税5万円)
>Bさん 修繕費に52万5千円支払い、120万円の賃貸料を受け取る。(家賃には>消費税をかけられない。)
>Bさんが還付を受け取れないとすると、Bさんの手元には、67万5千円しか残らない。
>Bさんは消費税導入により、損をすることになる。
という話が、
Bさんは 修繕費に52万5千円支払い、120万円の消費税込みの賃貸料を受け取る。
Bさんは、5万円−2万5千円=2万5千円の消費税を支払い、Bさんの手元には、65万円しか残りません。
ということになり、非課税で還付を受けられないときよりもさらに、手元に残る金額は減少します。
消費税を通常負担しているのは一般消費者(=国民)であることが忘れないことがポイントです。