投稿者 佐藤雅彦 日時 2001 年 11 月 21 日 21:00:29:
回答先: フィリピンに部隊派遣も 米、テロ対策に1億ドル援助 投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 11 月 21 日 18:47:40:
「文明の衝突」戦略の本当の狙いは、
●非ヨーロッパ文明の内紛助長⇒分断統治と、
●内紛につけ込んだ米国覇権の再確立、
ではないか……?
●サミュエル・ハンティントンが米国CFR(外交問題評議会)の御用学者で、70年代から“民主主義の過剰”を攻撃する保守反動論者として活躍していたことはつとに有名ですが、彼が『文明の衝突』を著したのは、学問成果の発表なんぞではなく、ポスト冷戦体制における米国の国際戦略を作るための基本路線設定が狙いだったことは明らかです。
……っていうかぁ〜、そもそもCFRはそういう目的で作られた政治結社ですからね。
●メディアは「ウサマ・ビン・ラディンが“文明の衝突”を仕掛けているので、米国がアラブ諸国に誤解されるような言動を行なえばウサマの思うつぼ」などとフザけたことを宣伝してるけど、“文明の衝突”というアイディアなり世界観はCFR謹製だっての。「ウソも百ぺん繰り返せば真実になる」ってのはナチス宣伝大臣ゲッベルスが残した迷言だけど、目下、米英や日本の阿呆メディアは、ゲッベルスの教訓を懸命に反復していて脱力しますな。
●「文明の衝突」って論文が『Foreign Affairs』に発表されたとき、図書館でそれを見て何だコリャと思ったもんです。だって、ナンタラの衝突って表題は、『衝突する宇宙』以来、トンデモ本と相場が決まってましたからね。
●さて、今回の米国の対アフガニスタン外交は、「文明の衝突」というフレーズとともに喧伝されて、あたかも「文明の衝突とはこういうものです」みたいな宣伝が行なわれてきましたが、ハンティントンが分類した世界の8〜9種類の「異質な文明」同士が「衝突」するというよりも、むしろ実際には、そうした「衝突」を口実にしながら米英の軍事力で非米英文化圏の社会を攪乱して分裂を促し、内紛を引き起こしてそこに「平定勢力(peace maker)」として乱入して、結果的に“占領”してしまうのが狙いじゃないのか、と思えてきます。
●事実、小さな島国だった英国が巨大帝国に成り上がれたのは、インドの部族対立に軍事介入して、現地の“負け組”部族国家をまず占領し、こうした被占領国家の人々の怨念を勝者の部族国家に向けて誘導し、被占領国家を道具に使って“勝ち組”部族国家を攻撃して占領する、という戦略を繰り返した結果だったわけです。英国はこうしたノウハウを古代ローマ帝国の研究をつうじて習得したのでしょうが、その英国のノウハウを真似てきたのが米国に他なりません。(ただし米国のお馬鹿なところは、気持ちが逸[はや]って必ず冒険活劇のような稚拙な茶番劇になってしまうことですが……。)
●回教圏は世界人口の5分の1を包摂する巨大な“文明圏”ですが、その民族や政治経済状況はさまざまで、かろうじてコーランで結びついている、と言えるでしょう。だから、サウディアラビア出身のウサマ・ビン・ラディンが東アフリカに行けば、東アフリカ社会での内部対立が助長されるし、その彼を中央アジアに“赴任”させれば、今度は中央アジアの社会に、回教徒どうしの対立が起こるわけです。北部同盟勢力がアラブ人を殺している現実は、そうした状況の一端なのかもしれません。
●米国はヴェトナム戦争で敗走して以降、アジア大陸に“影響力の拠点”を確立できずにきました。その結果、国際的な影響力は凋落の一途をたどってきたわけです。石油利権のフロンティアである中央アジアにウサマ・ビン・ラディンという“駒”を配置することは、米国の戦略的な工作だったのかも知れませんね。その意味で、ウサマ・ビン・ラディンは米国の“エージェント(代理工作装置)”だったのでしょう。
