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【「東奥日報」事件関連記事集】 <その6> 投稿者 あっしら 日時 2002 年 3 月 16 日 22:56:13:

(回答先: 【「東奥日報」事件関連記事集】 <その5> 投稿者 あっしら 日時 2002 年 3 月 16 日 22:49:23)

『東奥日報』《「武富士」弘前支店強盗放火殺人事件関係記事》


2002年3月4日(月)
-------------------------------------------------------------------------------- 犯行自白まで18時間の攻防

 弘前署と県警の捜査本部が、武富士事件の小林光弘容疑者を自宅から金木署に任意同行したのは、三日午前六時四十五分ごろ。四日午前一時十八分に緊急逮捕して決着したが、約十八時間にわたり、否認する容疑者と、火災で物証が失われ、犯行を認める容疑者の自供を得たい取調官の攻防があった。

 捜査本部によると、小林容疑者は、事情聴取が開始されてから、一貫して事件への関与を否認し続けていた。このため、「容疑者が供述したアリバイなどの裏付け捜査のため、時間がかかった」(木村捜査本部長)といい、供述の矛盾点を突く取り調べが続いた。

 最終的には、三日深夜、小林容疑者が「自分がやった」と犯行を自供したため、四日未明の逮捕にこぎ着けた。物的証拠が乏しく、状況証拠から容疑者の自供を得ることの難しさを示すケースだった。


2002年3月4日(月)
-------------------------------------------------------------------------------- 物証失われたぎりぎりの逮捕劇

 五人の貴い命が奪われた白昼の凶行から約十カ月。穏やかな城下町を恐怖に陥れた犯人は、ついに逮捕された。武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で逮捕された小林光弘容疑者(43)は、すでに昨年五月の段階で捜査線上に上っていた。アリバイが不明確なことや、犯人の似顔絵に似ていたことから、捜査本部は同容疑者周辺の証拠を一つ一つ固めていく形で、事件解決にこぎ着けた。火災で物証が失われ、犯行を認める自供を取らなくてはならない苦しい状況下での、ぎりぎりの逮捕劇だった。

 小林容疑者が最初に捜査対象となったのは、事件直後の五月二十三日。現場で目撃された緑色の軽ワンボックスカー「スバル・サンバー・ディアス・クラシック」と同型車種の所有者だったためだ。しかし、同容疑者は「(犯行時刻は)一人で家に居た」と捜査員にアリバイを主張。また、事件直後に敷いた検問でも同車両が通過した形跡がなかったことなどから、同容疑者は膨大な捜査対象の中にいったん埋もれてしまう形となった。

 だが、捜査陣は公開した犯人の似顔絵に面ざしの似た同容疑者に対するマークを外さなかった。周辺を丹念に調べていくと、事件との関連をにおわせる事実が次々と明らかになっていった。

 その一つが、小林容疑者が複数の消費者金融から数百万円の借金をしていた事実。業者の一つは武富士だった。住宅ローンや、知人の保証人になったばかりに多額の借財を背負い、困窮する姿も浮かび上がった。

 さらに、事件前日に、およそ四リットルのガソリンを購入していた事実も判明した。詰めてもらった「オイル缶」は、武富士従業員が証言した犯人の金属缶とほぼ形状が一致。偶然というには符合する点が多すぎた。

 一方、現場に遺留品として残された新聞の束も、大きな手掛かりとなった。束の中にチラシや折り込み広告が入っていなかったため、購入経路が限定され、犯人特定に結びついた。

 こうした証拠の積み上げを経て、捜査本部は小林容疑者を最重要人物として位置付けていった。四日未明の記者会見で、捜査本部長の木村哲県警刑事部長は「小林容疑者が重要参考人として浮上したのは一月中旬。ほかにも複数の参考人が残っていたが、同容疑者がトップにいた」と語った。

