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[QUICK]「高まる景気見殺しのリスク」UFJ総研・嶋中雄二氏
http://www.asyura.com/0304/hasan26/msg/202.html
投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 15 日 22:56:14:gb2b4T9TetGkU

(回答先: [QUICK]「デフレ圧力強まる、株価下落圧力持続」みずほ証券 チーフエコノミスト 佐治信行氏 投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 15 日 22:52:05)

「高まる景気見殺しのリスク」 UFJ総合研究所 投資調査部長 嶋中雄二氏
03/04/30

【景況判断】現状(3ヵ月前比):やや悪い 先行き(3ヵ月後):悪くなっている
GDP予測:02年度1.7%(1.6%) 03年度▲0.2%(0.2%)
【金 利】短期:横這いTIBOR3ヵ月 0.08%
長期:弱含む10年物新発国債0.55%
【円 相 場】円高118円/1ドル
【株 価】株安 日経平均7,000円
l GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%。カッコ内は直近10回分の平均値
l 長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(03年7月末)の予測値


1.景気見通し:「足元から景気失速へ」

筆者の見方では、足元の2003年4−6月期以降、日本の景気は失速し始め、今回の景気後退が終息するのは2004年1−3月期となるだろう。1−3月期までは景気回復局面にあったと考えられるのは、景気一致指数がCI(コンポジット・インデックス)ベースで見て、少なくとも1月までは上昇基調にあったためである。個別系列を見ても、生産、生産財出荷、大口電力使用量、稼働率、所定外労働時間、商業販売額、有効求人倍率などは、1月ないし2月まで上昇しており、1−3月期まで景気回復が続いたことを示している。

しかし、その後の展望は暗い。まず、最も先行性のある交易条件(輸出物価/輸入物価)が2002年1−3月期をピークに下降し続けている中で、同年7−9月期(8月)をピークに、一致CIを遅行CIで除した一致・遅行比率が大幅な低下傾向となっていることがポイントだ。つまり、変動費、固定費の両面から圧迫される形でマクロで見た企業収益、つまり全産業営業利益の水準が間もなく低下を開始する可能性が非常に大きいということである。 加えて、通常の先行CIの方も、2002年11月をピークに弱含みを見せており、過去の景気の山・谷とのタイム・ラグ(5ヵ月程度)からいって、この4−6月期から景気が下降し始めるサインを出していると考えることができる。
それに、何といっても、最も頼りになる先行指標である株価が、2002年5月を山に大幅下落を続けているという事実(これまでの株価と景気とのラグは、最も長かったバブル崩壊直後の1991年2月の山で14ヵ月で、平均すると6〜9ヵ月程度)からも、足元以降の景気失速の可能性は、非常に大きいといえる。2003年度の経済成長率は、現行の政府・日銀の政策を前提とすれば、実質で▲0.2%、名 目で▲1.8%と予想している。

2.金融環境:「政策転換を阻む戦力の逐次投入」

連日のように、株価がバブル後最安値を更新し、また債券相場もバブル後最高値を更新するというのが、現在の金融資本市場の基本潮流となってしまっているが、今後2ヵ月程度の間に、この現状を打ち破るような大きな変化があり得るのだろうか。
とりあえず、30日の日銀・金融政策決定会合では、市場の大勢が「現状維持」を予想しているようだが、既に足元で日銀当座預金が、郵政公社関連マネーの流入により目標値の17兆〜22兆円を大幅に超過し続けているだけに、実態に合わせた目標水準の引き上げを行うのが、本来の姿勢であるべきだろう。また、前回4月8、9日の決定会合で方針が決まったABS(資産担保証券)の購入については、中小企業金融の逼迫を本当に日銀が真剣に心配しているのであれば、可及的速やかに即効的な具体策を打ち出すべきだろう。
しかし、上記2点についてさえも、明確な指針がすぐに出てこないとすれば、筆者らが以前より主張している、以下のような具体的な政策を、福井日銀に期待するのは困難といわざるを得ない。すなわち、@政府・日銀共同による年2〜4%の名目GDP成長率目標の策定(日銀プロパーでは、中原真審議委員が提起しているインフレ参照値の提示が望ましい)、A政府に10兆円規模の補正予算の編成を要望するとともに、それと同額の国債を市場で購入することを約束、B日銀当座預金の目標水準を引き上げ(最終的には撤廃)、国債買い切り額を現状の月1兆2千億円から月2兆円とし、これに加えて、非伝統的手段といわれるETF、外債、REITの購入も、合計で月5千億円行っていく旨、アナウンスする。
上記の施策が実施されるとすれば、筆者には、一方で適切なポートフォリオ・リバランス効果が株式・為替・債券・不動産市場に及ぶことと、他方で財政出動による有効需要の喚起が生じることの相乗効果により、かなりの確率で日本経済に前向きな反応が出てくると考えている。但し、こうした政策転換は、残念ながら、おそらく今すぐではなく、株価が現在より大幅に下がり、日経平均で7,000円割れの事態になって、初めて真剣に検討され始めると判断せざるを得ない。つまり、最後の最後まで、戦力の投入を惜しんで、逐次投入に終始する余り、結果的に景気を見殺しにし、勝機を失ってしまうことを恐れるのである。

