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(回答先: 世界中で虐殺を続けた英国が“最大の敵”マルクスを保護したとお考えですか? 投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 09 日 16:32:56)
あっしらさん,レスありがとうございます.
単純な事実関係を注記しただけのつもりでしたが,結構本質的な論点を含んでいるのかもしれませんので進めてみます.お断りしておきますが,私は(おそらく)マルキストではないしマルクス哲学の研究者でもありません.
> マルクスが国際金融資本家のエージェントであることには確信を持っていますが、それはパトロンが誰であるかはたいして重要なことではないと思っています。
< 「マルクスが国際金融資本家のエージェントである」というのはあなたの「仮説」であり,私はその十分な「反証」を提示したつもりです.エンゲルスをパトロンと呼ぶのは実態的に無理がありますが,そう呼べないこともありません.また,エンゲルスは工場主である父親の仕事をしているし,マンチェスター証券取引所で株の売買などもやっていますから,まぎれもなくブルジョアジーの一員ではあります.しかし,一般に科学・芸術・思想家がパトロンを持つというのは普通のことであり,むしろ望ましいことであるとさえ言えます.ここで言う「パトロン」は,そのような意味での「善意の保護者」ではなく,「エージェント,つまり手先として使うことを意図してする買収行為」と理解します.
> マルクスの“悪”を暴こうとしているのは、世界の多くの良心的な人たちが、その誤った理論や価値観に縛られて敵を見誤った政治活動をしていることを憂えているからです。
> マルクス経済学はひとつの学問体系であり,善でも悪でもありません.時代的な限界はあったとしても,そのことによって直ちにその理論が誤っているということにもなりません.もし,「完全な理論が地上に存在する」とお考えだとしたら,それこそが大きな誤りです.「ゲーデルの不完全性定理」はご存知かと思いますが,「自然数論は無矛盾であれば不完全である,つまり決定不能命題が存在する」ことが数学的に厳密に証明されています[1930]. ニュートンの古典力学はアインシュタインの相対性理論によって覆されましたが,その理論が適用可能な範囲(量子論や天文学などを除くほとんどの領域)では依然として妥当します.
> きちんと経済論理や現実を掴めば解決できる問題が、そのために放置されたままになっています。
< それはマルクスの責任ではないでしょう.
> 別にお金の入手先を云々しなくても、「資本論」や革命理論そのものが、国際金融資本家のエージェントであることを如実に物語っています。
< どの部分,ないしどのような主張が,でしょうか?私には見つかりません.それにしても,今問題にしているのは,「マルクス個人」がそのような汚れた金を受け取った事実があるのか否か?ということなのですが...
> (家具好きでそれを買い漁っていたことや女中まで雇って彼女に手を付けた話も有名なエピソードです)
< マルクスの奥さんはプロシャ貴族の娘だし,マルクス自身も裕福な弁護士の息子です.その基準からすると,特に問題になるほどのこととも思えませんが.現在の我々の目からすれば,エアコンとテレビと電話があり(インターネットにはブロードバンドでアクセス),お湯の出るバスがあっても「極貧」であるということは有り得ると思いませんか?一昔前ならそうではなかったかもしれませんが.つまり,相対的な価値基準の問題じゃないでしょうか?(モラルを問題にしているのなら,別ですが.)
> 産業資本家が労働者を搾取していることを困窮の原因とする理論はまやかしです。
< それは暴論です.私はあっしらさんの金融寄生理論にほぼ同意するものですが,搾取が無くなったとも,もともと無かったとも思いません.むしろ現在進行形で(再)強化されつつあると認識しています.
> マルクスほどの知性を持つ人であれば、剰余価値理論の誤りに気づかないわけがありません。その誤りに気づかないような人には、見事な資本制経済社会の説明体系である「資本論」を書くことはできません。
< どんな大天才でも時代の制約を超えることはできません.(むむ...資本論の未完部分がそれですか?)
> 最重要テーマである利子論は、産業資本家の利潤配分の一つとして枝葉的な位置づけで論述されています。
< 金融資本と産業資本を明確に区分することの重要性が見出されるには,ケインズという次世代の天才の登場を待つしかありませんでした.
> マルクスが果たした役割は、労働者と産業資本家という対立構造を生み出したことです。労働者が雇用主である産業資本家を憎悪するように仕向けることで、根源的な敵である国際金融家(労働者を雇用する必要はない)が“安全地帯”にいられようにしたのです。
< そうでしょうか?マルクスのモデルは確かにシンプルに過ぎますが,この時代には十分妥当性を持っていたと思います.
> マルクスが、ドイツでの居場所をなくし、英国に渡り大英博物館で研究を重ねたことは有名です。
< G8?という席はマルクスのためにリザーブされていたそうです.
> 英国は、経済権益のために、北米大陸のみならずアジア・アフリカ・太平洋で虐殺と略奪を続けた国家です。
< そのような把握は現代(つい最近)になって確立したものです.日露戦争を侵略と把握した日本人がその時代にいたでしょうか?
> マルクスがロンドンにいた19世紀前半(1830年頃から1858年頃)は、そのような帝国主義活動の最盛期です。
< 1848年(ドイツ)3月革命敗北,1849年ロンドン亡命,1883年死亡ですから,むしろ19世紀後半ではないでしょうか?
> マルクスが英国支配層を脅かす偉大な理論家で強力な革命家であったのなら、エージェントによって虐殺されたと考えるほうが素直だと思っています。
< マルクスはこの期間おとなしく机に向かっていました.
> あなたが書かれたことは私も知っている内容です。
> マルクスを“神話”化したい勢力が書いた内容を根拠に、「マルクスにパトロンがいたなどというのは荒唐無稽な与太話」だと断じられても苦笑するしかありません。
< スターリンやレーニンを偶像視するということはあっても,マルクスを神格化するというのはあまり聞いたことがありません.
> 19世紀中盤の英国で大英博物館に通い詰める研究活動ができ、数々の出版もできたという“現実”が何に支えられていたかをまじめに考えるべきです。
< 人間と真理への比類のない愛だと思います.
命題:Xが虐殺されないのは,Xが国際金融資本Mのエージェントであり,彼らによって買収されていたからである.
例題:阿修羅が虐殺されないのは,阿修羅が金融資本のエージェントであり,彼らによって買収されていたからである.
もし,この例題が荒唐無稽ではないというのであれば,私ももう少し「まじめに」考えなくてはなりませんね.