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(回答先: Re: 質問に対する見解 投稿者 通りすがり2 日時 2003 年 4 月 09 日 01:40:27)
通りすがり2さん、こんばんわ。
Q:1.民主党リベラル派の一部が ネオコンといわれる勢力になっていくきっかけは何であり,これまでどのような経過をたどってきたのか.
A:共産主義を封じ込めることを大義名分にしたベトナム戦争がうまくいかなったことが直接の契機です。
共和党のほうがタカ派で民主党はハト派という見方もされていますが、これは必ずしも的を得たものではありません。
第二次世界大戦もベトナム戦争も、民主党政権、それも。ルーズヴェルトやケネディといった理念主義傾向が強い大統領によって始められたものです。
共和党のほうが孤立主義的で、他の国の争いに兵を派遣するよりも、米国の安定と繁栄を図ることに傾注したほうがいいという考えを強く持っていました。
理念主義者は、正義や民主主義などといった価値観を大義名分とした戦争に踏み切りやすいと言えます。(現実主義者は、経済的損得を重視します)
ベトナム戦争が民主党支持者を中心とした反戦運動で失敗に終わったことで、民主党に見切りをつけて共和党に鞍替えし、反ソ反共の強硬政策や新自由主義経済政策を政権に浸透させていきました。
それが大きく花開いたのが、レーガン政権時代です。ソ連を「悪の帝国」と呼び、ソ連を軍拡競争に引きずり込み、アフガニスタン介入とチェルノブイリ原発事故でとどめを刺すかたちでソ連を崩壊にまで追い込みました。(ゴルバチョフという“特殊な”人がいたこともありますが..)
経済政策も、レーガノミックスという規制緩和や所得税率フラット志向という新自由主義を基礎にしました。
ネオコンと呼ばれる人が政権中枢で影響力を持つなかで、国防総省とCIAが彼らの牙城になってゆきました。
クリントン政権時代も国防長官は共和党員で、ネオコンの影響を受け続けています。
このような歴史経過があったからこそ、9・11という歴史的一大陰謀がうまくゆき、アフガニスタンから始まった「対テロ戦争」(対イスラム戦争)が遂行できていると考えています。
Q:2.現在,ネオコンは民主党内にどのような影響力を持っているのか.民主党内での系譜は明らかになのか.
A:
民主党にもネオコン的価値観が強く浸透しています。
民主党のほうが元々理念的色合いが強いので、理念主義に支えられたネオコン的価値観が受け入れられる素地があります。
それは、クリントン政権時代の政策が頓挫した健康保険構想を除けば、父親ブッシュとそれほど変わらないものであったことやこの間の翼賛議会ぶりを見ればわかります。
マイケル・ムーアも糾弾していますが、民主党は、ネオコン的共和党(富裕層優遇と理念主義の融合)の補完物になっています。
オールドリベラルはケネディ議員など一部で、多くがネオコン的価値観に共鳴しています。
現在の民主党は、どうしても金持ちのための共和党なんかには投票したくないと考える人々やオールド民主党シンパの受け皿になっているだけで、実態は共和党と変わらないものです。
(黒人や労働組合を他の“過激な”政治勢力に向けさせない役割を果たしています)
クリントン政権の反ネオコン的政策は高額所得者増税と低所得者減税ですが、これは、父親ブッシュさえ行ったものです。(父親ブッシュは、増税政策と経済低迷で再選を果たせなかった)
深刻な財政赤字と景気低迷に見舞われた90年代前半は、生粋のネオコンであろうとも、クリントンがとった政策を選択したはずです。
クリントン政権の税制変更が、景気回復の呼び水となり、95年以降の「米国の繁栄」=米国の一人勝ちにつながりました。
(この「米国の繁栄」も、実態は日本を中心とした対米投資に支えられた株式バブルでした)
元々、米国の民主党と共和党を対立する政治勢力と考えること自体が的を得ていないと思っています。
(19世紀まではけっこう大きな対立要素がありましたが、20世紀になってからは対立が薄れ、戦後はほとんど対立がないと言えます)
英国の労働党と保守党やドイツの社会民主党とCDUの違いよりも狭いもので、自民党の派閥間の違いに近いものだと考えたほうがいいと思っています。