●ウサマ・ビン・ラディンをアフガニスタンに配置したことで、この国と周辺世界━━イラン、パキスタンおよびインド、タジキスタンやトルクメニスタンなど、それにロシア━━の政治バランスに崩れました。そこに英米が介入するというのは所期の目論見だったと思えます。
●興味ぶかいのは、アフガニスタン周辺にいた回教徒の武力集団がフィリッピンに流入したということです。ここは80年代にマルコスが米国基地存続をめぐって取引をふっかけてきたので、米軍が「市民革命」を演出してマルコスを駆除したという経緯があります。その後、ヴェトナム戦争当時の最大の出撃基地だったスービックは、火山噴火で実用に耐えなくなり、結局、米国が見捨てたのでした。アメリカ流の全世界覇権主義(いわゆるグローバリズム)を確立するには、すくなくとも中東から東南アジアまでをカバーできる出撃・補給拠点を、中央アジアの近くに確保しておく必要があります。しかもサウディアラビアへの軍事駐留がいつまで続けられるか怪しくなってきた状況なのですから、海上権力論で世界戦略を組み立ててきた米国としては、フィリッピンという島国をますます利用したいと考えるでしょう。
● さすが経験主義の国イギリスと、実用主義の国アメリカ。
歴史に学ぶ、とはこういうことだな……。
皮肉を込めて、そう言わせていただきましょう。(溜息…)
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11/20 18:57 ミスアリ氏の反乱罪も検討 比のイスラム勢力攻撃 外信93
【マニラ20日共同】フィリピンのペレス法相は二十日、イスラ
ム最大勢力、モロ民族解放戦線(MNLF)のミスアリ名誉議長派
とみられる部隊がホロ島で軍施設を攻撃し多数の死者を出したこと
を受け、ミスアリ氏に対し反乱罪や扇動罪の適用も検討していると
述べた。
また、訪米中のアロヨ大統領は、ミスアリ氏が現在務めているミ
ンダナオ・イスラム自治区(ARMM)の知事の職務を暫定的に停
止するよう指示した。
政府は、MNLF内部の主導権争いで劣勢に立たされ、二十六日
に予定されているイスラム自治区の知事選候補からも外されたミス
アリ氏が、知事選を延期させる目的で自派の部隊を指揮して武装攻
撃をさせたとの見方を強めている。
軍によると十九日の戦闘で市民七人が死亡していたことが新たに
分かり、死者総数は六十二人になった。
(了) 011120 1856
[2001-11-20-18:57]
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11/21 12:25 フィリピンに部隊派遣も 米、テロ対策に1億ドル 外信52
【ワシントン20日共同】ブッシュ米大統領は二十日、ホワイト
ハウスでアロヨ・フィリピン大統領と会談し、要請があれば、フィ
リピンのイスラム過激派アブ・サヤフ掃討に米地上部隊を派遣する
用意を表明。また、総額約一億ドルのテロ対策支援の方針も示した
。
フィリピン南部を拠点とするアブ・サヤフは、ウサマ・ビンラデ
ィン氏のテロ組織アルカイダとの関係が指摘され、米国人を含む観
光客の誘拐事件も起こしていて、米国の「対テロ戦争」で東南アジ
ア最大の標的とみられている。
ブッシュ大統領は会談後記者団に「アルカイダがいればどこでも
戦う。(米地上部隊派遣は)アロヨ大統領の決断次第だ」と述べ、
世界規模でアルカイダを掃討する意欲を示した。
米政府は既に、フィリピン政府のアブ・サヤフ掃討作戦に約二十
人の軍事顧問団を派遣している。
会談後両国が発表した共同声明によると、米政府は二○○三年ま
でにフィリピン軍の組織、装備強化のため約一億ドルを援助する方
針。
これに先立ち、アロヨ大統領はラムズフェルド国防長官と会談し
た。一連の会談でフィリピン側は、アブ・サヤフとの戦闘に使用す
るため、対戦車ヘリAH1「コブラ」や輸送機C130などの供与
を求めたとみられる。
(了) 011121 1224
[2001-11-21-12:25]
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