現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産26 > 496.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: ▼提言論文A/巨大バッド・バンク創設で、問題債権100兆円オフパラ化 [Yen Dokki!!] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 23 日 15:58:50)
UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は、金融・経済再生に関する考え方を整理し、次のような提言論文(ほぼ原文通り)としてまとめたーー。
【金融再生と経済再生の同時達成を】 金融の再生は経済の再生がなければ達成し得ない。しかし、経済の再生を金融の再生に先行させることはできない。経済の再生も金融の再生を必要とするからである。言うなれば、金融の再生と経済の再生は同時並行的に達成されるべき筋合いのものである。マクロ経済政策、すなわち、マクロの景気刺激策で経済再生を図ることが金融再生の近道であるかのような議論があるが、こうした議論は納得できない。日本経済の真の再生に必要なのは、持続的な生産性上昇、あるいは企業の競争力向上であり、そのためには、企業家精神の躍動と健全な銀行の存在が不可欠であると考えられる。
<企業家による飽くなき努力こそ経済発展の源泉> 再び、シュンペーターを引き合いに出して恐縮であるが、彼は、その著書である 「経済発展の理論」の中で次のような趣旨のことを述べている。「経済における変化(すなわち基本的には経済の発展や成長)は、経済システムの内部から生じるものであるが、それは、経済の均衡点を動かすものであって、しかも、新しい均衡点は古い均衡点からの微分的な歩みによっては到達し得ないようなものである。これは、郵便馬車をいくら連続的に繋げてみても、それによって決して鉄道なるものを得ることはできない、ということである」。つまり、経済では、企業家による飽くなき努力によって、新たな財やサービスが生産されたり、新たな生産方法が開発されたり、新たな販路が開発されたり、あるいは、新たな原料あるいは半製品の供給源が獲得されたりすること、によって、発展が得られるということである。こうした経済発展のためのファンダメンタルズ無くして、景気刺激 策にのみ傾斜しても持続的な経済成長は得られない。
<物価の持続的上昇には、持続的な需要拡大が必要> 確かに、世界的なディス・インフレの進行が、企業や個人の債務リストラ意欲を駆り立て、これがさらに需要の低迷を通じて物価の下落をもたらすというデフレの循環が継続している。そうした状況で、銀行は資本不足に喘いでいる。金融の再生を願う論者の中には、インフレを起すことしか銀行を生き返らす方法はない 、と考える者もいる。これは不思議なことではない。しかし、物価を持続的に上昇させるためには、持続的な需要の拡大が必要である。しかも、中国のような国が登場し、世界的な供給能力が大きく拡大している状況では、非現実的とも言える需要の拡大が必要である。これを、財政金融政策で演出することは殆ど不可能であろう。円安政策にも、財政の追加出動にも、限界がある。
<新興企業の資金需要に十分に応じる環境作りが、政府の責務> 政府に求められているのは、銀行のバランスシートを短期間のうちに健全化し、日本の銀行が、産業構造調整の過程で必ずや生じるであろう、新興企業の資金需要に十分に応じられるような環境を作り出すこと、である。また、不良債権のオフバラ化は、預金者のみではなく、多くの健全企業が銀行システムに対して抱いている漠たる不安も解消する。これは、企業マインドを安定化させるという重要 なメリットをもたらす。借り手企業の整理や再生の問題に囚われない、前向きの金融構造改革が要請されている。
(注)小見出し【】は白川さんご自身、<>は編集者による。