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「デフレと生きる」(4):小泉ボンドで構造改革と景気対策を-中谷氏 (ブルームバーグ)

投稿者 DC 日時 2002 年 1 月 28 日 01:51:37:

(回答先: 「デフレと生きる」(3):公的資金注入でも金融再生は不可能-深尾氏 (ブルームバーグ) 投稿者 DC 日時 2002 年 1 月 24 日 23:27:30)

「デフレと生きる」(4):小泉ボンドで構造改革と景気対策を-中谷氏 (ブルームバーグ)

2002年1月25日(金)7時31分

  東京 1月25日(ブルームバーグ):日本経済の持続可能性と、選択肢を問う「デフレと生きる」。4回目は、三和
総合研究所理事長、多摩大学学長、ソニー社外取締役と、多彩な顔を持つ中谷巌氏。「このままでは、今の豊かさを
維持するのは非常に難しい。構造改革と景気対策の二兎を追うため、最後のチャンスとして、特殊法人改革を公約した
償還5年、10兆円の小泉ボンドを発行し、消費税をいったんゼロ%にして需要を刺激すべきだ」と提案する。

  世界2位の国内総生産(GDP)や1人当たりGDPといった経済力、生活水準を、これからも維持できるかの
どうかが問われている。中谷氏は「長期的に、円安が加速する可能性がある。名目の賃金水準がどうなるか分からない
が、実質的な生活水準や購買力は割と早く下がっていくのではないか。今のような状態で、何とかGDPの水準を維持
できると思うのは、非常に楽観的だ。一刻も早く、右肩下がりの経済を克服する処方せんを出す必要がある」と訴え
る。

  日本の経常黒字は対GDP比で2%台半ばと、依然高水準を保っている。中谷氏は「それも、いずれ失われていく
だろう。貿易黒字だけでみると、既にかなり縮小している。普通のモノ作りだったら、中国に行くしかなくなってお
り、国内で設備投資する企業が1つもなくなっている。政府が構造改革や規制緩和をするのは当然だが、企業がよほ
ど構造改革をしていかないと、どうにもならない状態になりつつある」と危機感をあらわにする。

      最も重要なのは、企業の収益力を回復させること

  日本の上場企業の株主資本利益率(ROE)は1%程度。米国は20%程度。同じ金額を投資しても、米国だと
20%のリターンがあるが、日本は1%しかない。「グローバル化された市場で、こんな状況が永続するはずがない」
と中谷氏は断言する。「日本企業のROEと株価は、明らかに相関している。不良債権処理の遅れや、マクロ経済政策
のまずさが株価下落の原因だと言われるが、基本は企業収益だ。最も重要なのは、企業の収益力を回復させることだ」
と強調する。

  とはいえ、このままマクロ経済の悪化を放置すれば、企業や政府の構造改革の動きすら頓挫(とんざ)してしま
いかねない。かといって、カンフル剤を大盤振る舞いすることもできない。過去10年間で行った景気対策は総額146兆
円。景気は短期的に多少良くなったが、結局何も変わらなかった。そこで、中谷氏が「これが最後」と提案する政策
が、償還5年、10兆円の小泉ボンドの発行だ。

  普通の国債は期間10年で、借り換えを5回行う。今、国債を発行すると、償還は60年後。「発行を決めた政治家
は、そのころにはたいてい死んでいる。つまり、今は景気の良いことを言っていても、自分が死んだ後はもう知らな
い、という無責任な態度を生みやすい。借り換えなしで、償還を5年に限定することで、政治家は責任を持って償還
しなければならなくなる」と中谷氏は言う。

     小泉ボンドは特殊法人改革と消費刺激の一石二鳥

  ただ、5年後に10兆円を償還するのは至難の業だ。そこで、特殊法人の民営化、売却を通じて財源をねん出する
ことを公約したうえで、小泉ボンドを発行する、というのが中谷氏の発想だ。政府は現在、特殊法人に5兆3000億円の
国費を投入しているが、これを3兆3000億円に減らせば、1年で2兆円、5年で10兆円ねん出できる。「ちょっと難し
いと思われるぐらいの金額だが、これぐらいの覚悟でやらないと、効率的な小さな政府は生み出せない」。

