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07/19 01:45 毎: <番組打ち切り>テレビ朝日の「ザ・スクープ」 視聴率不振
毎日新聞ニュース速報
警察の不祥事を暴くなど調査報道に定評のあるテレビ朝日のニュース番組「ザ・スク
ープ」が今年9月で打ち切られることになった。テレビ朝日は理由として「視聴率不振
」を上げる。これに対して番組を支持する視聴者の間から存続を強く求める運動が広が
り、メディア界で注目されている。
キャスターは89年のスタート時からサンデー毎日元編集長の鳥越俊太郎さんが務め
る。埼玉県桶川市のストーカー殺人事件で警察の怠慢捜査を追及、昨年の日本記者クラ
ブ賞を受賞したほか、仙台市の筋弛緩(しかん)剤事件、検察の裏金、オウムの子供た
ち〜揺れる信者家族、小泉改革VS道路族など幅広いテーマを掘り下げてきた。
当初、土曜日の午後6時からの放映枠は一時、日曜午後7時のゴールデンタイムに移
ったが、昨年10月からは土曜午前10時50分になった。89年10月の平均視聴率
は6・6%だったものの、今年5、6月の平均は4・2%で、ライバルとされるTBS
の報道特集(日曜午後5時半)の6・1%に比べ、やや低い。テレビ朝日広報部は「数
字の低迷は打ち切り原因の一つ」と話す。
この打ち切りは正式に公表されていないが、ファンからはこれまで100通以上の励
ましのメールがテレビ朝日や鳥越さんあてに届いている。「鋭い切り口を楽しみにして
いた」「直感的にヘンだと思うことを解明してくれた」と功績を惜しみ、続行を望む声
が圧倒的だ。
そんな中で番組のファンという藤田謹也弁護士や作曲家の三枝成彰さん、軍事アナリ
ストの小川和久さんなどを発起人に「存続を求める会」(仮称)が設立された。藤田弁
護士は「視聴率やスポンサーだけに顔を向けず、テレビ局はもっと視聴者の立場に立っ
てほしい」と話す。大学教授や映画監督などが参画する任意団体「メディア総合研究所
」も近く続行を求める声明を出す予定だ。
研究所メンバーの共同通信元編集主幹、原寿雄さんも「アメリカでは、良質の報道番
組が終わろうとすると新聞など他メディアがキャンペーンを行う。社会が番組を育て守
る運動が、もっと日本で活発になっていい」と話す。
実際、米国では今春、ABCが22年続いた報道番組「ナイトライン」を娯楽番組に
変えようとした際、ニューヨーク・タイムズ紙など主要メディアが反対の声を伝えた。
このため看板キャスターのテッド・コッペル氏更迭も見送られ、番組の首もつながった
経緯がある。 【山本紀子】
鳥越俊太郎さんの話 13年テレビの報道にかかわり学ぶことは多かった。感謝して
いる。ただ、テレビにとって最低限守るものは何か、ということについてテレビ局がど
こまで真剣に考えているのか、一抹の不安を感じる。
テレビ朝日広報部の話 「ザ・スクープ」の存続を求める会結成の動きについて、番
組を惜しむ声があることはありがたいと受け止めている。今後は「ザ・スクープスペシ
ャル」として年間数本の放送を続けていきたい。
放送作家、石井彰さんの話 土曜朝のきつい時間で4%台の視聴率は決して低くない
。番組はピリ辛味が魅力。チャーシューメンや塩ラーメンは他店にあるのだから、テレ
ビ朝日は看板メニューをやめるべきではない。徳島市の四国放送では、打ち切りの危機
にあった人気番組をリスナーが出資して支えた。「ザ・スクープ」でもファンが制作費
をカンパするシステムができれば、放送局と視聴者の一方的な関係が変わる可能性があ
る。
ジャーナリストで放送批評誌「GALAC」編集長、坂本衛さんの話 視聴者は30
秒で伝える短いテンポのニュースになじみがちで、じっくりした切り口の番組が避けら
れる傾向にある。しかし「ザ・スクープ」のように権力にキリキリ突っ込む硬派の番組
は、もうからなくてもテレビ局の使命として支えるべきだ。テレビ朝日は「ニュースス
テーション」や「サンデープロジェクト」も抱え、娯楽より報道番組に強い。社のカラ
ーを大切にして、報道部門を立て直すべきだと思う。
[2002-07-19-01:45]