投稿者 ROM潜 伊ーHEXA号 日時 2001 年 10 月 06 日 10:40:25:
古い記事ですが、以下にパレスティナとイスラエルのサイバー戦の記事を続けます。
「テロとインターネット」シンポジウム、イスラエルで開催(上)
Tania Hershman
2001年1月12日 6:00am PST イスラエル・ベールシェバ発――政治的ハッキング、すなわち「ハックティビズム」。それはインターネット上で行なわれているものかもしれないが、その効果は仮想のものではなく、現実のものだ。
過激派グループによるウェブ上の活動は、現実の紛争の代替として行なわれるだけではない。その活動によって、今まで可能だったものよりもはるかに大きな規模の、同志のコミュニティーが作られていっているのだ。
ネット上の通信や情報配信という直接的なチャンネルが、地上での活動を実際に増大させている可能性がある――それが、11日(現地時間)にベングリオン大学で行なわれた、『サーバーの戦い、心の戦い――ニューメディアとサイバー戦争』(Battle of the Servers, Battle of the Hearts: New Media and Cyberwars)シンポジウムで、講演者たちが語ったことだ。
イスラエルの複数の大学でテロとインターネットについて講義しているリモル・ヤギル氏は、「イスラム世界は非常に早い時期に、(インターネットの)重要性を理解した」と語った。「彼らはオンラインの聖戦、すなわち『e-ジハード』という新たな戦略を採用した。彼らはインターネット上でイスラムのコミュニティーを作った……インターネットは、たとえばアフガニスタンのイスラム教徒を、アルジェリアやイスラエルで起きていることに結び付けている」
自分たちの活動に「e」を付け加えたのは、イスラムのグループだけではない。
「良かれ悪しかれ、ニューメディアは境界を破壊する」と語ったのは、イリノイ大学のコミュニケーションズ・リサーチ研究所のブルース・ウィリアムズ氏。
ウィリアムズ氏が研究対象としているのは、『ホワイト・アーリア人レジスタンス組織』や『全米白色人種向上協会』などの米国の過激派グループだ。
「ネットの使用は仮想世界の創造を可能にする」とウィリアムズ氏。「(これらの団体は)自分たちと主流派の間にある境界を、戦略的にあいまいにしたり新たに定義したりすることが可能だ……そして、自分たちと政治的暴力行為の境界をも、あいまいにしたり新たに定義したりできる」
今までのところインターネットは、「これらの団体の実際の言説の内容」を変えているわけではないとウィリアムズ氏は言う。けれどもインターネットでは、マルチメディアツールと迅速かつ広範囲な配信メカニズムによって、見栄えのよい仕上げで専門的な印象を与えることができ、彼らは効果的に団体のメッセージを広められる。
イスラエル人と、パレスチナおよびアラブ人という、サイバー戦争の両陣営は共に、このような配信チャンネルを利用している、と語ったのは『中東仮想共同体』(MEViC)の創設者であるマイク ・ダハン氏。この団体はネット上に、敵意ではなく対話を作り出そうと試みている。
「イスラエル人やパレスチナ人は、『パワーポイント』によるプレゼンテーションやアニメーションを送信している……。このような配信は強力な力を持っている。受信者が他の人たちに転送するため、それは何万人という相手に届くのだ」とダハン氏。
けれどもこの配信には、単に「情報」を広める試みという以上の意味がある。
「情報配信を受けた人々は街に出て活動したいと感じる。居場所がパレスチナ自治区内だろうと、米国やヨーロッパだろうと……。彼らの活動は、インターネット上に留まらない。街頭に出て、行動するのだ」とダハン氏は語った。
ベングリオン大学のケネス・プレイス教授は、「革新的な技術が生まれるたびに、それが戦争を一掃するだろうと言われる」と語った。
しかしながら、その意見はインターネットについては真実ではないように思える。テレビや映画の暴力シーンによる影響と同様、インターネット上で攻撃行動についての情報を見たり読んだりすることで、暴力的衝動が抑制されることはないようだ。
イスラエル人対パレスチナ/アラブ人のハックティビズムは、地上での暴力のエスカレートに引き続いて2000年10月に始まり、それ以来、多くのメディアの注目を集めてきている。これはサイバー戦争現象の、非常に活動的な例といえる。
サイバー上の脅威を監視している米アイディフェンス・インテリジェンス・サービス社が2001年1月3日に出版したレポートには、「親イスラエル派と親パレスチナ派の攻撃者たちは、3ヵ月間にわたって容赦ないサイバー攻撃を続けている。それにもかかわらず、この対立は弱まる兆しを見せない。新たな標的、手段、戦略、関係者が、ほぼ毎日のように登場し続けている」と述べられている。
(1/17に続く)
[日本語版:高森郁哉/合原弘子]