投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 27 日 17:49:49:
経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)が初めて策定する「中期経済財政計画(概要)」(02〜06年度)と「来年度予算編成の基本方針」の最終案の全容が27日、明らかになった。中期計画は、不良債権の最終処理をはじめ徹底した構造改革で「04年度以降は1・5%程度の実質成長率が実現する」との見通しを明記。財政赤字を解消するプライマリーバランス(国債関係費を除く歳出・歳入の収支)の均衡については「2010年代初頭には黒字化する」との目標を示している。
諮問会議は両案を同日午後の会合で提示、30日の会合で中期計画については「概要」を、基本方針は「最終案」を取りまとめる。
中期計画は02〜06年度の構造改革の道筋を示すもので、財政構造改革の推進によって現在は国内総生産(GDP)比で4%程度のプライマリーバランスの赤字が低下すると想定。その後も順調に経済成長が継続すれば、数年後にプライマリーバランスが黒字化し、GDP比130%近い現在の「政府債務残高が改善する」と見込んでいる。
さらに、06年度までに現在はGDP比で5%強の公共投資を3%台後半に引き下げることを目標に掲げ、計画期間中は「歳出規模を現在の水準を上回らない程度とする」と事実上、歳出総額にキャップ(上限)制を設ける方針を示した。ただ、社会保障制度や地方財政の見直しは、今後の議論を踏まえて検討するとして、数値目標は見送った。
今後の経済情勢については、不良債権処理や規制改革などを実行する2年程度の集中調整期間は「ゼロ近い成長を甘受せざるを得ない」との姿勢を示し、改革が進展しない場合は「2010年度まで平均0・5%程度の低い水準にとどまる」と警告した。
サービス産業と貿易財産業が「新たな成長エンジン」となることに期待を表明し、構造改革とデフレ克服に向けた適切な金融政策が継続されれば、計画期間後半の04年度以降は実質1・5%、名目2・5%程度の成長が実現すると見通している。
一方、来年度予算編成の基本方針では「国債発行額を30兆円以下に抑制する」との方針を明示。焦点となっている道路特定財源について「自動車重量税の一般財源化」などを検討する考えを示している。
◆中期経済財政計画原案の骨子◆
・02〜06年度の間、歳出規模は現在の水準を上回らない
・今後2年間はゼロ成長を甘受
・日本経済の新たな成長のエンジンはサービス産業と貿易財産業
・2010年代初頭にプライマリーバランス黒字化
・経済が計画の想定から大きく外れる場合には財政健全化のペース見直し
・04年度以降、経済成長率は実質1・5%、名目2・5%
・不良債権を最終処理し、3年後に正常化
・06年度までに公共投資のGDP比率を現在の5%強から3%台後半に引き下げ