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不良債権処理の遅れが懸念されるなか、大手金融グループを中心に銀行株の下げが止まらない。ダイエー<8263>の経営支援策取りまとめ以降、経営再建途上ゼネコン同士の再編機運が盛り上がるなど、再三再四の問題先送りが嫌気されている格好だ。こうした最悪の環境下、銀行株に新たな売り要因が急浮上し、株式市場関係者があわて出している。JGB(日本国債)リスクがそれだ。この要因はまだ端緒にすぎないものの、予測が現実のものとなれば、銀行株は底なしの事態に追い込まれる。
●内閣支持率の急低下が引き金
今回JGBリスクが急浮上してきた背景には、田中真紀子前外相の更迭劇に端を発した小泉純一郎政権への支持率急低下がある。
債券市場では、支持率低下―自民守旧派の盛り返し―積極財政への政策転換―国債増発と連想された。4日は長期金利の指標である新発10年国債の利回りが一時昨年2月以来の高水準となる1.515%に急上昇(相場は急落)した。
長期金利の上昇は、「債券相場で銀行が巨額のロスを抱えるかもしれない、と最悪の事態を予感させた」(銀行系証券)わけで、株式市場を揺るがし、銀行株にも新たな暗雲が垂れ込めた。みずほホールディングス<8305>など4大金融グループ株をはじめ、銀行株の値下がりが激しかったのは、JGBリスクを警戒する売りが含まれていたとみていいだろう。
●70兆円の巨額ポートフォリオ
株価の長期低迷、貸し出し需要の減退という環境下で、邦銀は消去法的に債券市場に資金を振り向けてきた。昨年末段階では邦銀全体のJGB保有残は約70兆円、このうち大手行が半分以上を占めているものとみられる。
「債券保有残が巨額に上るといっても、大半はヘッジを講じてある」(大手銀行)というのは事実だろう。しかし急浮上した政局流動化懸念を全てカバーし切れている投資家は少ない。
加えて、年度末に向け債券の益出しを図り、手元流動性の確保を画策する個別金融機関もないわけではない。「過度に膨らんだバブル相場が、終局を迎えようとしている」(銀行系証券)との本音も債券市場関係者の間では見え隠れする。
現状、銀行株の下落は不良債権処理の先送り懸念を背景にした機関投資家の見切売り、これに乗じた投機筋の動きが主因だ。ただ、小泉首相の求心力急低下が懸念される中では、先に示したシナリオの連想が膨らみ、債券市場のボラティリティーが高まる可能性が大だ。個人投資家も、「JGBの動きに細心の注意を払う必要が出てきた」(米系投信ファンドマネージャー)と言えそうだ。
(相場 英雄)