投稿者 経済トレンドレポート主幹 浅井 隆 日時 2001 年 9 月 19 日 19:55:23:
回答先: 天文学的な国家の借金 800兆 投稿者 経済トレンドレポート主幹 浅井 隆 日時 2001 年 9 月 19 日 19:52:40:
http://www.dainikaientai.co.jp/news/tr106.html
私たちの将来を襲う重大な出来事とは!?(中)−2005年、国家破産−
回は、日本国全体(国、地方自治体、郵貯等を全て含む)の借金の総額が800兆円
という天文学的数字になるという話をしたが、一般国民には額が大きすぎて逆にピン
とこない。そこで1万円札で積み上げると、どの位の高さになるか計算してみよう。
まず、1000万円の札束で8センチ強の厚さとなる。とすると、たったの1兆円で
その10万倍だから8000数百メートルの厚みとなり、ちょうど世界一高いエベレ
スト山(チョモランマ)と同じ高さになる。現在の日本国の借金の総額は800兆円
でその800倍となり、まさに宇宙空間に飛び出してしまうことになる。高さにして
1万円札の束で7000キロメートルを超えることになる。想像を絶するとはこのこ
とだ。まさに天文学的数字である。日本国の財政状況は、まさに戦前のドイツに近づ
きつつあるのだ。
れとある物を比べると驚きは恐怖にまで変貌する。それは日本人の持っている個人金
融資産の総額だ。現在、世界一、二位の金持ち大国といわれるこの日本で個人金融資
産は全て合わせて1300兆円ある。ところが、個人の借金(ローン)も400兆円
あるので、それを差し引くと実質の個人金融資産は900兆円ということになる。つ
まり、国および地方自治体が持っている借金と個人金融資産とはトントンなのだ。
財投
かも、公的部門(そのほとんどが国なのでこれ以降は国という言い方をする)の借金
はますます増えている状況なので、そう遠くない将来1000兆円に達するといわれ
ている。はっきりいって、GDPの2倍(=1000兆円)が国家が耐えられる限界
だといわれている。しかも、数年以内にその信じがたい状況がやってくる。かつてレ
ポートでもお知らせした通り、対日研究の第一人者で元米国防総省スタッフのデビッ
ド・アッシャー氏は日経新聞のインタビューに応じて「財投は数年以内に破綻する可
能性が高い。財投は民間銀行の持っている不良債権を超える100兆円の不良債権を
保有している」と警告している。日本人以上に日本のことを研究している人物の証言
だけに、意味は重大だ。
のアッシャー氏がその後、日本国全体の財政破綻の問題にも驚きの目を向け、極秘に
訪日していたが、その目的は日本の政治家、官僚と会って「日本が国家破産しても、
在日米軍への思いやり予算を本当に払ってくれるかどうか」を確かめるためだったと
いわれる。そして日本の官僚が日本は破産しないと主張し続けたのに対し、「このま
ま国債を発行し続ければ、そう遠くない将来長期金利が必ず上がる日がやってくる。
そうなれば、国が払う国債の利払いもあっという間に増えてしまう。そのことを日本
の官僚は全く計算に入れていない。彼らの言うことは信じられない」と喝破している。
まさにその通りであろう。高名なジャーナリスト大塚英樹氏も「各省庁の出す数字は
全くの粉飾決算でひどいものだ」と証言している。これはまさにどこかで見た光景で
はないだろうか。太平洋戦争における大本営発表と同じ構図だ。
はり、数字だけは甘く見てはいけない。800兆円を超える気の遠くなるような額の
借金を抱え、しかもそれが年々増えているのだ。国だから破産しないという理屈はも
う通用しない。それを証拠づける重大な“結論”が発表された。 ほとんどの日本人
はその記事が世に出たことすら知らなかった。それもそのはずで、一部の金融のプロ
のみが読む専門新聞である日経金融新聞にベタ記事で掲載されたのだ。まさに「世の
中の全ての大事件はまず新聞のベタ記事から始まる」の格言の通りである。それは平
成12年5月31日付の日経金融新聞記事である。図3に掲載したのでじっくり眺め
て欲しい。驚くべきことがいくつも書かれている。
ず、「計量経済学を使って、財政破綻の可能性を実証したのは初めて」という点だ。
これほど重大な(つまり日本国民全員の運命がかかっている)問題にもかかわらず、
国自身も学者もこれまで科学的に財政の将来をしっかりシミュレーションしていなか
ったというのは恐れ入る。浅井自身は独特のカンと、数学の素養(中学時代から数学
は得意で、大学でも2年生まで微積分などの高等数学を履修し試験にも合格していた)
から、すでに数年前から日本の将来の国家破産の可能性を見抜いていたが、まともな
評論家や経済学者がそれに気づいていない、あるいはまともな研究をしていないとす
れば、それは一体どういうことなのか。
量経済学を使って実証分析したのは、慶応大学の土居専任講師で「従来型の財政運営
を続ければ、財政赤字は拡大し続け、95%の確率で税金では返済できなくなる」と
結論づけている。学者が論文に95%と書くというのはほぼ100%といってよいで
あろう。しかも「税金では返済できなくなる」という意味は、ハイパーインフレでチ
ャラにするか、徳政令をやって国債と通貨の価値を下げるしかないことを暗示してい
る。では、なぜ「税金では返済できなくなる」のか!?
