定期検査をほぼ終えて今月初めから調整運転に入った核燃料サイクル開発機構の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)で17日夜、冷却水中の放射能濃度が上昇していることが分かった。同機構は、安全上問題となる濃度ではないものの、燃料集合体に微小な穴(ピンホール)が生じた可能性が高いとみて、データの監視を強化している。
冷却水中で検出されたのは、燃料の核反応で発生する放射性のヨウ素ガスで、通常の数倍の濃度に上っている。さらに数百倍まで上昇しないと、ピンホールが小さすぎて、破損燃料を特定できないため、運転は当面継続するという。
ふげんは昨年5月にトラブルで停止した後、定期検査などを経て、今月初めに再起動。17日午後から定格出力の運転に入ったことから、同機構は、燃料体内の圧力が高まって、ピンホールが拡大しているとみている。
ふげんの燃料集合体は224体あり、このうち130体がウラン燃料、94体がウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料。MOX燃料は過去22年間に計726体を使用、破損などの問題は全く起きていなかった。この実績は、通常の原子力発電所でMOXを燃やす「プルサーマル」計画で、国が安全性を強調するための有力な支えとなっていた。
(4月18日16:20)