 そして、決定的だったのが目撃者による小林容疑者の「面通し」だった。面長、ぎょろ目、横一直線の額の髪の生え際…。公開された似顔絵に刻印された特徴は、そのまま小林容疑者の特徴だった。目撃者は口をそろえて「犯人とは断定できないが、似ている」と語ったという。「小林容疑者=犯人」の図式が固まった。

※写真は小林光弘容疑者の捜索を終え、押収品を積み込む捜査員=3日午後11時50分ごろ

2002年3月4日(月)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件、金目当て計画的犯行

 昨年五月八日、弘前市田町五丁目の雑居ビル三階にあった消費者金融「武富士弘前支店」で、男が金を要求してガソリンに放火、従業員五人が死亡、四人が重傷を負った強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部(本部長・木村哲県警刑事部長)は四日未明、強盗殺人と同未遂、現住建造物等放火の疑いで、浪岡町浪岡稲村、タクシー運転手、小林光弘容疑者(43)を逮捕した。取り調べに対し、小林容疑者は、金を奪うために支店に押し入った上、最終的に放火した事実を、深夜に及んで「自分がやりました」と全面自供した。事件前日(七日)、同支店内をあらかじめ下見し、ガソリンスタンドからガソリンを購入するなど、犯行は、計画的な一面を持つことが分かった。

 調べによると、小林容疑者は自身の勤務が休みだった二〇〇一年五月八日午前十時四十八分ごろ、金銭強取の目的で、同市田町五丁目にあった雑居ビル「成田ビル」三階の「武富士弘前支店」に、ガソリンの入ったオイル缶を持って押し入り、店内カウンター付近にまいた上、「金を出せ、出さねば火をつける」と脅迫して現金を要求。しかし、応対した店長が金は出せない旨を伝えると、従業員を殺害することを決意。紙にライターで点火、まいたガソリンに投げつけて放火、五人を殺害。四人に重軽傷を負わせ、同支店約九十六平方メートルを全焼させた疑い。

 これまでの調べで、小林容疑者は犯行当日、自身が所有するスバル・サンバー・ディアス・クラシックで支店に赴き、水色のつなぎを着用していた。ガソリンを入れたオイル缶は、放火した後に持ち帰ったと供述している。弘前支店を選んだ理由は「店が(現場に)あるのを知っていた」というもので、恨みなどによるものではないという。

 小林容疑者は、犯行前日の五月七日、武富士弘前支店を訪れ、店内の様子を下見したほか、ガソリンスタンドでガソリンを購入し、翌日の犯行に備えていた。

 また住宅ローンの返済や、知人の連帯保証人となった経緯などから、相当額の借金を抱えており、金に困っていたもようだ。

 犯行後、小林容疑者は車で浪岡方面に逃走したが、県警の緊急配備による検問チェックをかいくぐっていた。この点について、木村捜査本部長は「検問を通過せずにまっすぐ行ける道があり、そこを通ったと思われる」と推測した。

 捜査本部は二日までに、(1)緑色の容疑車両(スバル製の軽ワンボックス車)の所有者(2)「自宅に一人でいた」とするアリバイが明確ではない(3)犯行前日のガソリン購入の事実(4)似顔絵に似ている(5)(武富士を含む)消費者金融などから多額の債務があり、金に困っていた−など小林容疑者周辺の情報から、同容疑者の犯行とほぼ断定。三日午前六時四十五分ごろ、小林容疑者に任意同行を求め、金木署で事情を聴いていた。同日、被害者数人も面通しで容疑者の顔を確認し、「似ている」と証言したという。

 小林容疑者が勤務するタクシー会社(本社・青森市)によると、同容疑者は事件前日の五月七日、「親類の不幸」を理由に欠勤。そして事件当日は休日だった。翌九日は午前八時から十日の午前三時まで通常通りに勤務。やけどをした様子もなかったといい、普段と変わりなくタクシーを走らせた状況が日誌から読み取れる。

