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イラク法案可決/疑問は十分解明されていない
(7月4日掲載)
なぜ自衛隊なのか。憲法で禁止されている「武力行使」や「武力行使と一体化した協力」の実施につながる恐れはないのか−。根本的な疑問を残したまま、イラクに自衛隊を派遣するための復興支援特別措置法案が政府原案通り、衆院の特別委員会で可決された。
日本が武力攻撃を受けた場合の対応を定めた有事関連法は、先に野党第一党の民主党や自由党を含む大多数の国会議員の賛成で成立した。しかし今回は全野党が反対に回った。それだけ問題点が多い法案であることを投影している。
安全保障政策は国民生活に直結、国の針路を左右する課題であり、できる限り多くの国民や政党の理解を得るのが望ましいことは、小泉首相自身も再三、力説してきたのではなかったか。
しかも今回のイラク特措法案は、これまでの自衛隊海外派遣の根拠とした国連平和維持活動(PKO)協力法やテロ対策特別措置法による活動の枠を大きく超える側面を持つ。法案の処理は慎重の上にも慎重を期すべきだった。
政府、与党は国会審議で浮かび上がった多くの疑問に明確な回答を示さないまま「とにかく自衛隊派遣を」と、ひたすら法案採決を急いだように見える。
注目の民主党は、自衛隊派遣に反対する方針を決定。特措法案から自衛隊の行動に関連する部分を削除した修正案を提出した。
自衛隊派遣に反対する理由に挙げたのは主に次の二つ。▽イラク攻撃に反対したことと、復興支援活動に関与することは別問題であり、自衛隊の派遣を含む支援活動の可能性を全面的に否定するものではない。だが自衛隊の派遣によらなければならない現地のニーズは特定できなかった▽毎日のように米兵などの死傷が伝えられ、政府案が想定する戦闘地域と非戦闘地域の区別は困難。武力行使や、武力行使と一体化した協力の問題を引き起こす可能性もあり得る。
これらの指摘が全面的に妥当かどうかは判断が分かれそうだが、十分検討すべき内容を含んでいたように思われる。とりわけ戦闘・非戦闘地域の問題は重大だ。
政府は自衛隊を非戦闘地域に派遣するとしているが、イラクではブッシュ米大統領の「主要な戦闘の終結宣言」から二カ月を過ぎても治安回復が進まない。本当に「非戦闘地域」があり得るのか、疑問視する声は与党内にも強い。
派遣される自衛隊が実施する活動は、イラク国民への「人道復興支援」と、治安維持に当たる米軍などを後方支援する「安全確保支援」だ。停戦合意を受けた国連の活動に参加するPKO協力法や、洋上での燃料補給が中心だったテロ特措法の場合と違い、今回は戦争が終結していない国の本土で初めて、本格的な米軍支援活動になる。自衛隊が攻撃に遭ったり、武力行使の問題を引き起こしかねない事態に直面する可能性が高い。
だが政府側の答弁は「戦闘地域になったら、そこでは活動しない」「自衛隊員が戦闘地域で武力行使をすることがあってはならない」などにとどまり、民主党の修正要求も拒否した。イラク戦争の大義にかかわる大量破壊兵器問題でも、首相答弁は「見つかっていないからといって、ないとはいえない」という無責任さだった。
衆院の後には参院の審議がある。政府、与党が本当に国民の理解を求めるのであれば、まずきちんと説明責任を果たすべきだ。
http://www.sanin-chuo.co.jp/ronsetu/2003/07/04.html