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年の瀬を迎え、株式市場では2002年相場の展望が始まっている。毎年恒例の金融機関やシンクタンクの経済見通しが次々に発表されているが、日本経済の行方に否定的な見解が次々に出されている。とくに景気回復の先導役として期待が掛かるハイテク企業については、「あと4、5年は低迷する」というショッキングな見方も現れ、景気底入れの時期すらつかめない。景気浮上への糸口が見出せない日本経済、そしてハイテク企業はまさに袋小路に迷い込んだといえる。
●4兆円を失ったハイテク企業
「新製品強化、国際競争力の向上、そしてさらなるリストラを推進しなければ、日本のハイテク企業の回復にはあと4、5年はかかるだろう」―。野村證券金融研究所の梅津政信副所長はハイテク企業の行く末をこう悲観する。
同研究所が発表した2001年、2002年度の企業収益見通しによると、金融を除く主要企業(NOMURA400)の2001年度の売上高は前年同期比で0.8%減収、37.2%の大幅経常減益を予想。この減益幅はなんと1975年度の第1次オイルショック(33.8%減)を超える水準というから、日本企業がどれほど痛み切っているかがわかる。
この減益に大いに「貢献」してしまったのがハイテク企業。2000年度はITブームの順風を受け、経常利益で3兆6000億円を稼ぎ出したこのセクターだが、今期は4000億円の赤字に転落する見込みで、わずか1年で実に4兆円を失ったことになる。
●台頭する悲観論
ハイテク不振を代表に、ミクロ経済の不振が際立っている日本経済。当然のことながら、マクロ経済も泥沼だ。主要な金融機関やシンクタンク28社がまとめた2002年度の経済見通しでも厳しい見方が大半だ。実質GDP(国内総生産)成長率では三和総合研究所の0.4%増、大和総研の0.1%増を除き、軒並みマイナス成長を予測。とくに第一勧銀総合研究所がマイナス1.4%、大和銀総合研究所がマイナス1.3%と大幅悪化を打ち出すなど、強気、弱気のバラツキが大きいものの、平均ではマイナス0.7%成長に。依然危機意識が欠如している政府が示した「実質GDPは0%成長に」という希望的観測とは比べものにならない程、冷静な見方を崩さない。
●頼みの綱は米国のみ?
ミクロ、マクロとも非常に厳しい状況が続く日本経済だが、カンフル剤は見当たらない。バブル経済後「財政拡大、金融収縮」といった誤った政策を講じてきた政府もようやく路線を変更。90年代、米国が経済回復に向け取り組んだ「財政緊縮、金融緩和」という教科書通りの施策に慌てて転換したものの、肝心の金融政策がまったく機能不全に陥っている。不況期に財政を引き締める場合には、金融緩和策を駆使し上手に資金の循環をつくり出す必要があるが、今回のデフレは想像を絶する水準に陥っており、金融の超低金利誘導はもはや通用しない。日銀が量的緩和の追加策を打ち出した翌日(12月20日)でさえ、株式市場はまったく反応せず、逆に平均株価は下落したほどだ。「最後の望みは米経済の早期回復」(大手電機首脳)に尽きるといえ、日本は外部依存型の経済から依然脱却できない。日本経済、そしてハイテク企業の憂鬱(うつ)は続く。
(井原一樹 市川徹)