投稿者 経済トレンドレポート主幹 浅井 隆 日時 2001 年 9 月 19 日 19:52:40:
http://www.dainikaientai.co.jp/news/tr105.html
私たちの将来を襲う重大な出来事とは!?(上)−2005年、国家破産−
史は繰り返す」という。そして「歴史こそ最大の教訓」ともいう。世界最大のベストセラーともいうべき『聖書』には、「かつて起きたことは、これからも必ず起こる」と意味深長に書かれている。今から2000年以上も前の古代ギリシャですでに現在の日本で起きつつあることが予言されている。それこそ、「衆愚政治」である。
主主義発祥の地ギリシャでは、哲学者たちが民主主義はえてして衆愚政治に陥りやすく、それを防ぐためには「哲人政治」こそが必要だと見抜いていた。哲人とはカリスマ的な優秀な政治家をいう。「哲人政治」は下手をすると、ヒトラー的独裁者を生みかねない危険性も持つが、衆愚政治も国家の堕落と破滅を招く。いまの日本はまさにこの衆愚政治の典型である。その結果、日本はいよいよ国家破産という未曾有の状況に突入しようとしている。
つてスペインが世界一の覇権大国として太陽のように輝いていた頃、世界中から、とりわけインカ帝国やマヤの中南米から金銀財宝を略奪して持ち帰り、その富は並ぶものなく、スペイン帝国は全盛の栄華を誇っていた。ところが、おごりたかぶった王侯貴族たちは富に任せて壮麗な宮殿や教会を次々と建ててしまい、やがて国家財政破綻の危機が静かに忍び寄る。その時ある賢い学者が歴史を紐解きながら、「あのローマ帝国でさえ、最後は国家破産によって没落し、消滅していった。このスペインも財政危機をなんとかしない限り大変なコトになるだろう」と人々に警告した。ところが、国王も貴族も「これほどまでに繁栄したスペイン帝国が国家破産ごときで没落するはずがない」と一笑に付してとりあわなかった。誰もが目先の利益や出来事に目を奪われて国家財政について放置したところ、しばらくしてスペインは本当に国家破産し、ハイパーインフレが起きて、あっという間に没落していった。それ以来、スペインが世界の覇権を握ることは二度となかった。
ころが、科学も進歩し文明が全ての先進国を太陽のように照らしているような20世紀においても、国家破産の結果起こるすさまじいハイパーインフレがいくつかの国家を容赦なく襲っている。その一つの例が戦前(第二次世界大戦前)のドイツであった。
ねて学生の頃から浅井には一つの大きな「疑問」があった。それこそ、なぜドイツ人のような理知的民族にヒトラーのような狂気の独裁者が現れたのかという問題であった。その「ナゾ」が最近解けた。実はヒトラーが出てくる前のドイツ(つまり第一次大戦と第二次大戦の間)では人類一万年の歴史の中でも最悪のハイパーインフレ(想像を絶するような率のインフレのこと)が発生していたのだ。そのために国民生活も企業の生産活動も破壊され、ドイツ国民は塗炭の苦しみを味わっていた。ちょっと信じられない話だが、インフレが最も猛威を振るった18ヵ月の間に物価はなんと1兆%を超えるほど上昇した。つまり、わずか1年半の間に物価が100億倍になったのである。ということは、例えば1個120円のパンがわずか1年半後に1個1兆2000億円にまで値上がりしたということだ。現代の私たちには、ちょっと想像がつかない。また、インフレの嵐が最も吹き荒れた時期には次のようなまるで冗談のような本当の話があった。当時のドイツのあるレストランに入って昼食をして、再び同じレストランにその日の夜行ったところ、メニューの値段のケタがちがっていたというのだ。つまり、わずか数時間の間に値段の最後の0が1個ふえていたというのである。例えば、昼に行った時には800円だったトンカツ定食がその日の夜に行ってみたら8000円になっていて仰天というようなものだ。これでは国民生活はやっていけない。
は、なぜこんなコトが起きたのか。その原因が問題だ。
は当時のドイツは第一次世界大戦に負けたために、有名なヴェルサイユ条約によって連合国側から莫大な戦争賠償金を請求されていた。そのためにドイツ国の財政は大変な赤字となり、その国家破産がやがてハイパーインフレという形で国民生活を押し潰したのだ。この世の中で国家破産ほど怖いものはない。
こで、話は一気に現在の日本へと飛ぶ。もう5年も前から浅井は国家破産の可能性について、真剣に警告してきたが、いよいよ本格的にその危機が迫ってきた。原発事故の怖さは、ある臨界点を超えると炉心溶融が始まり、もはや制御不能となることだ。チェルノブイリ原発事故はその典型である。日本の国家財政状況もその“制御不能”寸前のところまで来ている。それはいくつかの数字を見るだけで明白に理解できる。数字を甘く見てはいけない。
は、日本国はどれほど危機的状況にあるのか。膨れ上がった借金の総額はどれ位あるのか。正確な表現を使うと日本国全体の公的部門の借金は、まず中央政府(国)だけで500兆円、さらに地方自治体が160兆円、そして郵貯等の運用先である財投が不良債権という形(借金ではないがこの不良債権は将来国が必ず税金で穴埋めしなければならないもので、一種の借金と考えてよいだろう)で100兆円抱えている。その他隠れ借金等を加えると、およそ800兆円という途方もない数字となってしまう。まさに天文学的数字とはこのことをいうのだ。
経済トレンドレポート主幹 浅井 隆
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