★阿修羅♪ ★阿修羅♪ |
|
次へ | 前へ |
富士山噴火の中で最大規模とされる江戸時代の「宝永の噴火」クラスが今起きると、人的損害を含めない経済的被害だけで2兆円を超えることが、中央防災会議(会長・小泉首相)の富士山ハザードマップ検討委員会の試算で分かった。首都圏に近いだけに、雲仙・普賢岳の約3千億円、有珠山の約300億円など過去の被害とは、けた違いとなる。富士山直下で低周波地震が多発していることを受けた取り組みで、噴火の被害額の試算は初めて。
宝永の噴火は、1707年の12月16日から16日間続いた。火山灰はふもとでは1メートル以上、西風で運ばれた江戸でも1〜2センチ積もった。
検討委は、同じ事態が現代に起きた場合の被害を、北海道の有珠山(00年)や長崎県の雲仙・普賢岳(90〜94年)など最近の例を参考に、関係者から聞き取り調査するなどして調べた。
その結果、(1)雨が降ると、降灰1センチ以上の地域では、電線のがいしから漏電し家庭や事業所の18%が停電(2)雨が降ると降灰が1日5ミリ以上の地域では車両がスリップし通行不能(3)降灰が5ミリ以上の地域では鉄道が運行を停止(4)0・5ミリ以上の地域では稲作に被害(5)降灰が少しでもある地域では航空機が運航不能−−などが判明した。
こうした条件下で経済的被害を計算すると、噴火の16日間に一度も雨が降らない場合は、農林業の直接被害を中心に約1兆1千億円になる。雨が3日降る平均的なケースでは、交通マヒや停電などによる産業への影響が大きく、灰の除去費用などを除いても被害は約2兆円に。他の火山による過去の被害に比べ巨額になる。噴火の規模が大きいうえ、首都圏は人口密度が高く、経済活動も活発なためだ。
試算結果について検討委の委員の一人は「被害額は仮定の置き方で変わってくるが、噴火中の降雨の有無で大きく違うことなどがはっきりし、対策を考える上で意味がある」と話している。(14:32)