17日午前4時ごろ、広島市中区中島町の平和記念公園で、「原爆の子の像」前の仮設台(高さ約40センチ、長さ約5・4メートル、奥行き約1・8メートル)に供えられていた折り鶴が燃えているのを、パトロール中の県警自動車警ら隊員らが見つけた。消防車2台が出動し消し止めたが、高さ約50センチに山積みにされた折り鶴約5万羽のほとんどが灰になった。県警広島中央署は火の気がないことから、放火の疑いが強いとみて調べている。
同署の調べでは、折り鶴の多くは、修学旅行生が供えたものらしい。先月から、折り鶴を風雨から守るための屋根付き保存施設の設置工事が始まり、折り鶴は木製の仮設台に供えられていた。
原爆の子の像は、2歳で被爆し、中学1年で亡くなった佐々木禎子さんをモデルに建てられ、多くの修学旅行生らが折り鶴を像前に供えている。平和記念公園では98年8月、原爆ドーム前に供えられた折り鶴が放火される事件もあった。
平和記念公園を訪れる修学旅行生らに被爆体験を伝える活動をしている広島市安芸区、武田靖彦さん(69)は「放火だとしたら許せない。純真な心はここまで失われているのかと心寒い思いだ」と怒りに声を震わせた。【隅俊之、中野彩子】
秋葉忠利・広島市長の話 いたずらではすまされない悪質な犯罪であり、折り鶴に込められた世界の平和を願う人々の心を踏みにじる行為で強い憤りを覚える。防止対策などを早急に検討したい。(毎日新聞)
[2月17日20時42分更新]