投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 7 月 29 日 23:29:07:
不良債権問題 リチャード・クー
日本の金融機関の抱える不良債券は極めて大きな問題であるが、景気回復の制約要因とはなっていない。それは、不良債権のために日本の銀行が貸し渋りをしているなら、企業が資金を取り合って金利は逆に上昇する。でも、逆に金利は下がり市場には資金が余ってしまっている。
つまりは日本は現在資金の需要がないことが問題であり、もし、急速に小泉政権がいうように2ー3年の短期間で不良債権を処理しようとすれば、 雇用条件が悪化しデフレ圧力を与え景気をさらに押し下げる可能性が高い。 不良債権処理は5ー10年かけて対応すべきである。
日本の不良債権問題がよく米国のS&L問題と同じように論議されるが、これは間違い。S&Lの処理には1500億ドル必要だったが、日本の場合はこれの10ー100倍はかかる。現在の日本の状況は中南米問題に近く米国はこれを10数年かけて処理した。
不良債権処理を直接しても、現在のように資産価格が下落している状況においては、別の何かに転嫁するだけで日本の経済全体としては何も変わらない。構造改革すれば問題は解決するという間違ったイメージがあって、実際は資産価格の下落がいかに大きいかの認識を持たないことが大変危険です。
過去における財政政策に70兆円も投入されたが、もし、これを行っていなければ間違いなく大恐慌になっていた。これによる財政赤字の増大と国債残高に関しては、あまり問題ではない。 国債の残高は増えているのに、資金需要がないため金利は逆に低下している。唯一の借りてである政府にお金が流れており政府が国債の発行を止めたらたちまち大恐慌がおこる。
日本の国債の格付に関してもこれは格付機関が間違っている。財政赤字というのは三段階あって1)財政赤字はあっても、自国通貨で自国民に国債を買ってもらっている2)自国通貨だが外国人に買ってもらっている。3)外貨で外国人に買って貰っている。 最悪なのは3)です。米国は2)であって、日本に買ってもらっています。日本は、1)でもっとも良い状況にあるにも関わらず米国よりも格付が低い。これはおかしい。
株式相場も今は外国人が支えており、そのほとんどが米国資金であり、円安にするとさらにデフレになり、為替リスクもあり、その結果米国人が日本株を買わなくなり、されに株は下がるわけです。
日本の不良債権問題の根深さとして、企業に資金需要が低いことが問題で、日本経済の景気低迷が続くことが最大の懸念である。