投稿者 SANETOMI 日時 2001 年 10 月 04 日 18:21:26:
回答先: Re: 緊急超法規提言 斎藤精一郎(立教大学教授) 不良債権処理で資本主義の一時停止を その2(週刊新潮2001年10月11日号) 投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 04 日 18:18:47:
われわれは視界を遮る不良債権の山を一掃すべく、蛮勇を振るう。政府は「非常事態宣言」を発し、国家管理のもとで企業の過大債務およ
ぴ銀行の問題債権の清算のために、「経済安定本部」を創設し、そこで新しい仕組みを策定する。それは企業の過大債務について「債券化」
と「株式化」を行い、約30兆円の日銀資金の導入によって資本再注入を受ける銀行ならびに「新不良債権処理機構」が一時的にそれら債券
と株式を買い取る仕組みだ。
抽象的で少々、分かりにくいかもしれない。あまりに突拍子で、笑ってしまう方もいるかもしれない。
さらに説明を加えよう。
国民よ、目覚めよ
具体的な社名を挙げると差し障りがあるので、ここは仮にA社としよう。
A社には、1000億円の有利子負債がある。 その負担のため、低迷する景気の中で、企業としての新機軸が打ち出せないばかりか、
本来の業務にも大きな支障となっている。 このままでは倒産を待つばかりだ。
このA社の有利子負債のうちの7割、すなわち700億円をずばり、政府と銀行が買い取るのである。
そんなバカな、という人も少なくあるまい。だが、もう少し聞いて欲しい。
まずA社に700億円の社債を発行させる。それを銀行が、例えば約3割引きの500億円で買い取る。銀行がこの結果、資本不足に陥れば、
政府が創設した「新不良債権処理機構」が資本注入を行なうのだ。
資金は日銀が拠出する。日銀が政府の発行する国債を買い、その資金を捻出するのである。残りの不良債権300億円分は、その分の株式
をA社が発行して「新不良債権処理機構」が収得する。財務内容が好転したA社の株式は、その後、一般の企業や投資家が購入できる。
こうして、一つ一つの企業の不良債権を処理していくのだ。いずれにせよ日銀が捻出する総額は、おそらく30兆円をくだらない。半端な数字で
はない。私が「資本主義の一時停止」という所以がそこにある。
実は、これはかつて累積債務国問題の解決にあたって提案された米国のプレデイ構想を下敷きとするプランである。これは事実上、企業への
日銀資金の注入だから、資本主義にあってはタブーとされるものだ。
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だが、日銀法第三八条には、こんな条文がある。
〈内閣総理大臣及び財務大臣は、(中略)信用秩序の維持に重大な支障が生じるおそれがあると認めるとき、(中略)日本銀行に対し、当該協
議に係る金融機関への資金の貸し付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことを要請することができる〉
つまり、政府が決断さえすれば、非常事態では例外的に許容される「超法規的措置」が存在するのである。30年代の米国のルーズベルト革
命や敗戦後のマッカーサー革命では、事実これらの手法は試みられている。
今回のテロで世界経済は「非常事態」に突入しつつある。日本が世界不況の深刻化に「歯止め」をかける重大な国際的責務を持つことは言う
までもない。「10年の停滞」で八方塞がりの日本経済がその役割を果たすには、まさに「超法規的措置」が必要な非常事態なのである。
平和時の手法に固執することは非常時の現在、極めて危険だ。だからこそ、政府はここで大胆に「資本主義の一時停止」を宣言し、国家管理
のもとで、まず構造改革の「入り口」の不良債権の根雪の処理に着手するしかないのである。
一時停止は、例えば6年間でいい。それだけあれば、不良債権は一掃されるはずだ。
日本経済の破滅、さらには世界大不況を回避するには、これだけの非常措置を請じなければならないことを認識すべきだ。なお、詳細は、近著
『日本経済 非常事態宣言』(日本経済新開社刊)を参照いただきたい。
決して、世界大不況を回避するための王道はない。そして、政治家はそのことを国民に説明しなければならない。
目覚めよ! 政治家、そして国民よ。