現在地 HOME > 掲示板 > 議論9 > 1180.html ★阿修羅♪ |
|
イラクにおける戦況の背後を読み取る上で、かぎは二つです。
なぜイラク軍は整然と撤退したのか。
なぜ米軍は不自然な戦略を実行したのか。
これらの点から、米軍は、イラク軍が戦闘を放棄することを知っていた、ということをボトムラインにします。これはほぼ確実なステートメントとしてよいと私は思います。イラク軍は誰に指揮されて撤退したのか、いつ米軍がこの「予定」を知ったのか、という点は謎です。
いかにして知ったのか。一つはフセイン政権とブッシュ政権の間に裏社会の密約があった「合意説」がそれを説明します。一方で、そうでない可能性、軍の実務者レベルとブッシュ政権の間に取引があったのかもしれない、という説明も可能です。
以下は、誰に指揮されて撤退したのか、という点です。
撤退自信は軍首脳部が積極的に行った可能性を示唆しています。
***************** 1 *****************
デイリー・テレグラフのデビッド・ハリソンによる記事。イラク情報機関の指令書を入手。サダム・フセインは戦争前に細かい指示を軍の将軍達に発していた。この指示は、米軍を郊外に深追いしないこと、ゲリラ戦・市街戦に持ち込み、賢い攻撃をかけること、米軍の攻撃に対しては、逃げることも考えること、分散すること、なぜならば、イラクに対する戦争の、UNでの決議がお流れになったことですでにアメリカにイラクは「勝った」ともいえるからである、としている。将軍達は「逃げること」と「分散すること」だけ、実行したようである、との記者の意見。
サダムは市街戦を指示していた、しかし、将軍達はそれを無視した 【ガルフニュース】
http://www.asyura.com/0304/war32/msg/684.html
投稿者 ドメル将軍 日時 2003 年 4 月 22 日 15:52:13:cje0BUN7ztE2U
元記事
http://www.gulf-news.com/Articles/news.asp?ArticleID=84955
# フセイン(政権)の指令が拡大解釈されて「整合性のある退却」が起こったことになる。結果としてフセインの指令書どうりではない事態になったといえる。この情報からは、軍実務者レベルと米軍の合意の存在可否を判断できない。なお、これまでのところ、ゲリラ戦はその展開といえるような展開をしていないが、これからゲリラ戦が長年続いて展開してゆく可能性は十分ある。
#ゲリラ戦に持ち込め、という戦術は、戦争前から一番妥当だろう、と考えられていた戦術です。あっしらさんの3月15日の時点での次の投稿も参照になるでしょう。
フセイン大統領への最後の呼びかけ:イラクの「非武装国家宣言」を − 米軍の空爆を避けられなくとも“悪魔の所業”とできる英断 −
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/1074.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 15 日 00:07:46:
#フセイン(政権)が、将軍達が「米軍から逃げる」部分だけを拡大解釈することを、予測していたならば(これはかなり難しい予測だが)、フセイン(政権)と米軍の間に合意があったという仮説への状況証拠となる。
***************** 2 *****************
クサイと陸軍首脳の戦略に関する対立。4月初め、クサイはバクダット市街戦を主張、軍首脳部は市街戦回避を主張、最終的には互いに連絡が取れず、意志の統一を図れなかった軍が腰砕けになった。(ソースはエジプトの野党系週刊紙「アルウスブーア」。)
クサイ氏と軍幹部が首都防衛で対立…早期陥落背景 [読売新聞]
http://www.asyura.com/0304/war32/msg/581.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 21 日 17:33:45:
#時期的には戦争前のフセインの命令より後というのが重要なポイントです。戦争中の決断と指令系統のミス、という情報。軍首脳部の側は、フセインの戦前の指令、「ゲリラ戦を目指す、分散する」という部分に依拠している判断であるように思えます。指令系統が破断した後には、クサイの現場での判断ではなく、大まかなフセインの方向に従った、と見ることができる。一方で、軍首脳が米軍側と取引をしていた、という可能性も消え去ることはありません。とするとこのエジプト発の情報のボトム・ラインはどこにあるでしょうか?クサイは4月初めの時点で、今から市街戦だ、と主張していたことになります。それは退却が起こる前で、イラクは時局に乗って勝機があった時点です。そこで、
「少なくともクサイは米軍との間で八百長(戦争の帰趨に関する合意)に関わっていなかった」
ということだと思います。
にもかかわらず、イラク軍首脳部は連絡系統の破断を理由に、戦闘を放棄したということになる。
**************************************************************
ところで、
まほろばさん:
http://asyura.com/0304/dispute9/msg/1175.html
>軍司令官クラスはその指示書を一切無視し、事実上不戦となった。
これは記事をちゃんと読んでいません。指示書を一切無視したのではなく、指示書の一部に従った、ということです。
>ただしあっしら氏は意地でも観念はせず、「合作説」で押し切るご様子である。
この言い方はすこし意地が悪いと思いませんか?世の中には「作業仮説」というものがあり、
合作説はよい作業仮説です。真実を知るためには、事実を立体的に組み合わせて
ゆくための作業仮説が必要です。そのなかで、仮説を少しづつ真実に近づけてゆくのです。
これがダメならあれだ、という乱暴な方法では、本当に起こっていることに肉薄することはできません。
また、
はんぺんさん:
http://asyura.com/0304/dispute9/msg/1159.html
>つまり、あっしらさんが御自身で立てた判断基準によると、
>このように、フセイン政権中枢が次々逮捕され投降している
>以上、合作説は崩れ去ったといえます。少なくとも、「あっしら
>氏の考える」合作説は検討に値しなくなったといわざるをえま
>せん(あっしら氏のご自身のロジックにしたがえば)。
これも乱暴なけっこうな飛躍のある結論で、揚げ足取りに近い。あっしらさんをやり込めるのだけが目的の投稿に思えます。仮説が崩壊した、と嬉々と宣言するためには、それなりに緻密な論理が必要です。あなたが言っているのは、中枢部の人間(ほんとうに中枢部とは私には思えませんが)が投降・捕獲され始めたから「仮説が崩壊」というとても素朴な考え方です。仮説は現実と照らし合わせて少しずつ改良してゆくもので、最初から完璧な仮説は存在しない。留意してください。仮説は揺らぐべき存在なのです。
私は先の投稿で、フセインの9日の時点でのビデオ映像の存在は必ずしも「合意説」を証明するものではない、という説明をしました(http://asyura.com/0304/dispute9/msg/1158.html)。はんぺんさんならば「これで合意説は崩壊した」と宣言するかもしれませんが、仮説はかくして鍛えられるべきものでしかない。崩壊云々ではなく、改良するのです。