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4月からのペイオフ解禁を前に、早くも預金者による金融機関の選別が始まっている。破たんすると元本1000万円までと利息しか保護されず、経営体力の弱い第二地銀や信用組合から都市銀行など大手行に預金がシフトしている。定期預金の普通預金への解約も顕著で、信組破たんは連日相次ぎ、当の大手行も不良債権の処理にあえぐ。弱小の金融機関がスタートラインに立てるかどうか、「勝ち組」と「負け組」の淘汰が一気に加速化、ペイオフ危機は事実上スタートした。
日銀によると、第二地銀の預金量は昨年11月末現在、前年同期比で9071億円(1・6%)減少、信組も前年同期比で1兆8026億円(9・5%)も減っている。
都銀全体の預金量が昨年11月末現在、216兆8775億円と、前年同期比で2・8%増加した。第一地銀、信金はそれぞれ2904億円(0・2%)、1兆4819億円(1・4%)増えたのと対照的だった。
また、定期預金を解約し普通預金へと移し替える流れも顕著で、昨年11月末時点で、国内銀行全体の普通預金が前年同期比で25兆2639億円(22・3%)も増加したのに対し、定期預金は21兆4084億円(7・3%)減少している。
預金シフトが起こっている背景には、ペイオフ解禁を前に、預金者が“虎の子”の預金を守りに入っている事情がある。
BNPパリバ証券審査部長・小田切尚登氏は「個人や民間企業、地方自治体などが、経営体力の弱い第一地銀、第二地銀、信組から、みずほフィナンシャルグループ、UFJ銀行など4大金融グループや郵便貯金などに預金を移し替えている」と分析している。
金融当局には金融ビッグバンのなかで「地銀は1県2行」との考えがあるように、わが国には金融機関が多過ぎる。「第一地銀、第二地銀でも県内下位行の預金流出が激しい」(地銀関係者)とする声もある。
「流出続出」で恐れられるのは、経営体力低下とともに、預金者の間に信用不安が広がり、「取り付け騒ぎ」に発展することだ。
小田切氏は「預金流出による資金減は高が知れているが、信用にダメージを受け、預金者が取り付け騒ぎを起こすと致命傷になる」と指摘する。
大和証券エクイティ部長・西野俊介氏も「いったんうわさが広がれば、健全行であっても預金の取り付けなどの危険にさらされる恐れがある。金融庁は風説の流布防止に神経質になっているが…」と話す。
ペイオフ解禁とは、金融機関が破たんした場合、1預金者あたり元本1000万円とその利息分しか預金が保護されない−というものだ。それを超える部分についても、金融機関の支払い能力に応じて払い戻しが行われるのだが、「全額戻ってくる保証はない」(銀行関係者)という。
1000万円以下しか預金がない場合でも、破たん銀行では「名寄せ」(全支店の口座を預金者ごとにまとめる作業)が行われ、これが終わるまでは預金口座が一時凍結される。60万円までの仮払いしか認められなくなり、当面の資金繰りに窮する事態もありうる。
金融庁では、ペイオフ解禁後の破たんはなるべく避けたい意向で、預金が全額保護される3月末までに「経営不振行」の再編・淘汰を進めたい考えだ。
融資内容の検査を進め、引当金増などを求めた結果、昨年1年間で9信金、37信組が破たんしており、年明け以降もその流れは止まっていない。
第二地銀の石川銀が破たん、福島銀や中部銀に早期是正措置が発動されるなど、“不健全行”の整理は着々と進んでいる。
ペイオフ解禁はまず、定期預金や定期積金、金融債などが対象となる。普通預金、当座預金などは1年先となるため、様子を見ようと、定期預金から普通預金に資金移動をさせる動きがあるが、あくまでも当面の措置にすぎない。
解禁後の自己防衛策について、小田切氏は「リスク回避には、預金の分散投資が基本。預金先を分け、株や国債など運用先も分けること。株価、格付けなどに注意を払い、預金・運用先を判断することも必要だ」とアドバイスする。
住民の税金を預かる地方自治体も、定期預金の一部を国債に振り替えるなど対策に躍起で、日本列島では本腰でペイオフ対策が始まっている。
中小金融機関から大手銀行へと進む預金流出。しかし“避難先”であるはずの大手行も、多額の不良債権を抱え、その処理にあえいでいる状態だ。「大手銀だって安全という保証はない」(金融アナリスト)時代に突入したのである。
西野氏も「規模の大小ではない。大手行でも信用リスクが高いとみなされるところも出てくるだろう。そうなれば一気に預金者の不安が高まる危険性もある」と不気味な警告を発する。