「仲間よ、また一緒に仕事しよう」。日産自動車は13日、一度退社した社員の再雇用を今年4月に始めると発表した。過去最高益を更新するなど業績の回復がはっきりしてきたため、主に経営危機時代に辞めた優秀な元社員に再び門戸を開く。会社への社員の「忠誠心」を経営の基盤としてきた日本企業で、一度辞めた社員を雇い直すのは珍しい。
日産では、経営危機が深刻化して仏ルノーと資本提携に踏み切った90年代後半には、年に数百人の社員が将来への不安などから退社した。こうした社員から最近の日産の復活ぶりを見て「また働きたい」という問い合わせがよく来るという。日産では、割り増し退職金などをもらわずに自己都合で退社した社員を、数十人規模で再雇用する考えだ。
欧米では、米IBMなど元社員の再雇用に積極的な企業が多いが、日本企業で一度辞めた人を受け入れた例は少ない。人事担当の渡辺邦幸常務は「あの時期に辞めた優秀な社員にぜひ戻ってきて欲しい」とラブコールを送る。(21:17)