「金融再生最前線」〜露呈した三井住友のアキレス腱、どうなる最終判断<下>[PAXNet] 2001/11/01 11:06:00

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 01 日 11:43:55:

回答先: 「金融再生最前線」〜露呈した三井住友のアキレス腱、どうなる最終判断<上> 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 25 日 19:55:45:

大手銀行の赤字決算転落が相次ぐ9月中間期。大手グループの中で三井住友銀行<8318>だけが黒字を確保する見通しと発表した。合併によって、一説には何兆円という単位の差益を手にした同行だが、これも前期の多額の不良債権処理などで大半を使い果たしている。9月中間期の時点でも、保有株の含み損の規模からして4000億円余の剰余金の半分以上が失われる計算で、これに不良債権処理の上積みなどを加えれば「本来、大赤字でもおかしくない」と同行関係者は顔を歪める。強引とも言える“黒字維持”は一体何を意味するのか。
それは来年3月期の本決算までに想定される事態が、あまりにも不確定だからだ。現時点でギリギリの決算に踏み切れば、不測の事態に対応できないのではないか、といった不安がある。中央三井信託銀行<8408>と三井生命が危機的な状況になり、支援を求められただけで三井住友銀行の経営を揺るがしかねない。銀行自体の格付け引き下げも懸念される。旧財閥の垣根を越え、世紀の大合併とまでいわれた“大銀行”が、ここに来てその旧財閥の垣根で苦しんでいる。グループを結束するための「弱さ」がそのまま大きな弱点になろうとしている。

●メンツを潰された金融庁の策謀

しかし、金融庁がこのままあきらめるはずは無い。これまでいじめにも似た策謀で多くの銀行を追いこんで来たといわれる金融庁の次ぎの一手は、特別検査になるとの見通しが強い。三井住友銀行の抱える問題企業は、他の金融グループと比べても多い。大手流通のD、ゼネコンのK、F、M、要注意先債権ではあるが問題企業として取り沙汰されている企業ばかりだ。この問題企業の数々が金融庁の特別検査の対象となってしまう。最近、永田町ではある噂が囁かれている。一時、経営破綻の可能性が最も高いと言われ続けてきた大手ゼネコンのH社を、ゼネコン最大手のある社が丸飲みしても良いと与党幹部に漏らしたというのだ。

●不良債権企業潰しが銀行の息の根も止める

取って代わるように不名誉な破綻危険度ナンバー1に躍り出たのが、旧さくら銀行がメインのF社だ。このF社、現在、金融庁の通常の検査を受けているUFJ<8307>に対しても、検査官の厳しい指摘が飛んでいるという。大手流通のD社なども同様だ。そうなれば、三井住友銀行に対して、金融庁は直前のUFJの検査結果に基づいて、このゼネコンのF社を筆頭に、債権者区分の見直しを強く求めてくるのは必至。しかも、金融庁はこの特別検査を通じて、三井住友銀行がメインバンクとなっている大手企業を破綻に追い込もうとしているという。
金融庁は不良債権処理の大幅な積み増しを求める事などで、三井住友銀行の体力を消耗させ、マーケットからのプレッシャーに曝(さら)そうとしている。三井住友銀行の査定はもともと甘いといわれ、この特別検査で不良債権に対する引当金の大幅な上積みを求められれば、剰余金は枯渇し来年3月期決算では配当が難しくなる。そればかりか、資本を損なってまでも、処理に回さなければならない事態すら想定される。それがゼネコンなのか、それとも流通なのか。いずれにせよ、そうなれば来年3月期の決算は、黒字決算というわけにはいかない。危機を確実視する経営陣が、経営責任を問われる事態を何としても避けたいという狙いが今9月期中間決算の黒字確保と直結している。

●国有化回避の一策

10月26日、突然、中央三井信託銀行が持ち株会社を活用した事業基盤の強化策を発表した。金融庁のトップは、その前日の夜、口を揃えて「中央三井信託の件で明日はめでたい事がある」と金融庁担当の記者に囁いた。その顔は、どこかしら安堵の表情だったという。頭痛のタネだった中央三井信託銀行の処理が何とか動き出す事になるのだから、それも頷ける。ところが、マスコミ各社が取材攻勢をかける中、この持ち株会社構想に対して、三井住友銀行だけでなく当の中央三井信託銀行も、口を固く閉ざし情報を漏らすものもほとんど居なかった。この対照的な動きが、まさに今回の一策が当局主導で仕組まれた事を物語っている。
それだけでなく、三井住友グループ内の再編が難航していることを曝す事になったのだ。加えて、同時に発表された今年9月期決算見込みでは、290億円の赤字に修正、株安と不良債権処理の直撃を受け瀕死の状態である事も明らかになる。このままでは、配当減資である剰余金が枯渇し、来年3月期の決算で国が持つ優先株にも配当ができず、国の議決権が生じてしまう。持ち株会社構想は、国有化を何としても回避するために飛びついた窮余の策なのだ。配当減資を確保するためだけの持ち株会社構想、銀行が掲げる顧客基盤の拡大などお題目に過ぎない。しかし、金融庁は、最終的にこの空虚な論を認めざるを得なかった。また、同時に発表された増資の計画は、旧三井の落日を象徴している。三井系企業が増資を引き受ける事で、天下の三井は、自ら血を流してでも住友に中央三井信託銀行を救ってもらうしかない、住友の軍門に下るしかないと腹をくくったものと言える。

●西川頭取の決断はいかに

三井住友銀行の西川頭取は、強面で知られた日本の金融界のリーダーだ。瀕死の状態にある日本の金融界を強力なリーダーシップで引っ張っていくはずの西川頭取が、どうしてここまで追いこまれているのか。減らない不良債権によるものだけではない。三井と住友という強力過ぎるグループを統率していけるのかどうか・・・の一点にかかっていると言える。
最大のヤマはやはり金融当局だ。グループの最終形を早急に描く事、それは任期を無傷で乗り切りたい金融当局のトップらの意に沿う事にもなる。もし、これが描き切れないうちは、金融庁の執拗(よう)な攻撃を受ける事になるであろう。キレ者の西川頭取がどの時点でどういった最終判断を下すのか―中央三井信託銀行と三井生命・・・グループのアキレス腱は存続か、分割か、あるいは最悪の事態に至るのか。来年3月期決算までには結論が出ることになろう。(東山 恵)
 
・三井住友銀行
http://www.smbc.co.jp/
・「金融再生最前線」〜露呈した三井住友のアキレス腱、どうなる最終判断・上
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200110/25/20011025122517_40.shtml

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