 平賀町の葛川小、中学校を卒業した同容疑者は千葉県の木更津東高校夜間部に進み、一九七七年に卒業。同社には八七年から九八年まで勤務した。ほかのタクシー会社などを転々とした後、同社には昨年五月一日に再雇用された。事件は、その一週間後に起きた。


2002年3月4日(月)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件、容疑者を送検

 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部は四日午後、同日未明に強盗殺人と同未遂、現住建造物等放火の疑いで逮捕した浪岡町浪岡稲村、タクシー運転手小林光弘容疑者(43)を、検事が同署に出向く形で、青森地検弘前支部へ送検した。これまでの調べで、犯行のきっかけとなったとみられる同容疑者の多額の借金は、そのほとんどが競輪などギャンブルによって生じていたことが分かった。借金の総額は千数百万円、月々の返済額は月給の倍以上に上っていたとみられる。同容疑者は犯行について、「金を出してもらえず、従業員が電話をかけているのが見えたので火をつけ、捕まらないようにした」などと供述しており、金目当てで押し入ったが、目的を遂げられず途中から凶行に走ったものとみられる。

 捜査本部などによると、小林容疑者の借金は一九九五年一月に自宅購入のために組んだ住宅ローンのほか、知人の借金の保証人になったことによって生じた数十万円の債務などがある。しかし、大半は競輪によるものだった。

 関係者によると、小林容疑者は、勤務先のタクシー会社の労働組合から金を借り、一日十万円単位の金を競輪につぎ込んでいたこともあったという。このため浪岡町の同容疑者宅は、連日のように返済を迫る業者が訪れる状態だったという。捜査本部は、競輪のために複数の消費者金融で重ねた借金が事件に結びついた可能性が高いとみて、追及している。

 一方、捜査本部は三日の家宅捜索で、同容疑者が所有する緑色のワンボックスカー「サンバー・ディアス」を押収した。同容疑者は同車両を「犯行に使った」と供述しているため、同車両が、事件現場で目撃された逃走車両と同一かどうかについて、確認を急いでいる。

 また、同じく家宅捜索で押収した水色のつなぎ服については、小林容疑者は「犯行時に着たもの」と認めているという。さらに、犯行時にガソリンを入れていた金属製の携行缶については、「捨てた」と供述している。

 小林容疑者の送検は、四日午後三時ごろ、青森地検弘前支部の中村孝支部長検事が同署に赴く形で、署内で手続きが取られた。身柄を送らなかったことについて、同署は「疲労困ぱいしている容疑者の人権に配慮した」などと話している。

 小林容疑者は、昨年五月八日午前十時四十八分ごろ、金員強奪の目的で、弘前市田町五丁目にあった雑居ビル三階の「武富士弘前支店」に、ガソリンが入った缶を持って押し入り、店内カウンター付近にまいた上、「金を出せ、出さねば火をつける」と脅迫して現金を要求。応対した店長が金は出せない旨を伝えると、ガソリンに放火。同店の従業員五人を殺害、四人に重軽傷を負わせた。


2002年3月5日(火)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件の容疑者、平凡と狂気

 浴衣の帯をまわし代わりに、土俵入りのまね事をしておどける小林光弘容疑者。同僚とのスナップ写真からうかがえる、ひょうきんな一面。しかし、同容疑者はだれにも気付かれないまま、内面に狂気を育てていたのか。結婚して家を新築し、営業成績も中くらい。ごく平凡な生活を自らの手で壊し、五人の命を一瞬にして奪った狂気の正体に、周囲は戸惑い驚く。

 六年ほど前、同容疑者の自宅の新築祝いにも呼ばれたというタクシー会社(青森市)の同僚は「家を建てたから頑張らないと−と言っていたのに…」と振り返る。旅行先や宴会場で一緒に撮ったスナップ写真には、表情を緩ませた同容疑者が。「お酒は好きだけど強い方ではなかった」ともいう。