3.注目点:「SARSの影響で日本の成長率0.3%ダウンも」

重症急性呼吸器症候群(SARS)が猛威を振るっている。最初は、中国の広東省と香港に限定されていた感があったが、北京への感染が急速に拡大した事実が発覚してからは、日本経済や世界経済全体にとっても、重大な脅威となってきたといえる。
当部で、SARSの日本経済への影響を検討してみたところ、かなり大きなマイナス効果があるとの結果となった。まず、中国・香港への影響だが、既に甚大な影響が出ていることは、テレビなどで街中の様子を見てもわかる。中国では、輸出額のシェアで見ると、問題の広東省のウエイトが36.6%と突出して大きく、仮に広東省の輸出が20%落ち込むと想定すると、中国のGDP成長率を0.5%押し下げる効果をもつ。中国最大の国際見本市である広州交易会で、今回分の成約額が前回(昨秋)の18%にとどまるなどの現実を見れば、そのぐらいのマイナスでとどまるか微妙なところだ。しかも、広東省の輸出額のうち、日本など外資系企業の比率は60%を超えており、日本企業へのダメージも大きい。
さらに、首都・北京や潜在患者のいる可能性が完全には否定できない上海には、本社機能が集中し、本来人の往来が多いため、これら2つの中心都市への感染の悪影響は当然大きいとみられる。また、今回、中国政府は、ゴールデンウィークの短縮化(7日→5日)と、期間内の旅行自粛の措置を打ち出した。旧正月時に次いで消費の活発な5月での個人消費冷え込みはインパクトが大きい。
要するに、中国経済はSARSの影響で、輸出・内需の両面からおよそ1%程度のGDP成長率の減速の可能性があろう。また、観光収入への依存度の高い香港経済へのマイナスはさらに大きく、来港者数が10%減少(現実はもっと大幅なペースで減少)するだけで成長率が1.9%減少してしまう。こうした計算や現地情報などをもとに、シンガポールなど他の諸国でも影響を積み上げていくと、アジア9ヵ国地域の経済が2003年にSARSのせいで少なくとも1%程度のGDP削減効果を被る可能性があり、その場合は、アジアの実質輸入の減少が世界経済に広がって、最終的に日本の成長率を0.3%程度引き下げる懸念がある。
<嶋中雄二氏略歴>
1955年生。78年早稲田大学政経学部卒、三和銀行入行。同行を退職後、早稲田大学大学 院経済学研究科修士課程修了。仏リヨン経営大学院(CESMA)留学、日本経済研究センター 応用研究部研究員などを経て、89年三和総合研究所調査部主任研究員、99年同主席研究 員、2000年同投資調査部長、2002年から現職。主な著書・論文「日本経済の油断」(東洋経 済新報社、2000年5月)、「メジャー・サイクル」(東洋経済新報社、96年10月)、「複合循環」 (東洋経済新報社、95年5月)、など。日経ビジネス「時流超流トレンド」、東洋経済「統計 月報『エコノミスト・コンセンサス』」、などのコメンテータ。エコノミスト人気調査ラ ンキング6位(2003年3月24日付日経金融新聞)。

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