【ロンドン10日=渡辺覚】
10日付の英日曜紙オブザーバーは、女性の不妊治療研究の一環として、日本や米国の科学者が、それぞれ独自に「人工子宮」の研究を進めており、数年以内には実用化される見通しが高いと報じた。
研究を行っているのは、順天堂大学の桑原慶紀教授らのチームと米コーネル大学のチーム。順天堂大の研究は、流産や早産の治療を目的にしたもので、合成容器を使ってヤギの胎児を生育させる実験を行った。体温と同温にした羊水を満たした容器に胎児を入れ、へその尾を生命維持装置につなぎ、栄養の補給や老廃物の排出を続けて、10日間の生育に成功したという。
一方、コーネル大の研究は、ヒトの子宮内膜の組織を採取して体外で培養させ、子宮壁を体外で再現。ここに、受精卵を「着床」させることに成功した。研究は、受精卵が順調に生育した段階で子宮壁ごと母体に戻す構想を描いている。
日米両国の研究を紹介した同紙は、体外でヒトの胎児を出産期まで育て上げる「人工子宮」は、数年内に現実のものになりうると記している。
(2月10日22:36)