  構造改革を先送りし、国債発行を増やして従来型の公共投資をやれば、長期金利の上昇は必至だ。「あくまで5年
間という期限を区切って、責任を持ってやる。財政規律を考えたうえでの決断であり、構造改革を今以上のスピード
でやるというのであれば、国債市場に悪影響を与えることはないだろう」と中谷氏は予想する。問題は、小泉ボンド
を発行して得た資金で、何をやるかだ。

  「7−9月のGDPをみても、日本のデフレを作り出しているのは、圧倒的に消費の低迷だ。消費を引き上げるこ
としか、デフレからの脱却方法はない。やや奇策だが、消費税をいったんゼロ%にする。それからたとえば、半年ごと
に2%、4%、5%に戻す。それ以降は、小泉内閣が始めた長期的な税制改革のなかで考えればよい」と中谷氏は提案
する。レーガン政権下で経済諮問委員会委員長を務めたフェルドスタイン・ハーバード大教授も同様の提案をしてい
る。

        日銀が泥まみれになるのは、将来的に危険

  中谷氏は「何百人もの集会で、消費税がゼロ%になったら消費を増やすかと聞いたら、半分くらいの人が手を挙
げた。大きな買い物になればなるほど、5%は大きい。住宅や家具、自動車などには、間違いなく消費喚起効果がある。
日銀の量的緩和で、マネーの観点からは十分手当てがついており、実需として消費者が動き出せば、デフレは必ず克
服できる」とみる。

  日銀はインフレターゲットを導入し、社債や外債を購入してでもデフレを止めるべきだ、という論調も多い。しか
し、中谷氏は「既得権もあって、財政など構造改革がなかなか進まないとき、日本の風土としては決まって日銀に矛
先が向かう。情勢次第で、今議論されているようなことを全部否定するわけではないが、そこに行く前にもっとやる
べきことがあるのではないか」と訴える。

  中谷氏は「日銀が極端なことをやって泥まみれになるのは、将来的には非常に危ない。金融政策だけでインフレに
転換しようとすると、いくらやってもデフレを脱却できないということで、過大なことをやってしまい、気付いたと
きには燃え盛ってハイパーインフレになるというシナリオしか、私には描けない。もっと本質的なところで構造改革を
やらないと、日本再生は難しい」と言う。

           この国には底力がある

  たとえ小泉ボンドで短期的に景気が回復しても、膨大な財政赤字と不良債権は残ったまま。結局はインフレか、
円安による生活水準引き下げしか、選択はないのではないか。中谷氏は「長期的にこの国には底力がある。ゴーン氏が
日産に来たとき、大変な反対があったが、実際やってみると『日産のモノ作りの現場はすごい。同じことをルノーで
やろうとしても、できなかっただろう。それくらい底力がある』とゴーン氏本人が言っていた。私もそう思う」と断言
する。

  中谷氏は続ける。「小泉ボンドを発行し、構造改革と景気対策を同時並行して進め、一方でグローバル競争に直
面する日本企業は、早く企業統治を回復し、収益を上げられる体質に変えていく。これが最後のチャンスだ。企業のト
ップが大胆に改革を実行していくことが、21世紀最初の10年、日本経済がしっかりした形で動いていけるかどうかを
決定するのではないか」−−。

  来週以降、連載「デフレと生きる」は原則、週1回送信いたします。バックナンバーは「日銀関係の日本語企画
記事」{TNI KIKAKU JBOJ JBN}でご覧になれます。

▽新連載開始「問題提起:日本経済は持続可能か、迫られる選択」(1月22日)▽一勧総研・真壁昭夫氏「生産性上
昇なければ長期低迷は必至」(1月23日)▽慶大教授・深尾光洋氏「公的資金注入でも金融再生は不可能」(1月24
日)

東京   日高 正裕   Masahiro Hidaka





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