世界各地の環境調査を行っている民間の地球政策研究所(本部ワシントン、レスター・ブラウン所長)は12日、「世界各地で氷河が予想以上に後退し、南極や北極の氷も急速に溶け始めている」と警告した。
まず、コロラド大学の調査では、米アラスカ州西部海岸およびカナダ北部の巨大な氷河の融解が加速。1990年代のデータを基にすると、これら氷河の融解による海面上昇は年間0.32ミリで、従来考えられていたよりも2倍以上の速さという。
また、人工衛星を使って氷河を調査している米地質調査所(USGS)によれば、南米のアンデス山脈やスイスのアルプス山脈などでも氷河の後退が目立つ。ヒマラヤ山脈のインド側では、ある氷河が98年の1年間に20メートルも後退。これは、それに先立つ5年間を合わせた量よりも大きかったという。
アフリカのキリマンジャロ山の氷河は89年から2000年までに33%も失われ、今後15年以内には消えてしまうと予想されている。