投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 12 月 05 日 19:57:13:
(回答先: イスラエル 自治政府本部も攻撃〜アラファト議長至近距離〔東京新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 05 日 13:51:19)
12/04 22:48 役割終わったアラファト氏 自治合意は崩壊瀬戸際 外信150
【エルサレム4日共同】イスラエルのシャロン首相がパレスチナ
自治政府を「テロ支援団体」と断定したことで、一九九一年のマド
リード中東和平会議に端を発したパレスチナ暫定自治合意の枠組み
は、後戻りできない崩壊の瀬戸際に追い込まれた。少なくともイス
ラエル側にとって、アラファト自治政府議長の「和平のパートナー
」としての役割は終わった。
イスラエルにとって最も望ましいシナリオは、アラファト議長が
失脚し、代わりに徹底的なテロ対策ができる人物が後継者として登
場することだ。
だが、今のパレスチナに議長を上回る統率力と政治力を持つ人物
は見当たらない。かといってイスラエルが直接、アラファト議長排
除に動けば「かいらい政権」づくりと受け止められ、パレスチナ住
民の激しい反発を招く。
では、イスラエルはこの際、暫定自治の枠組みを完全に壊してヨ
ルダン川西岸とガザ地区を再び軍事占領地に戻そうとしているのだ
ろうか。
そうなれば当然、パレスチナ人は強く抵抗し、戦争状態になるこ
とは避けられない。和平の道を踏み出したイスラエルが再び、中東
を火薬庫にする―と国際社会も当然、非難する。再占領に伴う負の
要素はあまりにも大きい。第一、テロ抑止には逆効果だ。
イスラエル政府は自治政府を「テロ支援団体」と切って捨てたも
のの、議長自身を「テロリスト」と呼ぶことは避けた。もはや「パ
ートナー」とは見ていないが、直接の攻撃対象ともしない。自発的
に表舞台から消えてもらいたいというシャロン政権の本音が垣間見
える。
アラファト議長は四面楚歌(そか)だ。イスラエルが求め続けた
ハマスなどイスラム過激派の徹底的な取り締まりができるような状
態ではない。パレスチナ人の支持も失っているからだ。
今年起きた一連の自爆テロは、昨年九月に首相就任前のシャロン
氏がエルサレムのイスラム聖地に突然、足を踏み入れ、パレスチナ
人の反発を招いたことが遠因だ。怒ったパレスチナ人が反イスラエ
ル闘争を再燃させ、イスラエル治安部隊との衝突で約八百人が死亡
した。
多くの犠牲者を出したのに「エルサレムを首都とする独立国家樹
立」への道筋は一向に見えてこない。議長の掲げた、こうした目標
はまやかしだったとの失望が議長への「無言の離反」を招き、相対
的にイスラム原理主義過激派への支持を増す。
議長は米国の支持も失った。今回、米国はイスラエルにテロ報復
の自制を求めなかった。自国が米中枢同時テロでアフガニスタン攻
撃を続けているのに、イスラエルに自制を求めるのは不可能だった
。
とはいえ、事態収拾への調停能力があるのは米国だけだ。クリン
トン政権もブッシュ政権も、中東和平問題をその時々の都合で場当
たり的に扱ってきた。ブッシュ政権が積極的な調停でパレスチナ和
平に取り組まなければ、中東和平も「テロとの戦い」も挫折の憂き
目を見ることになりかねない。
(了) 011204 2247
[2001-12-04-22:48]