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★ 銀行、株売却4兆円――日経金融スクランブル
9日の東京株式市場では日経平均株価が続落し、再び8000円の節目に迫った。企業年金の代行返上に伴う売り圧力がいっこうに下がらず、主力銘柄を中心に値下がりした。需給環境の厳しさを浮き彫りにした格好だ。
代行返上と並んで相場の重しとなっているのが、金融機関からの持ち合い解消売りだ。2003年3月期の投資主体別売買動向によると、銀行(信託を除く)は差し引き約1兆1000億円を売り越した。四大銀行グループで約4兆8000億円、大手8行グループでは6兆円近い株式が売却されたとみられる。
各行は2004年3月期も売却を進める意向。市場の推計によれば「大手4行はそれぞれ8000億―1兆円程度の売却が見込まれる」(外国証券アナリスト)。4兆円程度の売りは覚悟しなければならないことになる。問題は売却株の行方だ。
前期は市場への直接売却で株安を招くのを避けようと、さまざまな手が打たれた。市場外での機関投資家との相対取引、株価指数連動型上場投資信託(ETF)の組成、企業の自社株買い…。なかでも「最後の買い手」として存在感を示したのは日銀だ。3月末までの4カ月間に銀行保有株1兆1600億円を買い取り、「最大の引受先になった」(UFJホールディングス)という声も漏れた。
だが新年度は日銀に多くを期待できそうにない。見落とされがちだが、買い入れ限度額は各行別に「累計7500億円か、中核的自己資本(ティア1)を超える額のいずれか低い額」(信用機構室)まで。前期末時点で、これ以上買い取ってもらえない銀行もある。
たとえば前期に約1兆円売却した三井住友フィナンシャルグループは「期末の株保有残高はティア1にほぼ見合う水準」という。三菱東京フィナンシャル・グループも「時価ベースでティア1内に収まった」。UFJは「若干上回る程度」、みずほフィナンシャルグループは「不明」としている。
銀行アナリストからは「UFJの超過額は多くて1000億円、みずほFGは6000億円程度」との見方が出ている。これをすべて吸収したとしても、持ち合い解消圧力をやわらげる効果は限定的だ。
ETFについても、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現日興シティグループ証券)の不正取引で使いづらいという空気が広がっている。となれば、結局は企業の自社株買いがカギを握る。
大手銀行の保有が多いとみられる企業は、いわば持ち合い解消売りの標的となる「予備軍」だが、その企業が自社株買いに熱心かどうかで株価の反応も違ってくる。
首位のトヨタ自動車はすでに4500億円を超す自社株買いをしており、市場の信認も厚い。財務戦略の自由度が高い任天堂(六位)も、銀行による株売却の影響を吸収できそうだ。30位の花王なども自社株買いの優等生として知られる。
問題は財務余力に乏しい企業。自社株買いを使いこなせるかどうか、投資家の目は厳しさを増しそうだ。
日銀の福井俊彦総裁は3月25日の会見で「きれいさっぱり銀行保有株式は整理した方が良いかもしれないと、個人的には思っている」と述べた。その言葉どおりに現実が動くかどうかはともかく、企業は「脱・持ち合い」時代への備えを明確にする必要があるだろう。(小野利也)