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(回答先: Re:「米国が常に正しい」だと法規範って言うよりただの暴力では 投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 4 月 04 日 13:37:24)
ラムズフェルドの「戦争犯罪」発言は、中国大陸での「大虐殺」を、「便衣兵(非戦闘員に紛れた兵員)を狩るため」として正当化する論理と似ていますね。もっとも、彼の場合は、民衆虐殺を正当化するだけでなく、相手方の指導者を戦犯呼ばわりするためにも、この論理を濫用しています。
西洋近代の陸戦法規を前提にすれば、このような論理は、まったくの荒唐無稽ともいえません。しかし、「人民の海」による抗戦を訴えた論の前では、色あせて見えます。占領に対して抗戦した歴史を持つ国も多いでしょうから、このような理論が現代の国際社会で抵抗なく受け入れられるとは思いません。
なお、ここでは虐殺を正当化する論理を問題にしているだけで、歴史上の「大虐殺」の真偽を論じているわけではありません(論じません)。また、「総力戦」を呼号して、口先で陸戦法規の基本思想(戦闘員と非戦闘員の峻別)を破った国に対する無差別の焼夷弾爆撃の是非なども、また別の問題になります。以上は、歴史的な事件を例として用いたため、無用の枝道で議論になることへの予防です。(「大虐殺」の真偽論や「大空襲」の是非論には、今は応じません。)
すみちゃん氏のご意見では、「公平」を法規範の根源とされています。これに反論するわけではありませんが、アメリカの戦争屋も、口では同じような言葉を唱えています。チンプの演説では、「自由と民主主義」が根源で、これの伝道者たるアメリカの行為は正義、そして、その正義を実現すべき国連が機能しないので、アメリカが血を流して実行するとしています。国際法の規範は、「公平」や「自由」という言葉からの思弁で生み出されるものではありません。もちろん、個人レベルでは、その依拠する価値観に基づいて、正邪を判定することになります。それが、法規範に高められるか否かは、国際社会の規範意識です。逆に、規範意識があって、それが守られていれば、それは法規範そのものです。
そして、法規範は、時代によって変化します。戦争規範は、「戦争は国家の権利(陸戦法規等による規制)」から、「戦争は原則として違法(国連憲章)」に変わりました。もちろん、後者も、少数の常任理事国が拒否権を有するなど、それなりに問題はあります。しかし、現在では、この第2の段階が国際社会で認められた規範と思います(「国連無視」の声が説得力を失っていないから)。仮に、アメリカが唱える「自由と民主主義」と、これに基づく「正義の戦争」を国際社会が認めると、それが新たな国際法の規範に成長する危険な要素もあります。忠犬内閣はこれに加担しています。これを阻止し得るのは、忠犬内閣排除などの力と世論です。