★阿修羅♪ 戦争7 ★阿修羅♪ |
(回答先: Re: 投稿者 鐵屑時計 日時 2001 年 12 月 30 日 02:27:43)
読売新聞「提言特集」
http://www.yomiuri.co.jp/teigen/1999/kensyo.htm
領域警備強化 本社緊急提言
検証・工作船事件
即応妨げた制約の“壁”
わが国の防衛法制の空白を突いた3月の北朝鮮工作船事件。読売新聞社は、領域警備強化のための緊急提言をまとめたが、改めて、当時の状況を検証しながら、法制度上の問題点を洗い出してみた。
◆海自、警告も出せず
◇海警行動前の空白
3月23日午後11時47分。逃走する工作船「第一大西丸」が停船した直後に、実は海上自衛隊の護衛艦「はるな」が、その前に回り込んでいた。相手の攻撃を警戒し、距離は約1キロに保った。追跡権を持つ海上保安庁の巡視船は55カイリ(約100キロ)も後方にいた。「はるな」は22分間にわたり対峙(たいじ)したが、警告一つ発することができなかった。海上警備行動(自衛隊法82条)発令前に海自が手出しできる法的根拠がないからだ。
ようやく海警行動が発令されたのは、約1時間後の翌24日午前零時50分だった。
「逃げられたのだから、作戦は失敗でしかない」。海自の幹部はこう総括する。事件後、海自は作戦面の改善に着手したが、法制度の不備は明らかだった。
◆「漁業法違反では…」
◇領海侵犯
P3C哨戒機が能登半島沖と佐渡島沖で不審船を相次いで発見したのは23日朝。午後1時過ぎ、海保の航空機による停船命令を無視して逃走したため、海保巡視船は漁業法違反容疑で追跡した。
海保は、難民船、密輸船など日本近海を横行する不審船に対し、漁業法をはじめ漁船法、船舶安全法、出入国管理・難民認定法などの法令を駆使して取り締まる。
漁業法の場合、74条は「必要と認める時は検査、質問できる」とし、141条で「検査を拒み、妨げた者」に「六月以下の懲役または三十万円以下の罰金」と規定しており、偽装漁船にしばしば適用している。今回も日本船舶名の詐称だった。
政府はその後、北朝鮮工作船による「領海侵犯」事件と断定したが、わが国の国内法では領海侵犯という罪はない。
また、停船した不審船に立ち入り検査を実施する場合も、北朝鮮側が武装している可能性が高く、「隊員は命懸けとなるのに、漁業法違反程度の名目で全力を尽くせるか大いに疑問だ」と海自OBは強調する。
◆「船体撃てぬ」見透かされ
◇海自の権限
海自の「はるな」「みょうこう」など3隻の護衛艦が不審船発見後、追跡した根拠は、防衛庁設置法6条の「調査・研究」という規定だった。23日午後8時55分、運輸相の要請がなされ、「官庁間協力」(国家行政組織法2条)も加わったが、できることはあくまでも「海保への支援」にとどまった。海警行動発令で海自は、海保の追跡根拠だった漁業法違反容疑という名目を引き継ぎ、24日午前1時以降、停船命令や警告射撃を開始した。
しかし、工作船は警告に応じなかった。「北朝鮮側は、日本が船本体を狙えない事情を知り抜いているからだ」と防衛庁幹部はいう。
海警行動での武器使用は、自衛隊法93条で警察官職務執行法七条が準用されるため正当防衛、緊急避難などに限られるからだ。装備の面でも、舵(かじ)を破壊するための射撃ができる機銃を積載していなかった。
◆緊張懸念、F15に「戻れ」
◇対領空侵犯
工作船は24日午前3時20分と同6時6分に、防空識別圏(ADIZ)外に逃げ去った。政府は追跡を断念したが、北朝鮮との緊張状態が過熱するのを懸念したためだ。当時、不測の事態に備えて、ADIZの手前で航空自衛隊のF15戦闘機が警戒態勢に入った。
領空侵犯の恐れがある場合、自衛隊法84条で対領空侵犯措置をとることができ、最後の手段として撃墜も可能だ。米ソ冷戦時代、日本の上空に侵入した旧ソ連機にスクランブルをかけ、警告射撃した例がある。
だが、今回は、北朝鮮からミグ21戦闘機2機の発進が同日午前7時55分、確認されると帰還指示が出された。
様々な教訓が残された。