その1番目の理由は、現在の国の借金の増え方の凄まじさである。2番目の理由は、
ある時期から財政破綻を避けるために税率を上げようとしても、税収はそれほど増え
ないからである。どういうことかというと、税率と税収の間には古代ローマ以来ある
相関関係が存在するのだ。国家の税収を増やそうと役人が税率を引き上げていくと、
あるポイントを境に税収はむしろ下がっていくのである。例えば税率30%であった
ものを40%に引き上げたとしよう。税収も増加して役人たちもしてやったりと大喜
びである。ところが図に乗って、さらに60%に引き上げたとする。国民はこれでは
たまらない。収入の40%しか手元に残らないのでは、生きていけない。税率が40
%ならばなんとか我慢もできるが、60%は「冗談ではない」とほとんどの国民が思
い始めたらどうなるか。多くの人間が収入を少なく申告したり、隠したりし始める。
だから、税率をある程度以上に上げると必ず税収は減るのだ。あるいは政権が交代す
るしかない。したがって国家財政が極度に悪化すると税金では救えなくなるのだ。と
なると、最後の奥の手は国債を大量発行して国家の銀行である日銀がそれを直接引き
受けるしかなくなるのである。しかし、それは先進国では絶対やってはいけない「禁
じ手」とさえいわれている。
ぜか?それをやった全ての国がタイムラグをおいて必ず凄まじいハイパーインフレに
襲われているからだ。したがってこの論文の意味しているところは極めて重大だ。私
たちは今後、自らの財産防衛、企業防衛、そして生き方に関しても細心の注意を払い、
情報収集を怠らないようにしなければならない。同論文は次のように結論づけている。
「このままでは国債累増に歯止めが利かなくなり、財政が破綻する確率は95%だ」。
やはり最後は安易な国債の大量発行で凌ぐしかなくなるのである。これはサラ金をい
くつも借りまくり、自転車操業する哀れなサラリーマンに似ている。
らに同論文は、何年後に日本国が破綻するかその正確な時期は述べていない(特定す
れば大問題になるので言えないのであろう)ものの、99年度に国債の大量発行をし
たために「破綻に至るまでの期間がより短くなった」と警告している。この内容も重
大だ。景気対策のために予算のバラまきをやったために、限られた税収のもとでは、
国債を大量に発行するしかかつての小渕政権には道がなかったのだ。小渕前首相のや
った「何でもあり」のバラまき行政が「デフレを救った首相」という評価を受けるの
か「国家破産の引き金を引いた首相」との評価を受けるのか、20年後の歴史の評価
を待つしかないのだが、国家破産へ向けての“時限爆弾”のタイムリミットが短くな
ったことだけは間違いない。
後に同論文は次のような悲劇的見通しで終わっている。「景気刺激を優先しがちな財
政政策の歴史も踏まえれば、抜本的な財政再建策を打ち出せる可能性は極めて低い」。
うであろう。バラまき行政そのものが巨大な利権と集票マシーンと化し、政治家や官
僚ばかりでなく、国民の側にも予算のバラまきと利権に群がる人々が多くいる現状を
考えた時、行きつく所まで行って国民がハイパーインフレと超円安の中で塗炭の苦し
みを味わって初めて「このままではダメだ」「政治に大改革を!」となるわけで、そ
の意味では、国民全員が国家破産に気づいた時にはもう手遅れというのが本当のとこ
ろだろう。
経済トレンドレポート主幹 浅井 隆
http://www.dainikaientai.co.jp/news/tr106.html