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(回答先: 弾圧されてます 投稿者 アラブ妻 日時 2003 年 4 月 07 日 18:10:48)
アラブ妻さん、こんばんわ。
97年の通貨危機でIMFの軍門にくだらなかったマハティール首相は、韓国の二人の金大統領と違って、みごとな判断力を示したと思っています。
(マレーシアの経済再生はほとんど取り上げられることになく、今まさにドツボにはまりつつある韓国経済の“再生神話”のみが喧伝されている現実に異様さと不気味さを感じています)
IMFの軍門にくだることは、金融政策・税制政策・外資規制政策などあらゆる経済政策を国際金融家の差配に委ねてしまうことであり、国民経済を破壊させることにつながります。
イスラーム通貨構想は金貨本位制だと受けとめていますが、これはある意味で歴史逆行であり、別の意味では紙切れ通貨による収奪を拒否するものだと考えています。
● 歴史逆行性
金などの価値実体を含有している通貨が必要がない人々の経済関係が生成されてきたのが「近代史」の一つの側面です。
価値実体がない通貨を媒介として財や用役の交換がスムーズにできるということは、その通貨が流通する領域(現在では世界規模)で生活する人々の経済的関係性が抜き差しならない密接なものになったことを意味します。
他者の経済活動をことさら必要としないのであれば、紙切れ通貨という価値のないものを対価として自分が生産した財を売り渡す必要もありません。
紙切れ通貨は、このような意味から、通貨であるよりも、労働証書に近いものだと言えます。
(労働証書は、個々の労働者の活動量を意味するわけではありません。ある財を生産するために費やされた関係的活動力の量を示すものです。生産性が高い国の労働証書=通貨は、低い国のそれよりも価値があるということになります)
通貨の性格このような変容は、人々が協力し合ってより心地よい生活を実現していく重要な基礎だと考えています。
紙切れ通貨から蓄財性と利息取得性を奪えば、まさしく労働証書になります。
今必要なのは、通貨の性格を過去の金貨(金属貨幣)に戻すことではなく、国際金融家の貨幣的富の拡大欲求を動因としている「近代経済システム」を打ち壊すことだと考えています。
それは難しいことではなく、基本的には、利息取得を禁止すれば達成できることです。
この点で、イスラムに大きな期待を抱いています。
● 紙切れ通貨による収奪拒否
イスラーム通貨構想は、紙切れに成り下がったドルを駆使して世界中から富を吸い上げ続けている経済構造に非を唱えるという意味で意義があると思っています。
紙切れ通貨であれば、発行量も意図的に調整できます。
それは、通貨の価値が不安定(あてにならないこと)だということを意味します。
100ドルでTVを購入できたのに、米国FRBの政策で120ドルになったり90ドルになったりします。
しかし、金貨本位制は、これまでの世界を覆っていたインフレ傾向には有効な対抗策ですが、今後確実に現象するデフレ傾向では逆に足を引っ張るものになります。
(欧米諸国が金本位制から離脱して管理通貨制(紙切れ通貨)に移行した契機は、デフレが国民生活を痛め続けた「大恐慌」です)
イスラーム通貨構想は、30年以上前であれば一つの対抗策になった可能性もありますが、現状ではほとんど意味がないと思っています。
何にしても、世界貿易に占める原油取引の割合はそれほど高いわけではないので、原油を楯にイスラーム通貨構想を“世界化”するのは無理です。
イスラーム通貨構想をイスラム世界だけで通用するものとして現実化すれば、今後ますます明確になっていくデフレ傾向の影響を受けてイスラム世界が経済的により困難に陥ることになります。
イスラム世界が今世界全体に問うべきは、利息取得の“罪悪”です。
利息取得を世界的に禁止させることができれば、現在の世界経済を支配している国際金融家の存立基盤を突き崩すことができます。
アフガニスタンに続きイラクに襲いかかっている米英政権の戦争目的は、第一義的に、イスラム世界の経済制度とりわけ金融システムを「近代化」することにあります。
近代的中央銀行制度と近代的貸し出し制度をイスラム諸国に導入させることで、原油販売から得る貨幣的富をこれまで以上に吸い上げるだけでなく、ムスリムの日々の経済活動から貨幣的富を吸い上げようと意図しています。
米国が叫んでいる「民主化」や「近代化」の内実がこのようなものだという認識をイスラム諸国が持たなければ、自己保身に汲々とするばかりで、有効な反撃ができないのではと思っています。
イラクの次は、サウジアラビアでありイランです。
クウェート・UAE・カタールなどは出撃基地まで米英に提供していますが、それらの国も、「近代化」を受け入れなければ間違いなく攻撃の対象にされてしまいます。
(政治的支配者が自己保身のために「近代化」を受け入れようとすれば、敬虔なムスリムから攻撃を受けることになるでしょう)
米英が狙っている「民主化」や「近代化」は、イスラムを心のなかの価値観に封じ込め、イスラムを経済や政治から切り離すことを意味します。
イスラム諸国が19世紀から始まった近代主義者による侵食の「最終決戦」を迎えていることを自覚しなければ、米英の侵略を撃退できないだけでなく、犠牲者の数も驚くべきものになってしまいます。
小賢しく悪魔的な米英政権は、イラクを突破口にして、あとはできるだけムスリム同士の殺し合いで目的を遂げたいと考えています。
(エジプトが、誇り高きアラブ社会主義からシオニストや米国の軍門にくだり、アラブ社会主義の悪しき面であったムスリム弾圧だけを肥大化させるようになったように、イラクの“新政権”も、米英に唆されて激しいムスリム弾圧を行なうようになります。そして、イラクの地理的特性と宗派的特性から、ムスリムを「テロリスト」として弾圧する対象領域がイランやサウジアラビアなどに拡大していくことになります)
このようなことから、世界のムスリムは、米英によるイラク支配という事態を許してはならないのです。
(このような認識をできるだけ多くのムスリムに伝えていただければ幸いです)