投稿者 sanetomi 日時 2001 年 9 月 13 日 22:09:26:
[319] 建て玉の崩壊 投稿者:藤原直哉 投稿日:2001/09/13(Thu) 10:17
園山さんとも話をしたのですが、モルガンスタンレーがWTCに入っていて崩落したことからもわかるように、金融機関に甚大な被害が出ています。その結
果、先物、オプションその他のデリバティブの巨大な建て玉が既に事実上崩壊している可能性があります。木曜日に債券取引が再開され、週明けにはNY
株式市場で取引が再開されるでしょうが、そうするとどこか一箇所でも巨額損失が出ているところがあったり、債務不履行になっているところがあると、まさ
にWTCがワンフロアーづつ次々に崩壊していったように、米国と世界の金融建て玉が次々に崩壊していく可能性があります。NYが止まっている間に日本
や欧州は市場が開いていました。それだけでもNYではヘッジができなくて巨額の損失が出ていると思います。損失カバーのために持っている玉を我先に
売るようなことが始まると、世の中のありとあらゆる金融商品が売りまくられ、まさにWTCの崩壊と同じことが世界の金融市場全体で起きるわけです。
でももう少し目で見てみれば、こうやってマネーバブルが終わり、時代はマネーから実物へと動いていくのではないでしょうか。29年から始まる大恐慌のあ
と、投機的で自由な資本移動が大規模に制限され、そこからブレトンウッズ体制が生まれましたが、今回の出来事はまた国家の資本統制が起きるように
は変化しくことはないと思いますが、何らかの新しい制度への移行を促していくことになるでしょう。
米国は早々に戦争とかイスラム原理主義とか言っていますが、オクラホマシティービルの爆破事件のように、自分の国の中に犯人がいる可能性だってあり
ます。CIAもFBIも米軍も日本の警察と同じで最近はスキャンダルに次ぐスキャンダル。情報がまともに上に行かず、まともに解析されず、エシュウロンに莫
大な金をかけてやっていてもちっともその役割を果たさず、ひどいものです。
誰がやっているか知りませんが、どうやったら米国人がチームワークを組もうとしなくなるか、それをよーくわかって行動しているように思います。米国人はチ
ームワークがないと本当に弱いのです。反対に何らかのやり方でミンション・バリュー・ビジョンが決まり、チームワークが働くようになると、恐ろしく強いので
す。米国と戦って勝つためには米国人全体が合意できるミッション・バリュー・ビジョンを提供しないこと、そこのところをよーくわかっている人がやっているの
ではないでしょうか。反対に大統領は米国を強くするために現実を無視してでもミッション・バリュー・ビジョンを国民に演説で訴えかけて、何とか強さを引き
出そうと躍起になっているのではないかと思います。
しかしこれは私の個人的印象ですが、米国のメディアも湾岸戦争の時のような迫力、愛国心あふれる宣伝がありませんね。あまりのことに意気消沈、呆然
としているという感じです。これでは米国を強くするチームワークは出てきません。
米国でよくMy way is high wayという言葉が使われます。自分のやり方が正しいやり方であり、自分が指示したとおりにせよという言葉で、リーダーのエゴを
端的に示す言葉です。90年代の米国はまさにリーダーのエゴ丸出しで世界に接していました。身から出た錆の事件でもあります。同時にミサイル防衛構
想では米国を守ることができないということも今回の事件はよく示しています。旅客機がミサイルになったら米国全体至る所にミサイルがあるということにな
るのです。
米国に残された手は2つ。ユーラシア大陸の常識を勉強して、巧みな外交でユーラシアと接していく方法。あるいはユーラシアとは縁を切って内にこもり、同
時に火星や月に新しいフロンティアを求めて出ていくという方法。さてどちらの道を米国は選んでいくのか、私は後者ではないかと思うのですが…。
藤原直哉拝
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