現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産26 > 494.html ★阿修羅♪ |
|
UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は、金融・経済再生に関する考え方を整理し、次のような提言論文(ほぼ原文通り)としてまとめたーー。
【デフレ的安定に】 政府は、引き続き、短期的な経済安定を志向し、金融・産業構造改革を先延ばしするスタンスにある。日銀による流動性供給、それによって間接的にファイナンスされる銀行部門への公的資金注入、そして、公的資金による債権放棄の拡大、といった一連の政策の流れが、今後、一段と強まってくるであろう。こうした政策によって、短期的には、日本経済の底割れは回避されるものと考えられる。しかし、金融危機の回避を建前とした、早期介入型の「モラル・ハザード政策」は 、政府自身の危機感を麻痺させる。結果として、思い切ったリフレ政策が採用される可能性は低下した。予防的な金融システム安定化策は、まさに、抵抗勢力と 反抵抗勢力の妥協の産物、として捉えることができる。産業構造改革の進展といった展望が開けるわけではなく、その一方で、政府・日銀のリフレ策が進展するわけでもない。国民の閉塞感は強まることはあっても、後退することはないであろう。デフレ圧力は、強まることも弱まることもないだろう。GDPデフレータでみて、前年比2%程度のマイナスが継続する可能性が高い。日本経済は、「破綻なき低空飛行」をしばらく継続することになる。デフレ的安定、デフレ的均衡である。
【消えない金融恐慌のリスク】 しかし、政府・日銀が、永遠に時間稼ぎをできるわけではない。預金者のモラル ・ハザードの上に成り立つ「デフレ的均衡」は不安定な均衡である。預金者の金 融システムの安定性に対する信頼は、銀行部門の収益力に対する信頼の上に成り立っている。銀行部門の収益力が改善するという見通しが立たなければ、公的資金注入によって一時的に預金者のセンチメントが改善したにせよ、そうした状態はどこかで破綻する。政府は、預金者からの信頼を得るために、定期的(3−4 年毎?)に銀行への公的資金注入を実施せざるを得なくなるものと予想されるが 、「銀行経営の建て直しは政府の手に余る」、と預金者が感じた瞬間、金融システムに対する信頼性はあっという間に崩れてしまう可能性がある。金融恐慌発生のリスクは残っている。(つづく)