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個人投資家向けの外貨建て債券販売が増えている。個人が日本国債格下げなどを受け資産分散に動いているほか、ペイオフ対策の一環として外債を買っている側面もあるようだ。
財務省がまとめた対外証券投資によると公社債(短期証券を除く)の売買状況は二〇〇〇年度(二〇〇〇年四月―二〇〇一年三月)は六兆五千二百二十九億円の買い越し、二〇〇一年度は十二月(十二月のみ約定ベース)までで九兆五千六百七十三億円の買い越しとなっている。
これに対し、個人投資家だけを抜き出した統計数字はないが、主な証券会社が二〇〇一年度に個人向けに販売した外債の金額は少なくとも、二〇〇〇年度に比べ二倍以上の伸びとなっている。全体よりも、個人の方が大幅に外債投資をのばしているようだ。
野村証券は直近でフランス社会保障基金(CADES)のユーロ建て債を販売している。発行額は三億八千万ユーロで個人投資家向けユーロ建て債としては過去最大で、順調に売れているようだ。このほかにもアジア開発銀行債、欧州投資銀行債などを販売しており、二〇〇一年度(二〇〇二年一月末まで)の販売額は五千八百二十五億円と、既に二〇〇〇年度の二千六百六億円を大きく上回っている。
つばさ証券でも二〇〇〇年度の外貨建て債券販売額は約三百二十七億円にとどまっていたが、二〇〇一年度は現時点で千七十三億円に急拡大している。
日興コーディアル証券の二〇〇一年度の個人向けに販売した外債(新発債)は、二〇〇〇年度の三倍強に増えている。
外債人気の理由は高い利回りと、円安。償還年限が五年以内と短いにもかかわらず、表面利率が三、四%台と、ゼロ金利政策の影響で利回りが低い国内の金融商品に比べてかなり高い。
大手証券によると、昨年夏に世銀債を購入した投資家は、「最近の円安によって現時点で二〇%台の利回りとなっているはず」という。ただ、投資家のなかには、一九九六年から九七年にかけての外債ブーム後の円高などで打撃を受けた投資家も含まれている。
このため、個人と直接、相対する営業現場からは「今回の外債ブームは為替の相場観によるものだけではない。日本国債の格下げなどで円だけの資産運用に不安を感じる個人が確実に増えている」(国内大手証券)との声が多く聞かれる。実際、個人投資家が購入しているのは、国内で販売される外貨建て債券の格付けがトリプルAと最上級のものが多い。
つばさ証券ではセミナーなどで個人投資家などに、日本国債の格下げ動向や減少する国内人口などを説明。自らの財産を守るために外貨建て資産への一部シフトを勧めると、「外貨建て資産に違和感のある中高年の投資家でも、外債を購入する」(営業企画部)という。
「個人がはっきりと認識しているかどうかは別として、広い意味で“日本売り”の一部になっている」(準大手証券)という指摘も出ている。
四日の債券市場は長期金利が一時、一・五一五%まで上昇するなど軟調だった。日本国債の格下げのうわさも流れており、外国人投資家のみならず、国内の個人投資家までも円資産での運用を見送る傾向は続きそうだ。