 一九八七年から九八年まで同社で働き、ほかのタクシー会社などを転々とした後、事件一週間前の昨年五月一日にもとのタクシー会社に再就職した同容疑者。面接した同僚は、再就職の理由を詳しくは聞いていない。「昔の客を知ってるだろうし、覚えている仕事なのでやりやすかったんだろう」と推測する。

 二百七十人ほどいる運転手のなかでも成績は中くらい。二月は八十五位だった。最後の勤務となった三月一日は二百六十八キロ走り、稼ぎは三万一千九百四十円だった。

 ごく平凡な男と、前代未聞の凶行に走った男との間に横たわる落差。しかし、同容疑者と交代で同じタクシーを運転している同僚は、不可解な出来事を思い起こす。「武富士が配ったティッシュ五個を車内に置いていたら、次に乗った時、似顔絵ごと袋が捨てられ、中身だけが置かれていた。今考えると、内面ではびくびくしていたのかもしれない」

 浪岡町の同容疑者宅は、四日夜も家人の気配がなくひっそり。近所の住民は「とてもいい感じの家庭で、普通のいいお父さんという感じだったのに」と声を潜めた。

2002年3月5日(火)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件物証のオイル缶捜索へ

 「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件で、強盗殺人容疑などで逮捕された浪岡町浪岡稲村、タクシー運転手小林光弘容疑者(43)が取り調べに対し、犯行後に「捨てた」としていたガソリンを入れた四リットル入りのオイル缶について、「(犯行後)いったん家に持ち帰り、翌日雪捨て場のような所に捨てた」と供述していることが、五日分かった。弘前署と県警の捜査本部は、早ければ同日中にも捜索を開始することにしている。激しい火災で支店の防犯ビデオが焼失するなど証拠が乏しいため、捜査本部は缶が同容疑者の犯行を裏付ける有力な証拠になるものとみて、発見に全力に挙げる。

 捜査本部によると、小林容疑者は、ガソリンを入れて武富士弘前支店に持ち込んだオイル缶を捨てたことを認め、場所についても既に詳細な供述をしているもようだ。浪岡町の同容疑者の自宅からそれほど離れていない場所とみられる。同容疑者は事件前日の昨年五月七日、弘前支店を下見したほか、同町周辺のガソリンスタンドでガソリンを購入、四リットル入りのオイル缶に入れている。

 捜査本部は三日の家宅捜索で、小林容疑者の自宅内から複数のオイル缶を押収している。しかし、同容疑者は、調べに対して「犯行に使ったのはそれらではない。(支店に持ち込んだものは)現場から持ち帰って捨てた」などと供述しているという。捜査本部は、投棄場所が雪で覆われている状況を考慮し、多数の捜査員を投入して、オイル缶捜索に当たることにしている。

 事件では、弘前支店が入居していた雑居ビル駐車場周辺で、金属製の缶のふたが発見され、捜査本部が確保している。これまでの調べで、ふたの色は水色で、出光興産のサービスステーションのみで販売している「ZEPRO」シリーズの四リットル缶のふただったことが既に分かっている。

 発見された缶のふたは、現時点では、小林容疑者が犯行に使用したオイル缶本体のふたと断定されていないが、小林容疑者の自供通りの場所からオイル缶が見つかってふたと一致すれば、同容疑者の犯行を裏付ける極めて有力な物証となるとみられる。


2002年3月5日(火)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件、オイル缶捜索に着手

 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部は五日午後、浪岡町浪岡稲村、小林光弘容疑者(43)の「(犯行に使用した)オイル缶を捨てた」との供述に基づき、同町王余魚沢の県道青森浪岡線(通称・空港道路)脇にある山林内で捜索活動を行ったが、同日は発見されなかった。六日も捜索を続ける。

