投稿者 あっしら 日時 2001 年 11 月 13 日 19:03:30:
両記事に対する総体的印象は、『ポートランドプレスヘラルド』は時刻記述がまったくなく詳細な記述もないがそれなりの臨場感があるというもので、『ニューヨークタイムズ』は読み物風にまとまっているがイベントをわざとかと疑わせるくらいタイムラインを度外視して記述しているものである。
PPHは『ポートランドプレスヘラルド』(9/13)、NYTは『ニューヨークタイムズ』(10/16)
『ポートランドプレスヘラルド』の記事全文(日本語及び英語)はフォローアップに、
『ニューヨークタイムズ』の記事全文(日本語及び英語)はhttp://www.asyura.com/sora/war4/msg/466.html
1)AA11便はいつハイジャックされたのか
PPHによれば、
“職員は、匿名を条件に、ハイジャック犯はマサチューセッツ州ガードナー付近でアメリカン航空11便を支配したと語った。ガードナーは、ボストンのおよそ45マイル(約72Km)西北である。”
とあるので、離陸後15分程度の8:30AMまでにはハイッジャクされたかもという認識を管制官にもたれたようだ。
一方、NYTによれば、
“AA11便のハイジャックに関してオーティスに最初の指令が届いたのは、連邦航空局がニューヨーク州ロームにあるNoradの一部門である北米防空セクターに最初に通知した6分後の午前8時46分である。6分後、1977年に製造され熱追尾型とレーダー誘導型のミサイルを装備した定評ある2機のF−15がNoradスケジュールに従ってスクランブル発進した。”
とあるので、8:40AM以前には交通航空管制官がハイッジャクを認識していたことになる。
両記事とも、管制官がハイジャックを認識した時刻は明示していないが、8:30AM前後に異変を察知し、8:40AMよりも前に防空当局に通知したことがおおよそとしてわかる。
2)UA175便はいつハイジャックされたのか
AA11便は8:45AMにWTCノースタワーに激突した。
そのあとにサウスタワーに激突したUA175便については、
PPHでは、
“大勢の管制官がナシュア管制センターのテレビで進展する出来事を見ていたが、乗員とのコンタクトを維持していたので、UA175便が2番目のWTCに激突するとは思ってもいなかった。職員は、「最初の航空機が激突しても、それが再び起こるとは誰も想像しなかった。私たちみんながそう考えた。まったくみんなの不意をついた」と語った。”
という記事内容から推測すると、AA11便の激突後にTV報道が始まった時点でも(10分後くらいとすると8:55AMくらい)、担当管制官は、UA175便がハイジャックされたと認識していない。UA175便のサウスタワー激突は9時2,3分なので、UA175便は、どんなに早く見積もっても、激突の7,8分前まではハイジャックされていないか、ハイジャックされていないように装っていたになるだろう。
さらに言えば、UA175便は、激突するまで、ハイジャックされたという認識を管制官に持たれないままだったかもしれないと言える内容だ。
一方のNYTは、
“パイロット(引用注:UA175便)は、離陸直後の午前8時41分に、「我々はボストンを出発したときおかしな送信を聞いた。誰かがマイクを調節したような音がし、みんなに席にとどまるよう言った」と報告した。90秒もたたないうちに、そのパイロットの飛行機は映画のような災厄の次の1コマになってしまった。UA175便は、ロサンゼルスへの予定されたコースから離れていき地上との交信もやめた。管制官は、「トランスポンダー(位置高度を示す自動応答装置)の発信はなく、なにもなく、誰もパイロットに話していない」と語った。そして、午前8時50分、見知らぬパイロットが共用周波数で「ローアーマンハッタンの煙が何か誰か知ってるかい?」と言った。”
となっているから、UA175便は8:44AMまでにはハイジャックされたことになる。
両者のあいだでは、UA175便に対する航空交通管制官の認識が大きく食い違っている。
※ NYTは、“パイロットは、離陸直後の午前8時41分に、「我々はボストンを出発したときおかしな送信を聞いた。誰かがマイクを調節したような音がし、みんなに席にとどまるよう言った」と報告した。”と書いているが、他の航空機のパイロットが受信したということは共用周波数が使われたことを意味するので、それをなぜ地上管制官が聞かなかったのかという疑問が発生する。また、8時41分、上述のように、既に防空当局にハイジャックが通知されている時刻でもある。
3)墜落したUA93便への空軍機の対応
ペンシルバニアで墜落したUA93便については、
PPHは、
“ナシュアの管制官たちは、他の管制官たちとのやりとりを通じて、F−16戦闘機が、別のハイジャック民間航空機がペンシルバニアで墜落するまで追尾していたことを知っていると職員は語った。管制官はボーイング757に対する空軍機の追尾について完全な詳細は持っていないが、F−16が民間ジェット機の近くにとどまり360度の旋回を行ったことを知っていると職員は語った。
職員は、「彼はすべてを見ていたに違いない」と、ピッツバーグ近郊でのユナイテッド航空93便の墜落がF−16パイロットの視界にあったことを語った。”
と空軍機が追いついていたことを示している。
一方のNYTは、
“バージニア州ハンプトンにあるラングレー空軍基地から飛んだF−16が到着したときにはすでに墜落していた。”
とあり、両者の内容はまったく異なっている。
アメリカ政府は、アフガニスタン人虐殺に血道をあげるのではなく、9.11同時多発テロ攻撃そのものの事実経過及び捜査内容をきちんと公表すべきである。それこそが、「民主主義国家」や「文明社会」の証である。