(回答先: 「悪の枢軸」は戦略の一環 「慎重に検討」と米専門家 投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 2 月 20 日 18:30:30)
02/20 16:39 悪の枢軸演説が改革に打撃 イランで保守派優位に 外信71
共同
ブッシュ米大統領の「悪の枢軸」演説を契機に、米国との関係改
善を目指したハタミ大統領を中心とするイランの改革派が、外交面
で保守派への歩み寄りを余儀なくされている。保守派の攻撃をかわ
す狙いもあるとみられ、米国の゛対テロ戦争″はイランの改革の流
れを阻害することにもなりかねない。
「米国の潜在的脅威により、イラン国民は結集せざるを得なくな
る。改革派が保守派に歩調を合わせることにもつながる」。国立タ
バタバイ大学のダボウド・ヘルミダスバーバンド教授(国際法)は
、米国の強硬姿勢により、保守派の力が一層増し、ハタミ大統領の
社会の自由化に向けた改革が遅れる可能性があると指摘する。
昨年六月の大統領選挙でハタミ大統領が再選を果たした後も、司
法府のほか革命防衛隊など主要な国家機関を牛耳る保守派は、国会
議員の収賄疑惑を追及、改革派主導の国会などへの攻勢を続けてい
る。
保守派と改革派との政争が続く中で、ブッシュ大統領が「選挙で
選ばれていない少数者が、自由を希求するイラン国民を抑圧してい
る」と非難、改革派にとって逆風になった。
一九九七年の就任以来、「文明間の対話」を掲げ融和外交を進め
てきたハタミ大統領も「イラン国民に対する侮辱」とブッシュ演説
を批判。国民に団結を呼び掛け、対米非難で保守派と足並みをそろ
え、国会の改革派も非難を展開した。
さらに、イランは「ユダヤ人で英情報機関員」との理由で、米国
の同盟国である英国のレダウェイ次期イラン大使の着任拒否を正式
に英国側に伝えた。レダウェイ氏の着任問題は水面下で両国間の懸
案だったが、イランの保守系紙が「情報機関員」と゛スクープ″し
た上に、ブッシュ演説を受けて、ハタミ政権も改善が進んでいた英
国との関係を再び悪化させる道を選ばざるを得なかったようだ。
「ブッシュ演説で迷惑を被ったのは国会議員を含む改革派だ」(
消息筋)との指摘は多い。
一方で米国の非難を受け、イランは同国に亡命中でアフガニスタ
ン暫定政権に反発するヘクマティアル元首相の事務所を閉鎖。「米
国に本当に攻撃されるのではないか、との危機感の表れ」(同)と
いえる。
ヘルミダスバーバンド教授は、「イランにとって死活的な利害関
係はない」パレスチナ紛争で、ヒズボラなど反イスラエル組織を支
援してきたことが対米関係悪化の要因と説明。核開発で孤立してい
たパキスタンが米中枢同時テロを機に対米関係を修復したのとは対
照的に「イランは対米関係改善の好機を生かせなかった」と指摘し
ている。(テヘラン共同=折坂浩史)
(了) 020220 1639
[2002-02-20-16:39]