 小林容疑者は犯行時、金属製のオイル缶(四リットル)にガソリンを詰め、弘前支店に持ち込んだ。捜査本部の取り調べに対し、同容疑者は「現場から逃げる時にそのまま家(自宅)に持ち帰り、次の日、雪捨て場のような所に捨てた」と供述した。

 捜索場所は、同容疑者の自宅からは車で約十分の距離にある山林で、雪捨て場にもなっている。捜査本部は五日正午ごろから捜索を開始。警察官約四十人が、約七十メートル×二十メートルの範囲で、スコップを使い、土が見えるぐらいまで雪を掘り起こすなどして黙々と作業を続けたが、缶は発見できず、午後五時ごろに同日の捜索を終了した。

 一方、青森地検弘前支部は同日、小林容疑者について、五日から十日間の拘置を青森地裁弘前支部に請求、同地裁弘前支部はこれを認めた。地裁側は拘置所への拘置を命じたが、地検側は不服として弘前署内での拘置を求める準抗告を行った。

2002年3月6日(水)
-------------------------------------------------------------------------------- 小林容疑者、事件後自己破産申請

 武富士弘前支店の強盗殺人・放火事件で、強盗殺人容疑などで逮捕された浪岡町浪岡稲村、タクシー運転手小林光弘容疑者(43)が、事件前から自己破産を検討し、事件後に破産を申し立てていたことが五日、関係者の話などで分かった。同容疑者には二千数百万円の借金があり、多額の借金の返済に困り果てた末の犯行とみられている。

 関係者によると、小林容疑者は事件前の二〇〇一年四月、裁判所が開いた破産説明会に参加。自己破産申し立て手続きなどについて説明を受けた。裁判所に自己破産を申し立てたのは、事件後の五月後半だったという。

 捜査本部のこれまでの調べに対し、小林容疑者は「二千数百万円の借金がある」と供述している。借金の内訳については、一九九五年一月に自宅購入のために組んだ住宅ローンの支払い残額が千数百万円、ほかに消費者金融から数百万円を借りていた−などと供述。知人の借金の保証人となったことによって生じた数十万円の債務もあったとされる。

 借金額が膨らんだ理由について、五日会見した捜査副本部長の五十嵐正幸弘前署長は「競輪をやっているようだが、犯行の原因、動機に直接つながるかどうかは今後取り調べで解明する」と述べた。

 関係者によると、一日十万円単位の金を競輪につぎ込んだこともあったという。これが、消費者金融に多額の債務を抱えるようになった大きな理由とみられる。

 調べに対して小林容疑者は、武富士弘前支店を狙った理由を「店が(現場に)あるのを知っていた」と供述。武富士への恨みなどが動機ではなく、金に困っての犯行との見方が強まっている。

2002年3月6日(水)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士犯人名乗りテレビ局に手紙

 武富士弘前支店放火殺人・強盗事件で、「私が事件の犯人」「自分は似顔絵に似ていない」などと匿名で書かれた手紙が、昨年六月青森テレビに届いていたことが五日、関係者などの話で明らかになった。手紙の任意提出を受けた弘前署と県警の捜査本部が、強盗放火・殺人容疑で逮捕された小林光弘容疑者(43)の自筆履歴書を取り寄せ、筆跡鑑定した結果、手紙と履歴書の筆跡がほぼ一致。このため捜査本部はこの手紙が小林容疑者が書いた可能性が強いとみている。この手紙からは掌紋も採取されたとみられ、同容疑者逮捕の大きな要因になったもようだ。

 同社や関係者によると、手紙は事件発生からほぼ一カ月後の六月十日ごろ、青森市松森一丁目の青森テレビ本社通用口に直接置かれていたという。黒ペンの自筆で、便せん七枚にわたって「私が事件の犯人です」などと犯行を告白する内容が書かれていた。

