投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 04 日 10:50:32:
竹中経済財政相は4日の閣議に2001年度年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。日本経済低迷の要因は金融機関が抱える不良債権にあると指摘し、その抜本的な解決が潜在成長力を高めると提言した。
また、「短期的な景気の下支えを目的とした財政政策は、持続的成長につながらない」として、公共投資の波及効果に否定的な見解を示すとともに、財政再建に積極的に取り組む必要性を訴えている。
さらに、物価下落が続く現在のデフレが「経済に悪影響を与える」とした上で、一定の物価上昇率を目標として金融政策を運営する「インフレ目標」と同じ意味を持つ「物価安定数値目標」の導入など、日銀に対して一層の金融緩和を求めている。
経済財政白書は、旧経済企画庁が昨年まで発行していた「経済白書」の改訂版として内閣府が初めて作成した。従来の景気分析に加えて、今年1月に発足した経済財政諮問会議での政策論議も反映させた。「改革なくして成長なし」という副題が付いており、小泉内閣が推進する構造改革に「分析的な基礎付け」を与えるのが狙いだ。
白書では、景気が「2000年後半から2001年初めにかけて後退局面に入った可能性が高い」と指摘。先行きについては「2002年後半にかけて回復への動きが見られる」との見通しを示したが、当面の回復力は弱いと見ており、米同時テロの影響などによって回復時期が先送りされる可能性を示唆した。
不良債権の問題点では、銀行の収益が圧迫されて金融仲介機能が低下していることや、金融システムへの信頼が低下している点などを挙げた。対応策としては、銀行が収益基盤を確立して不良債権の抜本的な処理に乗り出すとともに、規制緩和などによって経済を活性化させ、不良債権の新規発生を防ぐことが重要だとしている。
財政赤字については、景気の変動に伴って増減する「循環的赤字」のほかに、経済対策や社会保障費の増加などに伴う「構造的赤字」が対国内総生産(GDP)6%に達しているという試算を紹介し、「現在の状態が続けば、将来的に我が国財政は破たんする」と警告した。その上で、プライマリー・バランス(国債発行による収入と国債の元利払いを除いた基礎的収支)の黒字化に向けた財政再建の必要性を強調している。
(12月4日10:28)