 一方で、「自分は似顔絵に似ていない」「犯行時は帽子、マスク、手袋だった」「私は四十代ではない」「犯行に車は使っていない」「公の場で弘前市警(=弘前警察署)は捜査ミスを認めるべきだ」など、捜査本部が公表した武富士支店従業員らの目撃情報を否定したり、捜査を批判したりする内容もあった。

 また、「犠牲者と遺族の方々に心から謝罪します」「出頭することはできない。重罪を背負って生きていくつもり」などの文言も書かれていた。

 捜査本部は同社から手紙の提出を受けた後、小林容疑者が勤務するタクシー会社から同容疑者自筆の文書を取り寄せ、筆跡鑑定を実施。その結果、筆跡がほぼ一致する結果が得られたという。

 手紙と履歴書の文字を比較すると、「車」の縦棒が跳ね上がっている点や、平仮名の「な」の筆致、片仮名の「シ」や「ン」の跳ね上がり方にも類似性が見られる。

 一方小林容疑者については、事件発生の約二週間後に捜査員が容疑者宅を訪れたため、妻に事件への関与を疑われていたことも分かった。捜査本部は同容疑者が手紙で捜査のかく乱を図った疑いもあるとみて、さらに詳しく調べている。

 青森テレビには、犯行当日の昨年五月八日午後、犯人を名乗る男性から「火をつけるつもりはなかった。金さえもらえればよかった」「おれは自首しない」といった内容の電話もあったという。

 同社報道部は「手紙のコピーや全文については、公表は控えたい」としている。

※写真は青森テレビに送付された手紙の文字(下)=同社報道番組から撮影=と、小林容疑者が書いた履歴書の筆跡。「車」「な」「シ」「以」などに共通点がみられる


2002年3月6日(水)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件、オイル缶捜索を再開

 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部は六日午前、強盗殺人容疑などで逮捕した小林光弘容疑者(43)=浪岡町浪岡稲村=が、犯行に使用したオイル缶を捨てたと供述している浪岡町王余魚沢の県道青森浪岡線(通称・空港道路)わきにある山林内での捜索活動を再開した。

 捜査本部は午前十時二十分ごろから、捜索作業を開始。前日捜索を行った場所の周辺にまで範囲を広げ、捜査員ら約三十人がスコップなどで雪を掘り起こしていった。

 小林容疑者は犯行時、金属製のオイル缶(四リットル)にガソリンを詰め、武富士弘前支店に持ち込んだ。捜査本部の調べに対し、同容疑者は「現場から逃げる時にそのまま持ち帰り、次の日、雪捨て場のような所に捨てた」と供述。これに基づき、捜査本部は五日午後から、同山林での捜索を行ったが、同日は缶は発見されなかった。


2002年3月7日(木)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件容疑者「極刑は覚悟」

 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で、逮捕されたタクシー運転手小林光弘容疑者(43)=浪岡町浪岡稲村=が、事件について「自分のやったことは重大事件です。極刑は覚悟しています」と話していることが六日、明らかになった。同容疑者から反省や謝罪の言葉が聞かれたのは、逮捕後初めて。

 小林容疑者は「五人も死ぬとは思わなかった」「火を付けたのは逃げるためで、殺意はなかった」などとも供述しているという。同容疑者が一九七四年四月から千葉県の定時制高校に通った当時、ガソリンスタンドで働いていたこともある。

 小林容疑者は、弘前署内での拘置を求める青森地検弘前支部の準抗告を青森地裁が認めたことに基づき、同日午後、弘前拘置支所から同署へ身柄を移された。

 捜査本部によると、取り調べに対しては、普段と変わらないような態度で応じており、食事も毎回しっかり取っているという。


2002年3月7日(木)
-------------------------------------------------------------------------------- オイル缶見つからず 

 弘前署と県警の捜査本部は六日、浪岡町王余魚沢の県道青森浪岡線(通称・空港道路)脇の山林内で、小林光弘容疑者が犯行に使用した後に捨てたとされるオイル缶の捜索を再開したが発見できず、同日午後三時半、この日の捜索を打ち切った。小林容疑者は「林の中まで歩いて行き捨てた」と供述しており、捜査本部は七日以降、同容疑者を捜索に立ち会わせることも検討している。

 六日は、午前九時半から捜索開始。捜査員三十四人がスコップとスノーダンプなどを使い、約百八十平方メートルにわたり雪を掘り起こした。時折小雪が吹き付ける中、捜査員たちは黙々と捜索を続けたが見つからなかった。七日も同場所付近で捜索を行う。


2002年3月7日(木)
-------------------------------------------------------------------------------- 小林容疑者、階段上の新聞にも着火 

 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で、強盗殺人などの疑いで逮捕されたタクシー運転手小林光弘容疑者(43)が、支店内に放火して階段を駆け下りる際、事前に持ち込んで踊り場に置いていた新聞紙の束にも着火していたことが、弘前署と県警の捜査本部の調べで分かった。同容疑者は二度の放火について「追いかけられないよう、もう一度火をつけた」と供述している。また同容疑者は、昨年六月、青森テレビ(本社青森市)に犯人を名乗る手紙を届けたことも全面的に認めており、「捜査を惑わせたかった」と供述している。捜査本部はそれぞれ、犯行の計画性と捜査かく乱を裏付ける証拠とみて、調べを進めている。

 調べによると、小林容疑者は支店に押し入ってガソリンをカウンター付近にまき散らし、金を要求。応対した支店長に断られた際、新聞紙の紙片に百円ライターで着火、ガソリンをまいたカウンター目掛けて投げつけて放火、支店から直接一階に通じる階段を使い逃走した。

 その後の調べで、小林容疑者が、階段を駆け下りる際、二階踊り場にあった新聞紙の束にも着火していたことが新たに分かった。新聞の束は、階段の燃え方がひどくないにもかかわらず、不自然な燃えかすとして事件直後に発見・採取され、捜査本部が既に鑑定を終えている。

 小林容疑者は、新聞に着火した事実を認めており、「従業員が追いかけてこないよう、火をつけた」と供述。新聞の束は、同容疑者が事前に準備したもので、捜査本部は、支店に押し入る前に、踊り場に置いていたとみて、詳しく調べている。

 一方、青森テレビあての手紙は、犯人を名乗り、「自分は似顔絵に似ていない」「帽子やマスクをしていた」「車を使っていない」などと、目撃情報をことごとく否定、警察の捜査批判にも言及していた。同局は捜査本部にこの手紙を任意提出、筆跡鑑定で、小林容疑者の筆跡とほぼ断定された。掌紋も検出され、同容疑者のものと認められた。

 捜査本部の六日までの調べに対し、小林容疑者は、自ら手紙を書き上げ、青森テレビ通用口に置いたと自供。「テレビなどで事件の状況を知り、大変なことをしたと思った」と述べ「自分から捜査の目をはぐらかしたかった」と、捜査かく乱が狙いだったことを供述。事件発生当日の五月八日、同局に電話したことも認めている。

2002年3月7日(木)
-------------------------------------------------------------------------------- 犯行後、浪岡道の駅で買い物か

 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で、強盗殺人などの疑いで逮捕されたタクシー運転手・小林光弘容疑者(43)とみられる男性が事件後の昨年五月八日午後、浪岡町内にある道の駅「アップル・ヒル」の直売所に立ち寄り買い物をしていたことが関係者の証言で明らかになった。男性は一部が汚れた青色のつなぎのような服を着用しており、漬物を買いレジで精算した際には手が震えひどく動揺していた様子だったという。弘前署と県警の捜査本部は、聞き込みによってこの極めて重大な情報を入手、他の有力情報とともに「重要参考人」=小林容疑者=に到達した。捜査当局は裏付けを急いでいる。

 小林容疑者とみられる男性と事件当日、レジで同容疑者に対応した女性店員によると、この男性が訪れたのは事件のあった昨年五月八日(事件発生は午前十時四十八分)の午後四時前。漬物を手にレジで精算したが、その際、男性は小銭をなかなか取り出せないほど手が震えていた。また、もう一つ漬物を持ってレジに来た時には、どのポケットに財布をしまったか忘れていたほどで、強く印象に残っていた。短く交わした会話でも、声が異常に震えていたという。

 さらに、男性は青いつなぎのようなものを着ていた。左側半分が茶色っぽく汚れており、捜査本部はススの跡とみて捜査している。女性店員は男性と対応したこの時点では、まだ武富士事件そのものについて知らなかった。店員は本紙取材に「店に入ってきた時からあまりにも落ちつきがなく、何か変な感じがした。逮捕された(小林容疑者の)写真を見て、『やっぱり犯人だった』と思った」と語った。

 一方、小林容疑者が二〇〇〇年一月ごろから軽自動車の「サンバー・ディアス・クラシック」の給油などに利用していた浪岡町のガソリンスタンドには、事件後しばらくは本人ではなく関係者が給油に来ることが多かった。ただ、サンバー・ディアスを運転してガソリンスタンドに顔を見せていたときもあり、一度、訪れた時には「警察が来て、車の脇に立ったところを写真に撮られた」と話していたという。

 スタンドの従業員は、何人もの来店客から同じ話を聞いていたとし、「同じ車種だから、調べられたのではないか、と話した。似顔絵が公表されても小林さんだとは全然思わなかった」と話している。


2002年3月7日(木)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士小林容疑者、殺意は否定

 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で、逮捕、送検されたタクシー運転手小林光弘容疑者(43)に接見した弁護士三人が七日午前、弘前市役所内で会見し、同容疑者は殺意を否定し、犠牲者に謝罪し涙を流している−などの状況を明らかにした。その上で、強盗殺人罪ではなく強盗致死と強盗致傷罪として争うケース−との見解を示した。

 弁護士三人によると、小林容疑者は「ガソリンは脅かすために持っていった。最初から殺すつもりはなかった。逃げるしかなかったために、火をつけた」などと殺意を否定しているという。

 また、同容疑者は「報道で五人が死亡したことを聞き、がくぜんとした」と述べ、犠牲者や被害者への気持ちを尋ねると、涙を流し「犠牲者や自分の家族のことを思うと、眠れない」などと話しているという。

 一方、事件発生から一カ月後、青森テレビに犯人を名乗る手紙が届いていた件について、捜査本部が小林容疑者宅から押収した便せんに筆圧で手紙を書いた跡が残り、これが同テレビ局から任意提出された手紙と一致していたことを明らかにした。会見した弁護士三人は弘前市の当番弁護士で、県弁護士会が二年前から重大事件に対して設けた委員会派遣制度を適用した。四日から六日までそれぞれ一日ずつ小林容疑者に接見した。


2002年3月7日(木)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件、オイル缶見つかる

 武富士弘前支店強盗殺人・放火事件で、小林光弘容疑者(43)=浪岡町浪岡稲村=が犯行後に捨てたとされるオイル缶の捜索は、七日午前十時半ごろから浪岡町王余魚沢の県道青森浪岡線(通称・空港道路)脇にある山林で再開。同日昼までに供述通りオイル缶を発見した。県警と弘前署の捜査本部はこの缶を持ち帰って、犯行に使った缶と同じものかどうか詳しく調べる。

 同本部によると、六日午後に小林容疑者本人を捜索している山林に連行し、車の中から実際に現場を見せた上で、缶を捨てた場所についてさらに絞り込んだという。

 このため七日の捜索は、前日までの場所からさらに浪岡寄り約三百メートル付近で開始。県警と弘前署の捜査員約三十人が出動し、同日から新たに導入した金属探知機を使って空港道路に並行した約五百メートルの山林斜面を捜索していた。


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